22
その22です。
「ぐウッ」
宙に浮いたヴェリヨが短く息を漏らす。
まるで人形のように軽々と持ち上げられた彼は、そのまま猛烈な勢いで反対側のドアへ衝突し、その向こうにある部屋の奥へと消えた。
「えっ?」
急変する状況に思考が停止している少年が反射的に振り返る。
だが、薄闇に沈む部屋に巨漢の姿を確認するより早くレギオンの一部が分裂し、彼のもとへ襲撃してきた。
「部屋に飛び込むのだ!」
魔王サマに指示されるまでもない。数秒前まで幽霊で埋め尽くされていたた部屋に、彼は文字通り飛び込んで素早くドアを閉めた。
……どうやら、異界化した空間では幽霊も壁抜けできないらしい。
安堵感に包まれるのも束の間、彼の頭の中で様々な感情が爆発した。
「……あ、これって、いやでも、あーっと、しかし……」
混乱のあまり、自分が何を口走っているのかも分からない。
ヴェリヨは無事なのか、助けに行かなければならない、あんなのと戦えるとは思えない、そもそもここから脱出できるのか――思考ばかりがぐるぐると脳内で空回りする少年に対し、頭上から追撃が加えられた。
「ふむ。どうやらこの異界はワープ型のようなのだ」
ワープ型、なんて単語の意味は分からないが、より絶望的な状況に沈められたことは確定した。
キリが良いので、本日はここまでです。




