第弐拾参話《無理ゲーと思っていたモノでも、コツさえ掴めば大体のゲームはクリアできる。》
龍雅は、組立で、パンを生成して食べ、体の傷が塞がっていく
――これで俺の肉体とMPは、回復した…奴の攻撃を防ぐ方法…俺は、何て初歩的な防御方法を忘れていたのだろう…その所為で、虎太郎をあんな風にしてしまった…
龍雅は、全回復すると、虎太郎に回復術をかけ、虎太郎の体を癒す。
「行くぞ! 芽衣! お前をそいつから取り戻してやる!!」
龍雅は、刀を構え駆け出していった。
――秘策があると…そう言ったが、あれは脳が単純でないと通用しないもの…或いは相手が開いて自身にとって受ければ即死級の攻撃を与える時だ…それがなければ、勝つ秘策とは言えない…ならば、どちらかを翔けるだけだ。
『その抵抗無駄だという事を教えてやるぜ!! 時よ、止まれ!!』
――だが、これで防ぐ!
龍雅は、生霊が世界の時間を止める前に、龍雅が生成した全ての武器を分子に変換し、金属分子を集結させ、重装甲の鎧を身に纏い、そして防御態勢に入った。
『何!?』
――時間停止しているならば、反射の継続時間は、時間停止の期限時間のみ、発動し、もし正面から攻撃しなくとも、正面以外の防御に特化した金属の塊がお前の攻撃を防ぐ…さぁ、攻撃してくるがよい!!
龍雅は、そう思った後に、世界の時間は止まった。
『…正面の防御を捨てたか…だが、それが逆に仇となるんだよ。』
生霊は、そう思い、拳に全身全霊の力を込めて防御を崩そうと殴りかかる。
――かかった!
生霊が、龍雅を正面から殴りかかると、生霊は勢いよく後方へと吹き飛ばされ、地面に転がり、姿勢を立て直した。
『何だと!? 今のは何だ!?』
⦅今の俺に受けた威力…あれは、恐らく俺が「奴」に当てたパンチと同じ威力だろう…クソ…何て事だ…奴め、誘っていやがったな…こうなる事を見越して正面の防御を薄くする事を…逆に言えば、正面以外は、あの反射は使えないという事だな…⦆
――だが、これで二度目は、通じないだろう
生霊は、しゃがんだ姿勢から立ち上がろうとした時――
『ガハッ!』
口から血を吐き、地面に跪いた。
『クソ…この体は、もうすぐで限界点がくるか…ならば、この体が機能しなくなる前に、決着をつける…』
――さぁ、どうする? この重装甲の鎧は、正面以外は難攻不落だぞ? そのボロボロの肉体でどうする? この形勢逆転の状況を…ハハハハ…
龍雅は、心の中で生霊の事を嗤った。
⦅ここら一帯にあった武器は全てあの鎧に吸収されてしまった…それに、無闇に動くとこの体が限界を超えて能力が使用不可能になり、仮に抜け出したとしても奴が、倒れているあの男を起こして俺の分身に奴の分身をぶつけてくるだろう…そして、奴は重厚な鎧を覆っている為か、こちらの念動力が通じない…ならば、この場合は…⦆
生霊は、半径100m以内の砂利を左手で全て浮かせ、腕を振り下ろすと、龍雅を狙った砂利の弾幕が豪雨の様に降り注ぎ、龍雅が身に着けている鎧を傷付けて行く。
龍雅の腕に当たった砂利は、全て生霊に向かって反射され、生霊はそれを右手で食い止める。
――さて、鎧の策は、尽きた…次は…どうすればよいか…奴の器は、能力者だ…すぐに肉体を再生するだろうし、時間停止でこちらの攻撃を悉く回避し、俺に死を齎す攻撃を加えてくる…俺が不死身なのは良いが…生霊を取得している虎太郎をやられてはこちらにとっても不利…あぁ、なんでまた俺はバカな事を…一々格好をつけて虎太郎を気絶させるものではなかった…
⦅砂利では、駄目だったか…やはり物理攻撃でなければな…この傷だと肉体が完全回復するまで二時間はかかる…だが、戦闘を再開するのに必要な時間は、数十秒あれば十分だ…数十秒後…こいつを二度と復活できないくらいに叩き潰す…⦆
二人は、どう倒すかどう対処するかという思考が脳に張り巡らされている。
龍雅は、一分間の間だけ時間を止める敵を如何にして倒すか、生霊は、如何にして器の耐久性を維持し、不死身の敵を倒すかという無謀にも見える二つの思考…彼らは、ただ静寂した時間の止まった世界で、思考を張り巡らせながら龍雅は時が動くまで、生霊は、体を戦闘可能な程に回復するまで体を動かさず二人は、お互いの様子を窺う。
――時間が動き始めた…
⦅戦闘可能程度に回復…やるか…⦆
戦闘を再開できるまで回復したのと同時に、時が動き始め、龍雅は、鎧を分解し、脱ぎ捨てるのと同時に、生霊の元へ走り、生霊は立ち上がり、龍雅から逃げる為に、宙に浮き、後方へと下がり始めた。
⦅時間停止を再使用する為に、一旦引かねば…⦆
――奴め、時間を稼いで再びやる気だな! そうはさせん!
龍雅は、全速力で走って、生霊に突進し、生霊が倒れると、そして六本の刀を生成し、六本の刀にエネルギーを纏わせ、爪の様に生霊の背中を斬ると、切った場所が爆発し、血を吐きながら吹き飛ばされていった。
『クッ…時よ止まれ!』
再び時間が止まり、龍雅は、次の攻撃をしようとした構えのまま停止した。
『やれやれ…ハァ…ハァ…お前は、この体が…ハァ…お前さんの友人の妹という事を…ハァ…ハァ…忘れて…いるのか? あぁ? って、聞いても…時間停止してい…るから答えるに…答えられないよなァ…ハァ…ハァ…』
生霊は、ボロボロな体で、そう言い、念動力で龍雅が持っている六つの刀を操り、六つの刀は、龍雅の体を貫き、そして六本の刀を抜き、それぞれの刀が意思を持っているかのように、龍雅の体を攻撃し始めた。
――クッ、さっきの攻撃で気絶級の攻撃を加えるべきだったが…俺の中の良心が邪魔をしやがる…挙句の果てにまた振り出しに戻った…いいや、憑りつかれているという事は、芽衣自身の自意識が無いというもの…つまり今の芽衣はすでに気絶している状態…ならば殺すしか方法がないのか?
龍雅は、一つの答えを見つけ出した。
しかし、今は、時間が停止している為、行動に移せずただ生霊に一方的に体を痛めつけられるのみ
龍雅だけだと、この勝負には絶対に負けはしないが、勝つ事も難しい…しかし、負けだと思えるのは、虎太郎の死と芽衣の死…彼は今、芽衣の死という敗北の瀬戸際に迫られているのだ。
――俺は、死なせやしねえ…この猛攻に耐えて今度こそは…
『今度こそ死ね! 死ね! 死ね! 死にやがれ!! この化け物め!!』
生霊は、念動力で龍雅をどうにかして殺す為に、狂ったかのように六つの刀を操り、龍雅の体を斬り、抉り、刺し続けていたが、急に攻撃をやめた。
『いや、こいつを攻撃した所で何の意味も為さない…今までの事は無駄な事だったか…』
生霊がそう言うと、生霊の殺意は、龍雅から虎太郎へと移り変わり、生霊は、六つの刀を龍雅の体から抜き、虎太郎の方へ刃を向けた
――待て、俺は兎も角そいつは…駄目だ…体も動けないし、虎太郎は気絶している…これはもう…タイムリープするしか…
『チッ、よりにもよってお前を殺す事を決意した時にこれか…寝ていれば、死の恐怖を味わうことが無かったというのに…』
生霊は、そう言いながら立ち上がり、虎太郎に殺意を向け、虎太郎の元へ走る
『どうして起きるんだ? 虎太郎…!!』
「それは、芽衣を救い、そして龍雅にやってもらった時間稼ぎの清算の為だ!!」
二人は、クロスカウンターで、お互いの頬を強く殴ると、停滞していた時間は、動き出し、二人は吹き飛ばされた。
「虎太郎…ガハッ! 目が覚めたのか!?」
龍雅は、血だらけのボロボロな体で立ち上がり、そう言った。
「龍雅、お前は休んでいろ! お前はよく頑張った。」
「フッ、俺の能力を忘れたか…俺の能力は、回復手段が有る!」
龍雅がそう言うと、龍雅の体は優しい緑色の体に包まれ、体が再生していった。
「さて、振出しに戻るだな…さぁ、何処までも続いていくか? この戦闘を!」
『クッ…』
龍雅がそう言うと、生霊は、後ろに引き下がった。
「だが、その戦闘も俺の今思いついた事で潰える…虎太郎! 生霊は出せるか?」
「なるほど、そういう事か…あぁ、出せるぞ。アイツの能力をコピーしたからな!」
「では、――――」
龍雅は、虎太郎に耳打ちし、虎太郎はそれに頷いた。
『何を企んでいるのか知らんが、お前では俺を倒せん! この体に憑りついている限り、お前達は、この体の肉体の持ち主を殺すまではな! しかし、てめぇらには出来る筈がねえ! 何故ならこの体は、虎太郎! お前の妹の体なんだからなァ!』
「そうかな? 殺さなくとも摘出すればよいだけだ。お前と言う病をな!」
龍雅が、そう言うと、二人は後ろに下がった。
「虎太郎…後は、任せた。」
「あぁ、任された。」
龍雅が、虎太郎の肩を叩くと、虎太郎は、龍雅に寄り掛かるように再び倒れ、そして龍雅は、目を擦り、両手を見た後に、両手の動作を確認した。
『成功したぞ。龍雅…お前の体に乗り移る事が…』
龍雅から発せられた声は、龍雅の声ではなく龍雅と虎太郎の声が混ざった声であった。
――あぁ、お前の力が伝わって来るぞ…さぁ、存分に俺の力を使うといい…そして驚愕せよ! お前の憑りついた相手が如何に強力な奴なのかをな!
(あぁ、そうさせてもらう…)
虎太郎は、龍雅の体に憑りついたのだ。
生霊は、本体の意識を途絶えさせなくとも使えるが、意識を途絶えさせた方が、出力も高く維持性も高い
虎太郎は、本体の意識を途絶えさせる方を選んだのだ。
――では、行くとするか、虎太郎
(あぁ…)
虎太郎は、龍雅の体を操り、構えた。
『おい、芽衣に憑りついている野郎』
『あぁ? 何だ? コピー野郎…』
『今の内なら、逃げ帰ってもいいぞ…お前では俺達には勝てない…』
『根拠がねえな…時間停止能力も俺いや、この体の持ち主の能力の下位互換だ。それで俺がお前に勝てないって? 冗談じゃねえよ』
『理由は簡単…俺と俺の絆の力と手札の差だ。お前は、無理矢理その体を操っている。しかし、俺は同意と信頼の上で操っている。そして俺達の能力は、貴様よりも手数が多くそして総合戦闘力もお前より遥か上! ならば、この力を持ってすれば俺はお前には負けない!』
『確かに、お前は俺の力を上回り、手数も多い…しかし、お前らは知っている筈だぜ。その手数の多い手段を持ってしても、戦闘力が上回っていても、この時間停止能力を上回る能力が無ければ俺には勝てないとなァ!』
生霊は、そう言い時間を止め、虎太郎は、真っ先に動き、芽衣の体を殴ろうとすると、龍雅の体から透明な拳が現れ、その拳が芽衣の体を殴ると、芽衣の体をすり抜け、芽衣の体を乗っ取っていた生霊が後方へ吹き飛ばされていき、生霊は、時間が止まった空間で止まり、芽衣は倒れた。
芽衣の体から飛び出した生霊の姿は、十代後半か、二十代前半の男性だ。
『こうしていれば、速く決着が付いたのか…』
――あぁ、そうだな…では、またもう一つの仕事をやってもらおう…
『了解…』
虎太郎は、そう言い、龍雅の体から出て、虎太郎は、男性の生霊との間合いを詰めると、虎太郎は、拳に力を籠め、殴りと蹴りを十発撃った後、生霊の急所である性器を蹴った後に、虎太郎は、自分の肉体に戻った。
「時は動く…」
虎太郎が時を動かすと、生霊は、時間停止していた時に受けた攻撃を一気にダメージを受け、吹き飛ばされていった。
「クソッ、こうされては、もう分身保てねえ…覚えていやがれ!!!」
生霊は、叫び、虚空へと消えていった。
「ふぅ…疲れた…」
「あぁ、虎太郎も良く頑張ったな。」
龍雅は、そう言い、芽衣の体を癒す。
「結局あいつはなんだったんだろうな?」
「さぁ? 俺には、わからん…どうせ、何処かの誰かに依頼でも頼まれて来た奴だろうさ…」
「なるほど、まぁ、何はともあれ…俺の妹は、これで安心して眠れるな」
「あぁ、そうだな…」
虎太郎は、芽衣を背負い、龍雅と共に、沈みゆく夕陽を背に家に帰宅していった。
一方その頃裏路地では、ある一人の男が、腹を抱え、足を引きずっていた。
「はぁっ…はぁっ…ゴホッ…ゴホッ…何とか俺の分身を戻す事が出来た…あいつ、何なんだよ…あいつの妹と俺の能力をパクりやがって…」
『それがあの男という存在ですよ。』
『…お疲れ様です。貴方のおかげで虎太郎を成長させることが出来ました。』
「あぁ、それよりも、報酬は?」
『ここに…』
Ms.YSがそう言い、指を鳴らすと男の目の前に札束によって膨れた封筒が現れた。
「どうゆうこった? 報酬はこれ程高くなかった筈じゃ…」
『フフフ…気が変わりましてね。』
「なるほど…いいぜ。ありがたく受け取っておくぜ。…お前の言う悪魔に気付かれないようにしろよ。」
『わかっていますとも…貴方も御気を付けて…悪魔に命を刈り取られないように…』
「なぁ、一つ聞きたいんだが」
『何でしょうか?』
「最近、一般人を能力者にする薬という物が開発されたらしいが…それは本当か?」
『えぇ、そうですよ。一人除いて適合する人はいませんでしたがね。』
「一人? どんな奴だ?」
『そうですね。貴方に似た部類の人間ですかね。』
「へぇ、そうかい…」
男は、そう言い、ポケットから煙草を取り出すと、Ms.YSは、ライターで煙草に火をつけ、男は煙草を吸い始めた。
『この事は口外しないように…もし口外してしまった時は、その命貰いますよ。』
「へいへい…じゃあまた頼みますよ。ガスマスクの嬢ちゃん」
男がそう言うと、Ms.YSは、その場から一瞬で何処かへ消え去っていった。
第一章は、飽く迄も、伏線や設定の為の章で、第二章からはその伏線を回収していきます。
第二章は、裏得大紐編です。




