41.ばけもん
新しい街へとやってきた俺たち。
どうやらこの街にはヤバいやつがいるようだ。
地中からでかいムカデのバケモノが出てきて、俺に襲いかかってくる。
しかも、一匹二匹の騒ぎじゃ無い。
『GISIIII!』
ムカデの群れが俺に向かって襲ってくる。
だが……。
がきいぃん!
「ふぅ……」
俺の周りには球体上の結界が張られてる。
『い、いつの間に……? 【結】という詠唱すらしてないのに』
「ん? 自動で結界が張られたんだよ」
『じ、自動!?』
「ああ。俺が結界を使おうと念じなくとも、害意のある敵が一定範囲内に入ると、俺の周囲に結界が展開されるようプログラミングされてるんだ」
『ぷ、ぷろ……? なんじゃそれは!』
「さぁ」
師匠の受け売りだ。
事前にいろいろと術式をくんでおくことをいうらしい。
師匠はどうにもこの世界の人間じゃ無い感じだった。
俺の知らない言葉をいくつも知っていたしな。
『なるほど、自動防御か。しかも……この硬度の結界をすぐさま構築するとは。ううん、すごい』
「は? どこがだよ。結界師なんだから、これくらいできて当然だろ」
『だからおぬしの普通とか当然とかは、普通でも当然でもないの!』
そうかなぁ。
「まいいや。とりあえずこいつらウザいし、やっつけるとしよう。結界変形!」
俺を覆っていた結界の有効範囲を広げていく。
ドームが外へと広がりを見せる。
『なんじゃ!? ムカデのやつが潰れていく!? 結界を広げてるだけなのに……!』
「ん? もう一枚結界を張ってるからな。それと今の俺のとの間で、挟まれてるだけだ」
『もう一枚!? いつの間に!?』
「いやほら、この街を覆っていた結界あったじゃん。あれを利用させてもらっただけだよ」
『しかしあれはおぬしの張った結界じゃなかったような……』
「おう、だから結界の主導権を俺に移し、再利用させてもらったんだよ」
カーミラのやつが、黙りこくってしまった。
『……もう、なんというか、バケモノじゃな』
「おまえのこと?」
『おぬしにきまっておろうが!』




