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負けを認めるんだね春の兄貴!

田中さん、葵、ファンクラブC君に僕を交えた四人で雀卓を囲み、唐突過ぎて理解が追いつかないままに麻雀が始まってしまった。



「ってか、なんで雀牌と一緒にトランプ並べてんだよ?」


葵と僕の机を引っ付けて作られた即席雀卓の上に、葵が家から持参してきたらしい雀牌をぶちまけていた。

と思いきや、続けてトランプのカードも配り始めたので少し焦る。


「え? 麻雀と一緒にポーカーやろうと思って」

「は?」


うん。なんか絶対ろくなことないと思う。



――東一局。


「それじゃー、あたしの番ね! てや! ロイヤルストレートフラッシュ!」

「いや待て! 今は麻雀だろ! なんでトランプ優先してんの!?」

「え……だって、あたしルール知らないし」


言いだしっぺだよなお前!? せめて基本的なルールくらい知っておいて欲しかった!



――東二局。


「っく! 流石っすね葵さん! あの田中さんと春の兄貴のお友達でいらっしゃるだけの事はあるっす!」


いや、お前の方が流石だよ。なんでこのノリについていけてるのか教えて貰いたいくらいだよ。


「しかし俺だって春の兄貴の舎弟! ここで呆気なく殺られたりはしねぇっす!」

「いつから舎弟になったんだお前」

「……来ましたッ! 革命返し!」


だからなんでトランプ!?




――東三局。


「やりましたー! 国士無双です!」

「一人で黙々とやってるの見てたけど、何気に強いな田中さん!?」

「えへへ、麻雀には自信がありまして」


しかし田中さんがいくら強かろうと、この無法地帯では全く意味無いと思います。間違いなく。



――東四局。


「……もうやめね?」


手に持っていた雀牌を机上へ放り投げながら提案してみると、向かい側でクラスメイトC君とババ抜きに興じていた葵がこちらを向く。


「負けを認めるんだね春の兄貴!」

「いや、負けもくそもないだろ? そもそもルールが存在してないんだし」

「え? 普通の麻雀だったでしょ?」

「その台詞はトランプをしまってから言え」


一番麻雀をやりたがってたヤツが、なに開始三分で飽きちゃってんのさ。

そんな文句を考えながら、とりあえず自分の分の雀牌を片していく。


「せっかく麻雀ができると思ったのに、残念です」


そんな僕を見た田中さんも残念そうに牌を片付け始めた。


「仕方ないって、相手が悪かったんだ。今度はまともな人達とやろうな」

「ちょっと! それってあたし達がまともじゃないみたいな言い方ぁー!」

「そうっすよ! ひどいっす春の兄貴!」

「黙ってろバカ共! お前等にはもう二度と付き合わん!」


あぁくそ、HR前から無駄な体力を使ってしまった。



全く、今日はどこまで騒がしいんだろうか。

早朝に田中さんと咲が仲睦まじくしていたのは、まぁいいとして。

朝からサラダさん率いるカラス軍団につつかれるわ、朝食は抜きになるわ、葵の思いつきに振り回されるわ……。


「って、あれ?」


今日のことを振り返ってみると、ふと思うことがあった。


ついこの間までの日常と、路頭生活を始めてからの日常の大きな変化。


少し前までの僕は、朝くるみと一緒に朝食をとり、通学は一人、そしてほとんど誰とも会話をせずに家路につく。これがこれまでの日常。


しかし、今は違う。

河原に居るときはサラダさんと喧嘩して、学校へは田中さんと一緒に登校し、HR前には葵やファンクラブC君とバカをやり、放課後は河原まで遊びに来てくれるくるみと遊んで……って、一日中誰かと一緒に居るよな。



「真鍋さん? どうかしましたか?」


そんなことを考えていると、田中さんが隣から僕の顔を覗き込んできた。


「え、あぁ。別になんでもないぞ?」

「そうですか? なんだか少し嬉しそうな顔をしていたので、気になっちゃいました」

「嬉しそうな顔って、マジですか」

「ほんとですよー?」


僕が嬉しそうな顔ねぇ。田中さんがそう言うなら、それは事実なんだろうけど。

それはつまり、今の騒がしい環境を楽しんでるってことでいいのだろうか。


「ま、確かに少しくらい騒がしい方が楽しいわな」

「あ! そうだ! それじゃー、賭け金は春さん持ちで決まりだね!」

「おぉー! ごちになるっす春の兄貴!」


……よし。前言撤回。



祝! 70話突破!


いやはや、遂にこの物語も70話突破ですよ。感動ですね。

とは言ってもこの小説は一話辺り1000文字程度なので、70話のわりには大して苦労していなかったり。


とまぁそんな作者の諸事情は置いときまして。

今はこの場をお借りして、読者の皆様に感謝の言葉を送りたいと思います。

最近は作者が驚愕して腰を抜かす程の高評価を頂きまして、本当にありがとうございます。実はPCの前で発狂していたと言うのは内緒の話。


それでは、これからも『小説家になろう』の隅っこで地味に頑張っていきますので、どん底だけどラブコメった日常。を暖かく見守ってやってください。

どうも又二郎でした。これにて失礼をば。


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