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平民騎士予定の憂鬱なる日々  作者: もりかぜ
もうすぐ12歳
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そして食事会

メイドさん レオニーさんに連れられ今日泊まる部屋に案内してもらった。

そして風呂で旅の汚れを落とし、ダイニングルームへと向かった。


ダイニングルームには既にお嬢様が居て、対面の席に座るよう促された。

お嬢様はお茶のときと異なり、今は赤紫色のローブを着ていた。


「さて、食事にしよう。

 安心しなさい。ノワールのマナーは然程難しくない。

 蛮国のように一つの食事を回して飲み食いしないし

 帝国や旧都のように良く分からないルールもない。」


教えてあげようと、


マナーに苦戦しつつの食事も恙なく(?)進み


「お茶の場の続きですけど、俺が呼ばれる理由って他にもあるんですか?」

「ああ、第二王息殿下の婚約者であるマジェンタ侯爵令嬢が君と同じ年頃だからじゃないかと」


ん?それって取り巻き探し?それとも監視役?


「でも、お嬢様。俺、女性でもないし貴族でもないですよ。」

「うん。だから二つの意味があるのだと考えられる。

 一つは、君との縁をつなぐこと。

 一つは、君を確保すること。」

「うん・・・うん?」

「運よく、第三王息殿下と第一王嬢殿下の覚え目出度い君なら、変な事しないだろうし。

 誉れ高くも庶民入学第一号と接点があるとなれば、それだけでも優位を保てる。」

「それと容姿だな」

「ん?容姿?」

「奇しくも黒目に黒髪の組み合わせは、この国に留まらず、周囲の国でも珍しいことなのだよ。

 良く知られているのは旧都の皇帝が確か黒目と黒髪だったとされているくらいだ。」

「あー。容姿・・・だけど、ただの庶民ですよ?」

「だからだ。変なのに変に担がれないように、薄くでも確保しておきたいのだろう。」

担ぐなら軽い方が良いと、庶民ならお手軽で便利だと、なるほど。

「王家の方々も大変ですね。」

「理解が早くて助かるが、一応当事者だからね?」

と、あきれた顔をされてしまった。

解せぬ。

「君にもメリットが無い訳ではない。

 順当に行けば、二人目の庶民入学者は、君の妹君だろ?

 彼女が入学してきたら、別の意味で大騒ぎになるぞ。」


うちの妹は母親に似て可愛い系の美人だ。

宿の看板娘としても人気が高く、二人を目当てに食事や泊まりに来る冒険者も多い。

でも、お嬢様のような貴族の令嬢ばかりの学園で、そんなに騒ぎになるのだろうか・・?


そんな疑問を抱いていると

「騒ぎになるから、いまのうちに鎮静化できる方を確保しておきなさい」


と忠告されてしまった。


食事を終えると、お嬢様は『明日も大変だろうから』と解放してくれた。

今回の旅で一番ふわふわのベッドに潜り、

今までの疲れを癒すかのように、

明日の戦いの前の活力を得るかのように、

俺はぐっすりと夢の中へと落ちていったのだった。

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