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剣ヶ峰龍雅の欲望/Life.of.Predetermined:GreedDragon  作者: 六月不二
第1章《学園編~Psychic.of.Japanese~》
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第弐拾伍話《第一の輪廻 序の始》

 「時が戻ったか…」


 龍雅は、周りを見渡し、時刻を確認すると、デートの立ち会わせ時間の十分前を指示していた。


 ――どうやら俺の巻き戻り能力は、良いイベントが起こった時や、有象無象の出来事が起こった場合ならば、好きなタイミングで、セーブした時間に巻き戻れるらしい…しかし、俺が好意的に思っている者が死んだ時に生じるBADENDなどは、俺の体が消えるまで巻き戻す事が不可能か…理解した…すまないが、もう一度だけ死んでもらうぞ…紗里弥…奈菜…お前達が殺された謎を解明する為だ…そうでなければ、この繰り返されるであろうこの運命は…


 龍雅は、一筋の涙を流し、顔を拭い、服を一瞬にして着替え、外に出て、待ち合わせ場所へと飛んで行った。


 「よっ、龍雅!」

 

 ――来たか…


 龍雅は、暗い顔をして紗里弥を見る


 「どうした? 何か暗いぞ? 何かあったか?」

 

 紗里弥が、龍雅の顔に近付くと、龍雅は「何でもない」と言って笑顔を見せた。


 「そうか、つらいことがあるならば、ちゃんと言えよ。」

 「ありがとよ」

 「何、当然の事を言ってまでだ。褒められる事でもない」


 紗里弥は、そう言って腕を組み、得意げな顔をする。


 ――こんなにも可愛い奴を見殺すのは、嫌だ…しかし、そうでもしないと…俺とお前と奈菜の未来は、掴めない…進めない…


 「慰めてくれた礼だ。今日は、俺が全て負担しよう。」

「ふむ、割り勘だった過程だったが…まぁ、良い…では、お言葉に甘えさせてもらおう…」

「所で、お前の付き人は?」

「いない。私とお前とのデートには邪魔だろう?」

「なるほど」

 

 ――バッドエンド後、消費した所持金は、自分の財布に戻る。今の所持金は、50万程、前のループでの残額は、45万程度だ…つまり、40万残る。…こんな事を考えるなんてクズだな…俺は…緋香里がいないという事は、あの時の二人は、無防備だったという事か…


 「さて、何処に行く? まず、お前の意見からだ。俺の体にしっかり掴まっていれば何処へでも連れて行こう。」

 「スカイツリーかな?」

 「そうか、なら行こうか」


 紗里弥は、龍雅の背中に乗り、龍雅は「ステルス&レースフォーム」と言い、気配を遮断し、そして速度を加速させ、紗里弥を乗せ、スカイツリーの方面へと飛んで行った。


 二人の行動は、変わらなかった。

 変わったと言えば、龍雅の行動と龍雅の財布の中の減りが変わった事だろうか、

 そして、運命の時が来た。

 龍雅と紗里弥の話している通りは、往来が多く煩い程に賑やかで、まず殺人を試みるなんて考える者などいないだろう。


 「じゃあな、紗里弥…また明日学校で」

 「あぁ、またな。」


 紗里弥は、そう言い、紗里弥の殺された人通りのない大通りに、向かって行った。


 ――さて、実行に移すか…


 「ステルスフォーム」


 龍雅は、気配を遮断し、空を飛んで、紗里弥の後を追った。


 ――どうなるか…


 龍雅は、紗里弥を追っていると、紗里弥の前に奈菜が現れた。



 ――? 奈菜か…一体どうしたのだ?


 龍雅が、奈菜の様子を見ていると、奈菜は、何処からか二つの剣を出現させ、紗里弥に襲いかかった。


 ――何!? 奈菜が犯人だったのか!?


 紗里弥は、襲いかかってくる奈菜に対して炎を纏わせた氷の大剣を持ち、そして十の氷の槍を生成し、迎え撃つ。

 二人は、剣と剣と打ち合い、紗里弥は、奈菜の身体を斬り、凍傷と火傷を同時に与え、奈菜は、紗里弥の腹を剣で深く突き刺す。

 紗里弥は、腹を突き刺された事によって腹を抑え苦しみ始めるが、自分の腹を焼き、傷を防ぐと、すぐさま、大量の氷の剣と槍を生成してその全ての氷の武器を奈菜に突き刺すのと同時に、奈菜は、指を鳴らし、紗里弥の体を破裂させ、辺りに血飛沫が飛び散り、二人が倒れた。


 ――なるほど、犯人は、奈菜か…しかし、どうにも様子が可笑しい…あれは、性格が変わっているような…まさか、二重人格か?


 龍雅は、至って冷静だった。

 何故なら時間を巻き戻す事で、紗里弥と奈菜を救える世界があるからだ。

 しかし…


 ――奈菜が敵か…ならば、戦いが起こる前に紗里弥だけを救いだせば、この悲劇は起こらない…しかし、この世界では悲劇が起こる…か…


 今の龍雅は、冷酷でもあった。

 今の龍雅は、無数の平行世界を巡り、そして今からその幾つかの平行世界を捨て去り、自分の物語が続く平行世界を選ぼうとしているのだ。

 龍雅が居なくなった世界は、続くが、龍雅が存在した証が残る為、紗里弥、奈菜の死と龍雅の消息不明によって悲しむ者がいるだろう。


 ――さて、真相は分かった…後は、遡るのみ


 龍雅は、そう思い、光となって消えていき、時間は遡っていく。


 昼前の龍雅の部屋に戻った龍雅は、自分の部屋を見渡す。


 ――さて、始めるか…


 龍雅は、そう言ってスマートフォンを取り出した。


 ――今更、予定は変更できない…ならば、緋香里に護衛を頼むか…いや、それはダメだな…忠義に反する事になるな…となると…虎太郎か? いや、あいつは、今日、香織と芽衣とのデートの筈だ…いや待て、MPを使えばよいか…いや、そう簡単に新しい技を取得できるはずがない…でも試してみるか…


 「スピードアップ」


 龍雅が、そういうと、時間の進みが遅くなり、そして全ての行動速度が速くなった。


 ――出来た…


 「更に、レースフォーム、疑似時間停止」


 龍雅は、自分の移動を更に加速した後に、時間を停止した。


 ――これで動けるかどうか…


 そう思い、足を動かすと、足取りはかなり重く一歩進むのにも体感時間で5秒程度だが、動いている。


 ――MPの消費が歩く速度と比較すると速いな…これでだと、体感時間で、5分程度だな…となると、実質的には、動ける時間は少ないが、逃げ切れるだろうな…いや、態々時間を停止するまでも無い…レースフォームとスピードアップを駆使すれば、逃げ切れるだろうな…


 龍雅は、そう思い、再び紗里弥と待ち合わせている場所へと飛んで行った。


 数時間後、あの夜になり、二人は、運命の分岐点となる場所に戻ってきていた。


 ――セーブ地点の設定、長ったらしく繰り返していたら精神が持たん…


 「それじゃ、またな」

 「いや、送っていくぜ。男が自分の彼女を家まで送るってのは、定番だしな」

 「そうか、なら頼む…」


 紗里弥は、そう言い、龍雅に向かって微笑み、手を繋いであの大通りへと進んでいった。


 ――さて、ここからだ…ここからが、問題だ…訳を聞く暇もない…すぐに逃げなければ…


 そう思い、大通りを進むと、奈菜が二人の前に現れた。


 「よう、奈菜! こんな所で何してんだ?」

 

 紗里弥は、そう言って奈菜に話しかける。


 「ねぇ、紗里弥…何であんたが、龍雅君と一緒に居るの?」


 奈菜は、怒気の混じった声で、そう言った。


 「あぁ? 今日は、龍雅とのデートだからだ。 それに何か文句あるのか?」

 「えぇ、文句あるわ。 だって、私の龍雅君に、近付く他の女つまり、あんたの存在にね」


 奈菜は、そう言ってナイフを作成し、紗里弥に向かって投擲すると、龍雅は、すぐさま剣を虚空から取り出し、はじき返した。


 「危ないな…いきなり何するんだ? 奈菜…」

 「龍雅君、何でそいつの事庇うの?」

 「庇うも何も、お前がこいつの命を狙うからだ。」


 ――今の奈菜は、手も触れず殺す事が出来る…あの技を使われる前に、何としても逃げなくては…恐らくアイツの能力は、鉄と水を操る能力だろう…あの破裂技は、恐らく血の流れを逆流させて起こす技…鉄と水が関わってくる…そしてナイフを生成する技は、鉄分子を組み合わせて造ったもの…


 「さて、逃げるぞ。」

 「え?」


 紗里弥が、龍雅の逃げるという言葉に反応して龍雅の方を見ると、龍雅は、紗里弥を担いだ。


 「スピードアップ&レースフォーム…」


 龍雅は、そう言い、時間流は遅くなり、龍雅自身の行動速度が加速する。


 「ハァ!」


 龍雅は、紗里弥を担いだまま目にも止まらぬ速度で、極星院邸に向かって去っていった。


 「消えた?」


 奈菜は、周りを見渡して龍雅と紗里弥を探すが、いないとわかってため息をつき肩を落とす。


 (逃げられたのね…まぁ、いいわ…後で殺せば龍雅君は、私のものになるんだし……寝るか…)


 奈菜は、そう思い、目を閉じ、再び目を開けると、奈菜は、辺りをくるりと見渡した。


 「あれ? 何で、私、ここにいるの? さっきまで家で勉強していたはずなのに…」


 奈菜は、そう言って自分がこの大通りにいる理由に疑問に思いながら奈菜は、帰って行った。


 極星院邸の前、龍雅は、門の前で、紗里弥を降ろして龍雅が帰ろうとすると、紗里弥は、龍雅の背中を叩いた。


 「何故逃げた? お前なら、あいつに勝てる筈だと思ったのだが?」

 「お前がいるからだ。」

 「何?」

 「お前は、奈菜に命を狙われているというのは、表人格の奈菜に濡れ衣を着せる事になるな…まぁ、裏の人格の奈菜が、お前の命を狙っているんだ。」

 「…二重人格である証拠は?」

 「どうも、様子が可笑しかったからな…」

 「様子が?」

 「あぁ…」

 「力を手にした事によって、お前への想いが暴走しただけではないのか? まぁ、二重人格については仮説として考えてやる。」

 「そうか、力を手にした事によってか…まぁ、奈菜は、俺と同じかも知れねえな…」

 「何?」

 「俺は、力を手にする前は、何の夢もない筋肉と雑学だけが取り柄のイケメンなオタクであった。」

 「自分でイケメンって言うなよ。」

 「だが、この圧倒的な力を手に入れた時、俺は思った夢を実現すると…何で力を手にした瞬間そう思ったのか知らねえが、夢を実現するチャンスが来たと思ったのだ。」

 「なるほどな…」

 「だから、奈菜も、力を手にした事で…」

 「そうか、一説によると、能力者は、能力を発現すると、能力を発現する前に、強く願った願望を実現しようとする衝動に駆られるらしい…何でか知らないが…まぁ、私は、願う願望もないし、そんな衝動には駆られることもないがな…」

 「なるほど、これは本能と言う訳か…」

 「そうだ…だが、恥じる事はない…本能に対して無理に逆らうと、駄目になっちまう、夢を持つ事は素晴らしい事だぞ。」

 「あぁ、ありがとうな! 紗里弥! じゃ、また明日!」

 「アイツに、誘拐ように気を付けて帰れよ。」

 「心配ご無用だ。」


 龍雅は、そう言って、空を飛んで帰って行った。


 「YS…いるんだろ? 見てないで出て来い」

 『やれやれ、何ですか? お嬢様?』

 

 YSは、夜闇の中からいきなり現れた。


 「お前に聞きたい…奈菜に例の薬物を投薬したのは誰だ?」

 『例の薬物? あぁ、アレの事ですね…別に、奈菜には投薬していませんよ…もう、試験データは、取れているんですし』

 「何? しかし、奴の戦闘能力は、人間レベルじゃ…」

 『そう、人間レベルだ…しかしアイツは、無意識的に能力と力を抑えている…後は、おわかりですね? それに、G組は、能力者、及び未発現能力者だけが集う混沌の領域である事をお忘れですか?』

 「…わかっているとも、全く…龍雅は勘の良い奴だ…探偵小説でもあるまいし…」

 『聞きたいのは、それだけですか?』

 「あぁ、それだけだ。」

 『では、私は引き続き、龍雅さんの物語をしばらくの間だけ鑑賞させてもらうとしましょうか…また会いましょう…お嬢様…』


 YSは、そう言って夜闇に溶けて消えていった。


 (今日は、色々と疲れた…さっさと風呂入って寝よ…)


 紗里弥は、ため息をついて、家に入り、門を閉めた。


投稿遅れてすみません! 許してください! 何でもしますから!(何でもするとは、言ってない。)

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