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第十九話、甘い果実と悪戯妖精

「キマイラー。モフモフ、モフモフ、

 気持ちイイーーーー」


 キマイラの鬣! めっちゃモフモフ!

 素晴らしい、気持ちイイ。


「アスナ、あんまり触ってると落ちるよ」

 後ろからラウルの声がする。


「はっはっはっ。

 成長したなぁ、アスナ。

 昔は魔獣、蹴り飛ばしてたのになー」


 一番後ろで手綱を握って、

 アークが笑った。


 け、蹴り飛ばしてたんだアスナちゃん。

 相当、魔獣嫌いなんだな。


「もうすぐ着くからなー、

 あの山を越えたらすぐだ」


 キマイラは大きく、

 翼も広くて、

 三人乗せても、

 すごい速さで飛んでいく。


 この世界を俯瞰で見たのは初めてだ。

 森、砂漠、町、海なんかが、

 視界の部分、部分で配置されて、

 あれだ。マイクラのバイオームみたい。


「キマイラは撫でられるのが好きだ。

 少々せっかちな生き物だが、

 どんどん触ってやってくれ」


「はい! お兄様。どんどん触ります」


「いいぞー。いっぱいマナスを吸い込め」


「マナス?」


「魔獣から出る、力の源だよ」

 と、後ろのラウルが教えてくれる。

「ペガサスから、キラキラ、

 降ってきてただろう?」


「あぁ、あのキラキラ」


「すごいぞ!

 ペガサスにマナスを降らせたのか。

 マナスは、相手を思いやる心だ。

 感謝されたんだ、さすが我が妹!

 ナデナデしてやろう!」


「お、お兄様、手綱放さないでください!

 乗り出してこないで! バランスが!」


「おっと! もう着くからなー、

 着地の衝撃に備えよ!」


「ちょ! スピート落としてください!

 ギャー!」



  ◇◇◇◇



 森の真ん中に、

 ぽっかりと平原が広がって、

 そこが見事な花畑になっていた。


「どうだ!キレイだろう!」


 様々な花が足元に広がって、

 ふんわり光がさして。

 これはすごい!


「素敵です! お兄様」


「そうだろう!

 一度アスナを連れて来たかったんだ」


「私、真ん中まで走って行っても

 良いでしょうか」


「おぉ、行ってこい。

 ラウルも遊んでおいで」


 様々な花々が

 存分に輝いている。


 ピンクも、黄色も、

 青も、緑も、

 皆、調和し、高めあって。


 存分に走って、ボスンと倒れこむ。

 膝くらいの花々に、丁度隠れる。


 カラフルな花々の間から、

 雲模様の空が見える。


 あぁ、天国はこんなだろうか。

 死んでたら、こんな所だったろうか。


「あれ? アスナどこー?」


「こっち」


 両手を伸ばして、空に叫ぶ。

 ラウルが覗き込んできて、

 青い髪が空と溶け合う。


 えへへと笑って、手を伸ばす。


「引っ張り上げて!」


 ラウルが笑顔で手を掴んで、

 バサと羽根を広げた。


 ふわりと飛び上がって、

 ゆっくり降りる。


 あぁ、楽しい。子供に戻ったみたいだ。

 戻ってるか。


「おーい。ポポの実がなってるよー。

 ラウル取りにおいでー」


 アークが呼んで、

 ラウルが飛んで行った。


 羽根があるってのは、便利だ。


 ポポの実は黄色くて、

 手の平くらいの大きさ。


「そのまま食べられるけど、

 種あるから、気を付けて」


 ラウルに言われて、かじって、みる。


 果実というより、油分が多くて、

 甘いアボカドみたい。


「おいしい?」


「おいしい。カスタードクリームみたい」


 1つ持って帰って、ココにあげよう。

 キマイラの世話と掃除を

 まかせてしまった。


 上着に突っ込んでいると、

 アークが歩いてきて、

 ラウルを呼んだ。


「北に15分ほど飛ぶと、川が流れてる。

 水を汲んで来てくれないかい」


「はい、もちろんです」


 革袋を受け取って、

 ラウルが飛んでいく。


 アークの指示は、気持ちいいほど

 嬉しそうに聞く。


 白い羽根が小さくなるのを見ていると、

「さて、アスナ」

 と、アークがこっちを向いた。


「どうしました? お兄様」


「お兄ちゃんに、

 学習の成果を見せてくれないかい?」


「学習の成果ですか?」


 アークは頷いて、懐から瓶を取り出す。

 開けると、中から

 沢山の蝶々が飛び出した。


 紫色の、綺麗な蝶。

 辺りを飛びまわって、

 すごく綺麗。


「さぁ、この蝶の名前は?」


 そうだ、授業で習った。


「マルベリーモルフォ、です。

 甘い匂いを出して、お互いを誘います」


「そうだ。すごいぞアスナ!」


 褒められて、嬉しい。


「蝶が飛ぶと、アスナはお姫様みたいだ。

 いつものドレスだったら良かったな」


 アスナちゃん、いつもドレスなんだ。

 貴族だもんなー。


 さすがに学校では、

 掃除もあるし、実技もあるし

 ズボンと機能性の高い上着が主流だ。

 もちろん、今日も。


「その恰好もカワイイぞ! それに」

 と、アークの顔が、ふっと変わる。


「スカートじゃないのは正解だ」


 へ?


 蝶の一匹が、何かに捕食されて消えた。

「え?」


 蝶じゃない羽音が聞こえてくる。

 それがどんどん増える。


「マルベリーモルフォは、

 森のグレムリンの大好物なんだ」


 15センチくらいの、

 羽根の生えた妖精が、

 ニヤニヤ笑って、取り囲んでいた。


「グレムリンは、すごく悪戯好きで、

 人の嫌がる事が大好きだ」


 バタバタと沢山の妖精が

 襲いかかってきた。


「ちょ! 髪! 服! 引っ張らないで! 

 ぎゃあ! 服の中に入るのやめて!」


 上着に手を突っ込んで、引っ張り出す。

 ケタケタ笑ってボンっと消える。

 そして多分どっかでまた現れてる。


 なにこれ、うちのコウモリ羽根みたい!


「ぎゃ! 痛っ!」


 髪を引っ張られて、後ろに倒れる。


 一匹が、靴を片方、勝手に持ってく。

「ちょ! 靴!」


 必死に両手で振り払うが、

 数が多い!


 一匹、頭にぶつかって来て、

 後ろに倒れる。

 花びらが辺りに舞う。


 ズルと、ズボンが引っ張られた。


「へ?」


 スボンが脱げて、持っていかれる。

 太ももに草花が当たって痛い。


「ちょっと! ズボン返して」


 下は、パンツだけの姿で座り込んで、

 アークの方を見ると、

 1人涼しい顔で腕を組んで。


「ほっとくと、身ぐるみ剝がされるぞ」

 と、こっちを指した。


 マ、マジですか、お兄様。

 私は今の今まで

 溺愛お兄様だと思ってました。


 でも違った。お兄様は


「さぁ、切り抜けて見せろ」

 と、目を細めて言う。


 鬼畜だ。


◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇

 『次回予告』


「素っ裸にされたら助けてやる」


「お兄様、あとでぶん殴りますからね!」


 毎日更新!


 今日も

 お仕事お疲れ様!

 モフモフー

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