40.虫の街
俺たちがやってきたのは、ツナンと呼ばれる街だ。
南の果て、隣国との国境付近の街である。
『しかし他者から見えなくする結界……一体誰が張っていたのだろうな』
猫状態のカーミラが、フレアに抱っこされながら聞いてくる。
ちくしょう、そこかわれよ。俺も抱っこして欲しいが……まあいい。
「さぁな。ただ、ま、目立つ結界だ。おそらくだが、人をおびき寄せる意図もあったんじゃないか?」
さすがに街が一つ消えたら目立つだろうからな。
調査部隊がやってくるのを見越しているだろう。
となると、あの不可視の結界は罠。
破っただけで終わらないとみた。
「フレア。ここで待っててくれるか」
「わかったわ。リク、早く帰ってきてね♡」
……ああ、なんか新婚感。
いいなぁ。結婚って……いいなぁ!
俺はフレアに結界を張っておく。まあ、いちおう一緒に来ていたやつらにもかけてやるか。
そして俺はツナンの街の中へと入る。
『ゴーストタウン……じゃな』
俺の影のなかからカーミラの声がする。
使い魔であるこいつとは、契約を結んでいる影響で、五感を共有できるのだ。
……そっか。こいつを先に行かせて調査させればよかったな。
まあ雑魚だから、すぐやられちまうだろうけど。
『むかっ! で、主よ。おまえ様の見立てだと、今は何が起きてるのだとおもう?』
街の中には人っ子一人いやしない。
何が起きてるって……。
「街の連中は、結界の主によって、監禁させられてるんだろ。どっか別の場所にさ」
『食われた、とは思わないのだな。もしくは殺されたか』
「ああ。建物が無事だし、戦闘の後も特にないしな」
地面、建物、ともに無事だ。
戦いがあれば、血痕などが残っているだろうし。
そのときだ。
「敵がくる。地下からだな」
『な!? どうして……わかるのだ?』
「俺は探知用の結界を、いつも薄くのばして周囲を警戒してるからな」
結界は球体状にして周りに張っている。
なので、地面からの敵にも対応できるのだ。
俺はその場でジャンプ。
空中に結界で足場を作った。
ぼこぉお!
さっきまで俺がたって居場所に、そいつが現れる。
「でけえ虫だな。ムカデか?」
2階建ての建物くらいの大きさを持った、巨大ムカデが出現した。
そいつは俺をしたから喰らうつもりだったらしい。
「結界変形……【杭】」
俺は足場の結界を変形させて、ムカデの口めがけて、結界の杭を放つ。
ぐしゃぁあ……!
ムカデは口から杭を打ち込まれて、動かなくなった。
『相も変わらず冷静よな』
「まあ、師匠の修行のおかげだよ」
ぼこ! ぼこ! と地面に穴が開いて、無数のムカデたちが出てきた。
さて、害虫駆除すっかー。




