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剣ヶ峰龍雅の欲望/Life.of.Predetermined:GreedDragon  作者: 六月不二
第3章《体育大会編~Best Friend Reunion~》
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第玖拾陸話《チームへの挨拶/チームメンバーとの対決の火種》

 龍雅は、砂浜で青空を見ていた。

 澄み切った青空だ。

 目の前には、美しい海が広がっている。

 気温は、快晴の六月の沖縄と同じ。

 どうやら場所は、沖縄と同じ緯度に位置する島なのだろう。


 ――泳ぎてぇな…泳ぐか…


 龍雅は泳ぎたいという衝動に駆られ、プールや海で泳いでも問題がない服装に一瞬で着替え、海を泳ぐ。

 肉体を強化し、バショウカジキが止まって見える程の泳ぐ速度で、泳いでいる。


 ――鮫のように喰らおうか…


 龍雅は、そう言い、目の前にいる鰤を食いつき、水中で喰う。

 鰤を食いつくす。

   

 龍雅は、放課後、絶海の孤島に来ていた。

 絶海の孤島というよりは諸島というのが正しい。

 ここは、見かけによらず大きな島で、得大紐と同じく空間の広さが矛盾している島である。

 得大紐の大きさは、ギリギリ千葉の県境に届くかのような大きさだが、実際の大きさは、関東地方一つ分の大きさを持っている。

 故に、得大紐は第二の東京ともいえる場所なのだ。

 この島の大きさは、得大紐二個分、即ち関東地方二つ分の大きさという事になる。

 全ての諸島は、この島と同じ大きさだ。

 島の数は、全国の能力者が所属する高校分存在しており、まるで神が極星院に恵みを齎したかのように不自然な程に丁度の数存在している。

 島の一つ一つがそれぞれの高校の所有地だ。

 龍雅は知らないが、能力の授業の本当の実技はここでやっている。

 EX能力者は、能力を得て半年の生徒は、ここにはいけないようになっている。

 何故なら、予測表を作らなくてはならないからだ。

 EX能力に関する情報は、常に不安定で、希少価値がS級よりも高い。

 いや、S級は、育ててもなる事は可能だが、EX級は育ててでるものではない。

 故に、希少価値は天然のダイヤモンドのように貴重だ。

 そして雲の如く不安定だ。

 不安定で貴重なEX能力者を受け入れる準備は、大体の変化予測が出来てからだ。

 勿論その変化予測は当てにならない。

 何故ならEX級能力者は不安定だからだ。

 予測するだけ無駄なのだ。

 だが、それでもやらねばならないのだ。

 本来ならば、能力者の成長予測表は出されてからこの島を使えるのだから。

 成長予測表はいわばこの島を使える許可書のようなもの。

 ちなみにその予測表は、データと書類として生徒に渡される。

 データが完成すると、生徒手帳に内蔵されたICカードにデータが送られ、島を行き来できるようになる。

 またそのデータは、生徒手帳とパソコンに繋ぐ事で何時でも見られるようになっている。

 本来、能力者の成長予測が作り出されるのは遅くて数日だが、EX級は半年で、。

 データに基づいて教育を行い、能力者として育てていく環境がある程度揃っており、能力者クラス及び能力者高校の生徒達の部活動の場所でもある。

 龍雅は、能力者育成の島にある目的の為にやってきていた。

 目的は二つ。

 参加する障害物リレーのチームとサッカーのチームに挨拶をする事だ。

 龍雅は、その二つの為だけに来たのだが、海があまりにも綺麗だったので、ついつい泳いでしまったのだ。


 ――…鮫の真似事はするんじゃなかったな。非常に食いにくい…


 龍雅は、鰤の骨を噛み砕きながら思う。

 鰤を食った後は、鰤の血で染まっているが、龍雅は、すぐさま血を霧散させた。

 

 ――だが、良い体験だった。生きた魚を水中で生きたまま捌かずに食うと食いにくいと…


 龍雅は、そのまま砂浜に戻り、飛び出し、体の水気を弾き飛ばし、制服に一瞬で着替えた。


 「おいおい、龍雅…ここに遊びに来てるわけではないのだ。泳いでいる場合か…」


 紗里弥は、そう言って龍雅の頭を氷で覆った拳で叩く。


 「いててて…わりぃ、紗里弥…こんな綺麗な海見ちまったら泳ぎたくなるもんだ。」

 「たく…帰りの時に一緒に海で遊んでやるから、さっさと行くぞ。」

 「マジか! でも、紗里弥の水着は…」

 「安心しろ。この島にある。学校らしくスク水だ。」

 「やったぜ。というか萌え死ぬんじゃねえか? そんなに可愛い姿…」

 「萌え死ぬか…ならば、早く準備しろ…さもなくば私のスク水姿を見て萌え死ぬ前に、今私の炎に焼かれて燃え死ぬか?」


 紗里弥は、そう言って炎を出し、龍雅を威嚇する。


 「萌えと燃えをかけたか…わかった。美少女にお仕置きするのもされるのもは好きだが、無駄に死ぬのはまっぴらごめんだ。」

 「なら、さっさと動け!」

 「はいはい…」


 龍雅は、そう言いながら荷物を持って紗里弥と共に運動場へ向かって行く。


 「遅いな…例の奴はまだか?」

 

 松葉杖をついて座っている男は、そう言って龍雅の到着を待っている。


 「龍雅さんは、恐らくですが海で泳いでいるのかと…あの人欲望に忠実で、海を今も泳いでいるでしょう。」

 「そうなのか、芽衣…まぁ、いい…練習を続けるぞ。」

 「「「「はい!」」」」


 障害物リレーのメンバーは、そう言って、一人一人が他のメンバーを能力で妨害しながら走り始めた。

 全員が常人では捉えられない速度で走っている。

 だが、この島では、この速度で走る事は当然の事なのだ。

 障害物リレーは、仕掛けが妨害するだけではなく、能力者自身も妨害しなければならない。

 その為、速さだけではなく能力の強さも鍛えなければならない。

 この競技は、下手すると格闘大会よりも危険なのだ。


 「すまぬ、遅れた。」


 龍雅は、そう言って潮の匂いを付けてやってきた。

 海で泳いできた事がまるわかりだ。


 「これは、紗里弥様、それで例の代理は…」

 「こいつだ。おい、龍雅」

 「遅れてすまねえ俺が龍雅だ。よろしくな。」


 龍雅は、松葉杖をついた男に向かって軽快な挨拶をした。


 「敬語は無しか…」

 「まぁ、無礼に見合った力を見せてやるから我慢してくれ。」

 「そうか…なら、見せてもらおうじゃないか…大会ではこの関東地方一つ分の大きさの島を三周する事は理解できているな?」

 「あぁ、それで今から三周走ってこいと?」

 「そうだ。大口叩ける自信があるならそれ相応の実力を見せてもらわないとな。」

 「いいだろう。所で、前年の最下位完走時間はどれくらいだ?」

 「大体二時間から三時間だな。全員がゴールするまで続けられる」

 「なるほどな…となるとめちゃくちゃ長いんじゃねえか? 障害物リレーの時間がよ…」

 「まぁな…この競技は、大会最後に行われる競技…だから長いんだ。」

 「試合ごとにコースが違ったりするか?」

 「当たりだ。去年の本選、一回戦目は、海と陸、二回戦目は、炎と氷の島、三回戦目は、混沌の島、決勝戦は、空となっている。決勝戦以外は空を飛ぶのは禁止だ。そして相手の選手の妨害はあり、ただし大怪我を負わせるような妨害はなしだ。」

 「了解、所で、お前がアンカーだったんだな?」

 「そうだな。だが、足を怪我してこのざまだ。」


 男は、そう言って包帯が巻かれた足を見せた。


 「治癒系能力者はいないのか?」

 「いるにはいるが、この怪我では、大会までには間に合わない。何せ昨日大怪我したからな。サッカーのゴールキーパーも怪我したらしい。まるで仕組まれているようだな。」

 「そうだな。」


 ――まぁ、実際宮弥が仕組んだ形跡がめちゃくちゃあるんだよな…この怪我は事故ではなく人為的に齎されたものだ。ゴールキーパーもまた同じだ。


 「さて…名前を聞いておくのを忘れていたな…名前は何て言うんだ?」

 「3年G組猿飛隼人、能力は時間を操る能力だ。」

 「如何にもな名前だな。」

 「何とでも言え…では始めるぞ…」


 龍雅は、スタートラインに立ち、軽くジャンプを数回してからクラウチングスタートの構えをし、隼人は、腰からスターターピストルを抜き、上に向けて引き金を引き、破裂音が鳴ると、龍雅は、自分の体を超加速させ、そして加速によって生じる全てのエネルギーを足に回し、更に加速する。

 あらゆるエネルギーが足に集中してい為、被害はさほど出ないが、龍雅が踏んだ場所は、全て大きく凹んでおり、まるで何か巨大な怪獣が通った後のように見える。


 龍雅の視界は、時間が止まっているように見え、他の部活で発生したエネルギー波、炎、氷、雷が空中に止まっている。

 時間停止者は、僅かに動いている。

 龍雅は、時間停止者でさえも固まる程に加速しているのだ。


 ――超加速について来られるものなどいない。俺の速度は、神速を超えている。


 光にも近しい超神速、追いつけるものなどいない。

 あっという間に島の半分まで来た。

 その間、0.0001秒しかかかっていない。

 龍雅は、一瞬の内に島を三周し、そしてゴール地点に戻ってくると、時間は動き出すと、島の所々で無数の軽い衝撃波が一気に走り、地面に龍雅が三周走った証拠が残った。


 「カウント…0.1秒…速すぎる…」

 「俺の速度は疑似的な時間停止を生むからな…だから地面がこんなに陥没しているんだ。」

 「まるで何か巨大なものが通った後のようだ…」

 「もしも俺がエネルギー収束能力が無ければもっと酷い事になっていた。」

 「どんな事になっていたんだ?」

 「この島にある全ての存在が消し飛んでいた。そしてさっきのは本気ではない。」

 「全てが消し飛ぶ…危険だな…疑似時間停止は禁止だ。」

 「勝てなくてもいいのかな? 素の俺は能力者ではない高校生並みだ」

 「いや、聞いているぞ。お前は真の力を解放すれば、最強になると…この競技は最後だ。そのお前の持つ最強の力を見せてくれ。」

 「では、何故試した?」

 「何、ちょっと見たかっただけだ。お前の力を…想像以上の力の速さだ。」

 「そうか…なら、合格って事だな。」

 「では、次はサッカー部に行ってこい。お前、ゴールキーパー代理をやるんだろう?」

 「わかった。行ってくる。」

 

 龍雅は、そう言ってその場を去って行く。


 「紗里弥様、強力な人材ありがとうございます。」

 「良い。貴様らが勝てばそれでよいのだ。その怪我、早く治せよ。今年は残念と言わざるを得なかったが…能力者大学で、また頑張ればよいのだ。そして目指せ…能力者のスポーツ選手が集う大会…シークレット・オリンピックの優勝を」

 「ハッ! 必ずや将来優勝してみせましょう。」

 「そうか…期待しているぞ」


 紗里弥は、龍雅の後に続くようにその場を去って行く。


 龍雅と紗里弥は、サッカー部のグラウンドに入ると、近距離からいきなりエネルギーを纏った超音速のシュートが飛んできたが、龍雅は、飛んできたボールをキャッチせずにゴールに向かって蹴り飛ばし、サッカーボールは、ゴールに向かって行き、ゴールキーパーは龍雅が飛ばしたボールに向かって何重もの障壁を張るが、障壁は破られ、ゴールポストに入った。


 「手荒い歓迎だな。」

 「そちらこそ手荒い挨拶だな。」


 片腕に包帯を巻いた男は、そう言って後ろからやってくる。 


 「何、正当防衛だ。精々気絶する程度だろう。」

 「にしては威力が強すぎると思うが?」

 「撃ち返せる程に手加減したのだがな。」

 「撃ち返せる時点で可笑しいぞ。あれ、近距離からの最強技だぞ。」

 「あれが最強技か…中々の威力だ。」

 「だろう? だが、さっきのは事故だすまなかったな。」

 「良いって事だ…」

 「所で、お前は?」

 「後で名乗る。おい! 集合!」


 男がそう言うと、サッカー部のメンバーが集まってきた。

 

 「何ですか? 副コーチ?」

 「今日は、俺の代わりをやってくれる者が来た。先ほど、近距離でシュートを弾き返した男が俺の代わりをやってくれる助っ人だ。」

 「俺は、剣ヶ峰龍雅。補欠のゴールキーパーを務めさせていただこう。まぁ、実はと言うとサッカー少し前に始めた素人なのだがな。」

 「素人にしては、出来そうな雰囲気をしているが?」

 「まぁ、俺はスポーツにおいては最高クラスの力を持つ…所で、抜けた補欠ゴールキーパー…そうあんたについての情報を聞きたい。どういう戦法をとっていたのか、知る必要があるからな…ある程度、模倣しなければな」

 「別に模倣せずともいい…まぁいい…話してやる。俺は、毛利岩夫…学生のみでありながら副コーチ兼副監督をやっている。俺の能力は、千里眼、テレパシー、即時情報収集、情報分析、他者強化、他者弱体化、他者回復だ。まぁ、いわばサポート役だな。サッカーの実力だが、パワーは最弱だが、技術では最高クラスだと自負している。俺がフィールドで活躍できるのは、切らせて骨を断つような攻撃的な作戦のみ…俺は、試合の休憩時チーム全体に回復と強化を施すようにしている。能力を使ってもいいのは、休憩時と試合中に戦っている選手のみだからな。」

 「なるほどな…」

 「まぁ、補欠ゴールキーパーというよりマネージャーという方が近いな。最も正規のマネージャーもいるわけだが…おい、山崎…」

 「マネージャーの山崎です。龍雅さん、よろしくお願いします。」

 「敬語はいい。おめえさん先輩だろ?」

 「そうね。私の能力は治癒能力だけど岩夫君を治せる程の力を持っていないわ。」

 「治癒能力の発達が低いな…」

 「何せ治癒能力は、EX級に次いで希少だ。治癒能力者が少ないから育てる技術が整っていない。だから大きな怪我を負っても治せない…お前の力があれば治癒できるのだが、どうも宮弥から止められているらしいな。」


 紗里弥は、そう言って治癒能力者の現状を話した。


 「まぁな…すまねえな…副コーチ」

 「いや、いいんだ。俺は指揮官としての役割を果たすまでの事だ。それよりも障害物リレーにお前の能力の事を伝えたのか?」

 「いや、伝えていない。伝えるのを忘れた。」

 「そうか、なら後で伝えるんだな。」

 「わかった。さて…試してみるかい? 俺の力を…」


 龍雅は、そう言ってキーパーグローブを何処からともなく取り出す。


 「そうだな。チーム全員のシュートから耐えて見せろ。」

 「いいだろう。始めるとしようか…」


 龍雅は、キーパーグローブをはめ、そしてゴールポストの前に立つと、サッカー部全員がフィールドに並び、一人目が前に出て、サッカーボールを踏む。


 「さぁ、来な…」

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