何もないおっさん
あるビル内にあるオフィスで、みな忙しく働いている。
データ入力する者、電話対応する者・・・そして、叱責される者・・・・
「申し訳ありません。出来ていると思っていたんですが・・・」
「思っていた?それじゃ困ります。仕事は出来ていないと意味がないんです。わかってますよね?」
ヨレヨレのカッターシャツを着た中年男性は、叱責する男にとにかくペコペコと頭を下げては謝っている。
「それはもちろん・・・ちょっとわからない所がありまして・・・」
「わからない所は聞けと言ったでしょ?」
「聞いたのですが・・・そこは自分で考えろと言われたので・・・」
すると叱責していた男は「はぁ・・・」とため息をついて、
「考えろとは言いましたが、適当にやれとは言ってませんよね?考えろと言ったのは、考えて聞けと言う意味です。そんな事もわからないんですか?」
「申し訳ありません。理解していませんでした・・・今日中に残ってでも修正します。」
するとまた「はぁ・・・」とため息をついて、
「こんな仕事残ってまでやる仕事じゃない・・・時間の無駄です。つまりお金の無駄です。わかっているんですか?こうやって話している間にもお金は発生しているんですよ?」
その後も「効率的に仕事しろ」と言う事を散々言われ、最終的には「あなたの存在自体が無駄」と長い説教を受けた。
「もう私の時間を奪わないでくれますか?非効率なので。」
「申し訳ありませんでした。」
俺は肩を落としながら、席に戻り・・・一度、深呼吸した。
(やっと解放されたか・・・その長い説教が一番非効率だよ。)
と言いたい気持ちをぐっと抑え仕事を再開する。
俺の名前は佐藤 正義、35歳の安月給で働く派遣社員だ。
このようにミスをしてはいつも怒られている。
だからといってへこんでいる時間はない。
とにかく最近はコスパコスパで、俺のようなとろい人間はいつ切られるかわからない。
(残るなって言われたから、早くやらないと・・・これは昼食抜きだな。)
◇◇◇
「ふぅ・・・なんとか定時までに仕事が終わったな・・・やっと土日がきた。」
俺は住み慣れた実家の狭い部屋で寝転がりながら、一息ついた。
部屋の中には子供時代から蓄積してきたオタクグッズが部屋の半分を占拠している。
「随分と溜まったなあ・・・そろそろ整理しないと・・・」
土日や祝日は基本この部屋でアニメ視聴やゲームなどをして引きこもって過ごす。
そう・・・俺は子供部屋おじさんなのである。
「明日は同人誌のイベントだ・・・これでまた同人誌買ったら部屋が圧迫されてしまう。」
明日は待ちに待った同人誌イベントである。
アニメやゲームなど多彩な趣味?があるが、一番の楽しみは同人誌イベントで同人誌を購入する事である。
俺は明日のイベントに向けて、休み前の夜更かしをやめて早く寝る事にした。




