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ハル! ムキになるな! 鳥のやったことだ!

もういい、くるみの説得は全て咲に任せよう。

既に僕の手に負える状況ではないのだ。許してくれ咲。


「おいハル! 鳥が当たったぞ!」

「は? うぉっ、それ七面鳥だぞ!?」


お使いに行かせたサラダさんが片手に七面鳥をぶら提げて帰ってきた。


「どうしたんだそれ?」

「くじ引きというヤツで当たった! コレ食えるのか!」


ギュワォォォオッ!? ギュワォッ!?


「いや、生きてるヤツはちょっと……」


ちなみに七面鳥は生きていた。

今もサラダさん手の下で暴れている。


「食えないのか! なぜこんなものがくじ引きの景品になっている!」

「いや僕に聞かれても」


なにかの手違いで丸焼きになるはずが生きたままになったのだろうか。


ギュワォー!? ギュワァァァァァッァァァッ!


「おいうるさいぞ! 黙れ鳥!」


ギュッ……。


「黙ったな」

「ははは! きっと私に懐いているんだ!」

「いや怯えてるだけだろ?」


言いながら七面鳥に顔を近づける。


「大丈夫か? お前も災難だったな、よりによってサラダさんに捕まるなんて」


ギュワァッ!


「ぐおっ!?」


顔面くちばしで突っ突かれた!?

痛ぇ! 痛ぇええええええええええ!


「テメェ丸焼きにすんぞ!?」


ギュォー!


「ハル! ムキになるな! 鳥のやったことだ!」

「二人ともどうしたんですか? うわ、なんですかそれ」


騒ぎを聞きつけやってきた田中さんが七面鳥を見て驚く。


「くじ引きで当たった!」

「くじ引きで? 生きたままですか?」

「そうだ!」

「そ、そうなんですか、なんだかちょっと怖いですね」


そう言って七面鳥に手を伸ばす田中さん。


「お、おい! やめとけ! そいつは凶暴で……」


慌てて止めようとしたが、既に田中さんの手は七面鳥の身体を撫でていた。

おいおい大丈夫か、と思いきや。


ギュワー。


「案外大人しいですね?」


七面鳥は大人しく撫でられていた。


「嘘だろ? さっきは近づいただけで攻撃されたのに」

「きっとハルのことが嫌いなんだな!」

「んなわけあるか。僕なんもしてないのに」

「それより、この鳥さんどうするんですか?」

「私が飼う!」

「やめとけ。どうせすぐ逃げるだろ」


そうなればご近所様に迷惑だ。


「大丈夫だ! 鳥は私に懐いている!」


そうだろ! と鳥に訊ねるサラダさん。

七面鳥は無言で固まっていたが、サラダさんは満足げに頷いた。


「ホラ見ろ!」

「どう見りゃいいんだよ」

「……もうハルはどうでもいい! クルミに自慢してくるぞ!」

「お、おい! 怪我させんなよ!?」


くるみのもとへ駆けて行く背中に叫んだが、伝わったかどうかは微妙だ。



「もしかしてサラさん、くるみちゃんが居なくなるからあの鳥さんを……」

「いやそれはない」

「そうでしょうか?」


あのサラダさんが寂しがるタマですか。


「んー まぁ、仮にそうだとしても」


あの生意気な七面鳥がくるみの代わりになるわけない、ということで。


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