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35歳おっさんの同人即売会の楽しみ方  作者: 国米


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6/6

夢

俺は同人誌即売会の戦果を整理していた。


「購入したのは・・・聖地巡礼集、鎧コスプレ集、造形指南書・・・」


イベントの余韻を楽しむように一つ一つ読み込んでいく。

クオリティはあまり高いとは言えないし、尖った内容で、ある程度オタク知識がある俺でも全ては理解出来ない。

ただそこにつぎ込む情熱は感じられた。


「俺も何か作れば、情熱を持てるのかな?いや・・・違うな、情熱があるから作るのか。」


俺も多少絵を描いたり、何かを作ったりすることはあった。

確かに楽しかったが、凄い人の作品を見ると、俺には無理だとすぐ諦めてしまった。

でも、そうじゃない・・・勝つか負けるかの世界じゃなく、やりたいから作るという感覚なのだろう。


「もう情熱がない俺には無理だな・・・。」


そっと、戦利品を押し入れの奥底へとしまう。

すると突然、体に疲れによる倦怠感が襲った。


「しかし、疲れたな・・・酷く眠い・・・」


俺は心地よい眠気と共に暗闇へと落ちていった。


◇◇◇


(・・・どこだろうここは・・・)


気が付くと、俺はイベントで何かを売っていた。


「どうしたの?」


声をかけられて隣を見ると、【幽夢(ユウム)】のコスプレをしている女性の姿があった。


「えっ・・・まさか「金の豚」の売り子さん?」

「そんな他人行儀な言い方しなくていいよ。私達、恋人でしょ?」

「恋人・・・そう言えばそうだったな。」


もちろん恋人どころか名前すら知らない。

ただ、この時点で夢だと理解していたので、少しでも楽しもうと思った。


「そういえば君の名前はなんていうんだい?」

「私の名前?当ててみて?」

「う~ん・・・」


俺は彼女の顔をじっくりと見る。

笑顔の彼女に何か既視感を覚えた。


(あれ・・・この笑顔、どこかで・・・。)


その時、頭の中である言葉が浮かんできた。


《私は【コスプレイヤー】なんですけど、【同人イベント】とか好きだったりしますか?》


〇〇と二人で帰った時の会話である。


「まさか・・・君は〇〇?」


◇◇◇


「ハッ!」


目が覚めると、いつもの汚い天井が目に入って来た。

俺は汗びっしょりの体を起こして、夢の内容を思い出す。


(夢・・・だったよな、間違いなく。)


混乱した頭を整理して現実を夢を切り離して、整理してもう一度彼女の言った言葉を思い出してみる。


《私は【・・・・】なんですけど、【・・・・】とか好きだったりしますか?》


(二人で帰った時に彼女の言っていた事は、やはり聞いていない。あの夢は俺の思い込みによって生み出されたものだろな。)


ただ、無意識化で実は聞いていて、夢でそれが再現された可能性もある。


(そうだ、姿だ・・・姿が合致していたら・・・)


コスプレ衣装の彼女を思い出してみる。


服装は参考にならないとして、体系や身長は酷似していたか・・・体形は似ていたかもしれないが、身長は座っていたからわからない。

顔は酷似していたか・・・全体的な形は似ていたような気がする。


(正直に言うと、確証はない。確かめるには本人に確認するしかないだろう。)


しかし、もし外れていたら大恥である。

ただ、彼女の顔がこびりついて離れない。

気になって、このままでは眠れない。


「よし!やはり本人に確認ししよう!」


「【幽夢(ユウム)】のコスプレイヤーが【金井さん】かどうかを!」

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