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第十三話、卑猥な単語とご主人様の名前

「バジリスク2体と交戦の上、殺した、

 との報告。相違はないかね」


 レオナルド先生が、

 報告書を見ながら聞いてくる。


「間違いありません」

 私は緊張した声で答える。


「どのように殺害したのかね?」


「僕が氷で、2体とも殺しました」

 隣に立つココが、はっきりと言い切る。


「相違はないかね?」

 先生は私に向かって聞き、


「間違いありません」

 私は答える。


 先生は二人を見比べて、

「承知した。報告書を受理しよう」

 と、用紙を畳んだ。


 ほっと息を吐くと、先生は、

 私とココの肩をガッシと掴んで、


「無事で良かった」

 と、絞り出すように言った。


「怖い思いをさせてすまなかった。

 生徒を危険に晒したのは私の落ち度だ、

 許してくれ」


 ぐっと捕まれて、思いが伝わってくる。

 生徒想いの良い先生だ。


「先生のせいではありません。

 バジリスクが、しかも2体同時に、

 この時期に起きるのは

 普通ではありません」


 ココの言葉に先生も頷く。


「そうだな。

 レアケースと処理するには解せぬな」


 レオナルド先生は、立ち直すと、

「この件は上に報告して、

 原因の調査を頼んでおく。二人とも、

 今日はゆっくり休むように!」


「はい! 失礼します」

 二人は頭を下げて、報告室を後にした。


「ごめんねー。嘘つかせて」


 廊下を歩きながら、

 ココがニコニコ笑って言う。


「いや、私どうせ説明出来ないしー。

 むしろ助かったよ」


 青い炎が勝手に出ましたー、

 とか信じてもらえる訳ないし。


「本当に心当たりないの?」


「ないない。

 あ、もしかして秘められた能力が

 開花したとか、そんなのかな」


 ラウルやジルが

 風を使えるように。


「使いこなせたら、

 ワームを一斉に捕まえたりとか、

 出来るかなー。

 ジルがやってるみたいにー

 ……あれ、ココ?」


 ココが立ち止まって、

 何か考えているようで。


「どーうしたの?」

 と、ココの顔を覗きこむ。


「青い炎は、すべてを焼き尽くす」


「そっか。じゃあ、ワームは無理だね」


 ココが手を伸ばして私の両肩を掴んだ。

「本当に知らないんだね」


 無表情のまま、私の肩を押す。


「ココ?」

 押されて、一歩下がると

 廊下の壁に背中がついた。


「知らないなら仕方ない」


 ココが顔を近づけて、

 その冷たい吐息が首筋にかかった。


「続きは彼に聞こう」


 へ?


「×××××」

 耳元で呟かれる。


 聞き取れない音階。

 何を言ったか、わからない。

 わからない、

 わから……


 真横でボンっと音がして、

 スーツの男が倒れこんだ。


「え? カルア?」


 カルアは慌て様子で

 バタバタと体勢を整えると


「あ、あなた何て事、口走るんですか!」

 と、ココに叫ぶ。


「このキツネ、今、魔族の言葉で

 聞き取れないのを良いことに、

 すごく卑猥で鬼畜な事、言いました!」


 そうなの?


「えー、僕、知らないよー」


「おぞましい……あぁ、おぞましい」


「カルア、ちょっと人間の言葉で

 何を意味するか」


「嫌ですよ。私の品位に関わります」


「てか、ココ知ってたの?」


 カルアの事を話した事はない。


「キツネは耳がいいからね。

 その、羽音は響くし、目立つ」

 と、カルアのコウモリ羽根を指す。


「ふん、キツネが」


「さぁ、あの、青い炎は何? 教えてよ」


 ピリと空気が緊張した。


 ふん、とカルアが鼻で笑って。

「ぜったい嫌です」

 ボンと煙をまとって消えた。


 そうだ、あのカルアが、

 簡単に教えてくれるはずもない。


「ココ、ごめん。こうなると、

 もう出てこなくて……」


 ココは私に、にっこり笑顔を見せて。


「しょうがない、アスナ、僕と一緒に

 ×××××しようか」


「やめてくださーい!」


「あ、出てきた」


「あまりに卑猥です!

 穢れる! ご主人様の贄が穢れる!

 ぜったいやめて下さい!」


「そう、やっぱり贄なんだ」


 ココの顔から笑顔が消えた。


 カルアが舌打ちをして、

「この鬼畜が」

 と吐き捨てる。


「キツネは、生まれつき鬼畜なんだよ。

 知らないの?」


 一切の笑顔が無くて、空気が怖い。

 なんか、もしかして、

 私が考えるより、深刻?


「あの炎はなに?」


「教える義理はありませんね」


「じゃ、聞き方を変えよう」

 ココがふうと一つ白い息を吐いて。


「ルシファルスは、

 アスナで何をする気なの?」


 シンと空気が冷えて、

 カルアの顔が変わる。


「ご主人様の名を、

 軽々しく口にするな! キツネが!」


 カルアの叫びが、廊下に反響して、

 すぐに消えた。


◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇


 『次回予告』


「アスナから離れろ、使い魔」


「大人しく見ててください」


「ちょ!そこ、触らな……」


「これはお仕置きです」


 毎日更新!


 今日も

 お仕事お疲れ様!

 モフモフー

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― 新着の感想 ―
カルアさんが言葉の意味がわかるからこそ若干可哀想なんだろうなぁと思いつつでも取り乱してくれてありがとうとも思ってしまう私がいる⋯。ココさんも意味を分かっていわざとその言葉を言ってそう⋯。はぐらかし方ま…
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