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この朝食が終れば赤の他人。どう考えても時間の無駄だ。

それから僕達は少し遅い朝食をとることになった。

どうやら僕の帰りを待っててくれたらしいので、待っててくれてありがとう、と皆にお礼を言ってから朝食を食べ始める。


「そうだ! せっかくですから皆さんで自己紹介しましょう!」

「は?」


鮎の丸焼きをかじっていると、田中さんがそんなことを言い始めた。


「あら、なんか不満顔ですね」

「いやする必要ないだろ?」

「ありますよ! まだこちらのお姉さんには自己紹介してません!」


お姉さんと言うのはおそらくネーチャンの事だろう。


「なんだ! 自己紹介か! 私は誇り高き戦士だぞ!」

「はい自己紹介終わりー もういいだろ? 早く食おうぜ」

「な、なんか真鍋さん冷たいです……」


当たり前だ。なんでこんなヤツに自己紹介なんてせにゃならん。

この朝食が終れば赤の他人。どう考えても時間の無駄だ。



「くるみはくるみっていうのー かっこいいおねーちゃんはなんていうの?」


なんか勝手に自己紹介してるし。

やめとけくるみ、朝食冷めちゃうぞ?


「私か! 私はサラだ!」

「私はサラダ? ハハッ、ウケる」

「お前! 喧嘩を売っているのか!」

「すんませんサラダさん(笑)」

「おのれ! 私と戦え!」


冗談だっつの、本気にすんなよ。


「つかサラダさんはなんで路頭に迷ってんの?」

「私か! 私は……任務を遂行するためにこの国に来たんだ」

「お、おい?」


なんだろう、なんかネーチャンの雰囲気が変わったような。

世間話でもする感じで聞いてみたのだが、どうやら真面目な話になるっぽい。


「無事に任務は果たした。だが私にはまだやることがあった、だからこの国に残った。それだけだ」

「やることって?」

「それは……スマン」

「いや謝んなって。無理に聞くつもりねーし。悪かったよ」


んー なんつーか。ネーチャンにもいろいろあるらしい。

ただの野蛮人かと思っていたのだが少し違うような気がしてきた。


「サラダさん。自己紹介してもいいか?」

「なんだ急に! 気持ち悪いぞ!」

「失礼なヤツだな!?」

「私のことをサラダと呼ぶお前に言われたくない!」

「うぐっ」


馬が合わん。


「だが、名前くらいは聞いてやる!」


あれ? 一応聞いてはくれるんだ?


「えっと真鍋春です。よろしく」

「ハルか! 女みたいな名前だな!」

「野菜みてーな名前のヤツに言われたかねーよ」

「なんだと! 私はサラだ!」

「……」


 サラダ【salad/(フランス)・(オランダ)salade/(ポルトガル)salada】

 生野菜またはゆで野菜に、冷肉・ハム・魚介・卵・果物などを取り合わせ、サラダドレッシングで調味した料理。サラド。

 bygoo辞書。


「何を考えている!」

「うぉっ!?」


脳内でgoo辞書を引いていると顔面めがけて拳が飛んできた。

危なっ! 今避けてなかったら顔と胴体がサヨナラしてたと思います!


「危ねえわ! なにすんだよ!?」

「お前がバカなことを考えるからだ!」


考えるくらいいいじゃないっすか! てかお前もエスパーか!?



そんなバカ騒ぎをしている僕とネーチャンを見て田中さんが微笑んだ。


「仲良きことは美しきかな、ですねー」

「そうだねー」


つられてくるみも笑ったが、おそらく言葉の意味は理解出来てなさそうだった。


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