第九十二話
僕は黒い扉の前に立っていた。その先には間違いなくアヌビスがいるだろう。僕は迷わず扉を開いた。
「ここまでたどり着くとはなかなかだな。」
アヌビスは黒い玉座に腰掛けていた。
「仲間を、返してもらうぞ。」
僕は一歩一歩ゆっくり歩きながら一つ一つ武装を具現化してゆく。
そしてすべての武装が具現化され装備した瞬間、玉座は消滅した。
「今のをかわすのか。」
ボソッとつぶやいた僕の視線の先には今の攻撃を余裕でかわしたアヌビスの姿があった。
「悪いが今のはお前への攻撃じゃない。気づかなかったか?後ろの棺桶を狙ったのを。」
それを聞いたアヌビスは驚いたように後ろを振り返る。そこには縦に真っ二つにされた棺桶がいくつも転がっていた。
「あの棺桶を切っただと?!」
切れないはずの棺桶が切られたことで動揺するアヌビス。
「この刀は[クサナギの剣]切れないものなんてないんだよ。」
その時アヌビスが青い炎をいくつも投げつけてきた。10や20ならまだ避けれたがおよそ100となるとさすがにきつい。僕は飛んでくる火の玉に向かって左手をかざした。すると火の玉は僕に当たる直前に消えた。そして消えた場所からまたアヌビスに向かって飛んでいった。
「[ヤタの鏡]。あらゆる攻撃を倍以上にして返すことができるんだよ。」
自分の放った火の玉によってダメージを受けたアヌビス。案外あっさりと勝負は決したかのように見えた。しかしそうではなかった。彼の周りにどんどん瘴気があつまってゆく。そしてアヌビスの姿はみるみる変わりどう見ても死神だった。
「おいおいおい、まだ強くなるのかよ。」
僕が苦笑いしなからそう言った途端僕の体は激しい衝撃に襲われた。




