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人形の館

2段階認証問題で小説家になろうに、ログイン出来てませんでした。


 恋慕通り西口に花瀬達が到着すると、ほぼ同時に岩神龍彦も到着した。

「岩(ガン)さん済まないね。まずはこれで不知火と言う男を解放して欲しい」

 そう言って、花瀬は50万円を岩神に手渡した。

「どうやら、ボッタくられましたか。あの店らしいですな」

 花瀬の手から50万を受け取り、そんな事を言う。

「不知火が、間抜けなだけですよ」

「まぁ、そうかも知れませんが、片手で指5本出されて5万と思ったのでしょう。ここには、うちの者を派遣してますので、依頼と一緒に何とかしましょう」

 そう言い残し岩神は、一人でサンクチュアリビルへと、入って行った。


 岩神を見送った後、花瀬は目を細めて、サンクチュアリビルを見上げている。

「不知火め、何が関係あるだ。階が全く違うだろう」

 禁断のアリスがある階は7階、花瀬がじっと見つめていたのは4階だった。

「秋子、ここで岩さんと不知火が出て来るのを待っていてくれるか。私は4階に行って来る」

 侍園は、少し顔をしかめたが、すぐに何事もなかった様に頷き了承する。

「了解しました。そのあとは…」

「二人が先に帰って来たら、ここで待っていてくれ」

 そう言うと花瀬も、一人でビルへと入っていった。



 禁断のアリス内、一人の女性が不知火に近寄って来る。

「お兄さん、九州ん人ね。私も九州だかい訛りで、すぐ分かったわぁ」

 飛び切りの美人と言う訳ではないが、人好きのする顔立ちと明るさ、何処となく魅了するルックスの女性は不知火に話しかける。

「俺は、そんなに訛っているか」

「九州者が聞けば、あぁ、こん人は九州ね。って分かるくらいにわねぇ」

 そう言いながら、女性はボーイを呼んで何やら話をしている。

「次から、あのお客さん、私指名の贔屓やかい、少し勉強してやってな」

「鈴(リン)さん、それは…」

 ボーイは躊躇したが、更に追い打ちを掛ける。

「大方、吹っかけたんやろ。オーナーにどやさるっけどよかとね」

 ボーイの男は、渋々この鈴と呼ばれた女性の申し出を了承した。


「兄さん良かったなぁ。これ私の名刺な」

 不知火が手渡された名刺は、朱色の台紙に金の風模様と風鈴が縁取られ、大きめの金字で『鈴』と書かれてあり、その上にローマ字でrinと記されている。

「ほぉ、リンか良い名だ」

「でしょ。良く言われるハハハッ」


 二重のくっきりした瞼を細くして、相好を崩しながら笑った鈴の声に、不知火は聡明な音を聴き取る。

「鈴、お前の声からは良い音がする」

「へぇ、そんな事、言われたのお兄さんが初めてやよ。冗談でも悪い気せんね」


 不知火と鈴が、話をしていると岩神が、禁断のアリスに入って来た。

「これは岩神様、連絡下されば、お迎えに行きましたよ」

 ここの責任者らしき男が、岩神に声を掛けた。

「嫌、それには及ばんよ。それより鈴風(すずか)を、呼んでくれるか」

「畏まりました」


 しばらくすると鈴が岩神の元へとやって来た。

「社長、お久しぶりです。無事ミッション完了です」

「流石は鈴風だね。仕事が早くて助かる」


 鈴風は鈴の本名の様だと考えながら、不知火は岩神の元へと歩く。

「すまない、手間を掛けさせた様だ。えーと…」

「岩神です。ここのオーナーとは知り合いなので手間と言う程でもないですよ。謝罪なら最勝寺さんへ言って下さい。私は依頼を受けただけなので」

 そう言うと岩神は、持っていた50万円を不知火に手渡す。


 支払いに向かった不知火が受け取った領収書には100,000と記入してあった。

「随分と安くなったもんだな。鈴ありがとよ」

「そじゃろぉ、チップもろてもバチは当たらんと思うけどなぁ」

 そう言いながら、掌を不知火の前に出す鈴に5万円を渡すと、今度は鈴が4万円返してきた。

「こんなにはいらんよ。一枚で十分、そう言えば、お兄さん名前聞いとらんかったな」

「俺か、俺は不知火拳志郎。世紀末救世主と同じ名の拳志郎だ」

「何それ、やっぱりお兄さん…拳志郎さん面白いわ。次のご来店も、お待ちしてます」

「あぁ、また来るわ。鈴」


 岩神と一緒に、禁断のアリスを出た不知火だったが、エレベーターに乗り込むと、何かに気付いたのか?不知火は4階のボタンを押した。

「岩神さん、俺は4階に用事が出来た」

「何事かあったのですか?」

「博士がいる」

「そうですか。では、私は先に外で待たせて頂きますよ…それでは、お気を付けて」

 4階に到着すると不知火は、岩神を残し一人4階で降りた。





 4階に到着した花瀬は、エレベーターから降りると、そのまま通路を奥へと歩いて行く。

 一番奥に行き着くと扉に、付箋が貼り付けあり、その付箋には『人形の館』と書かれていた。


「ここだな」


 ドアノブを回してみたが、鍵が掛かっている。

 ドア上部には、看板が設置してあったのだろうか…そこだけ壁の色が鮮やかだった。

「今日はここまでか」


 店舗として開業していなければ、正当な理由が無い限り、只の祓い屋である花瀬では、不法侵入になる。

 後は吾潟刑事現係長達、霊能課の捜査に委ねる事にした。


「吾潟刑事、この間の公園での変死体だが、関係あるかも知れない場所が見つかった。至急、調べてくれないか」

 吾潟刑事に場所を伝え、この場から離れる為に踵を返すと、正面から不知火が歩いて来るのが見えた。

「流石だねぇ博士。もう嗅ぎつけたのかい」

「不知火、お前何処に…まぁ今はいいだろう。今日はここまでだ。後は警察の方で捜査する」

「博士、俺は元(もと)刑事(デカ)だぜ。何とでも誤魔化せるさ」

 そう吐き捨てる様に言うと、青白い手が不知火から伸びていき、ドアの隙間から中へと、その手を滑り込ませると、施錠が解除される音がした。


『カチリ』


「ほら、博士空いたぜ」


 ドアを開けると、乾涸らびた遺体と共に、結界に閉じ込められた饑神の姿が、そこにはあった。


「ビンゴ」

 不知火は饑神を目の前に、右の口角だけを上げてニマリと嗤った。


 花瀬は額に手を当てて、天を仰ぎながら大きく息を吐き出した。




鈴の本名は祐徳鈴風と言います。


祐徳鈴風、163cm、体重普通、

能力、祐徳狐の加護


吾潟秀一郎、182cm、体重90kg

能力、霊纏弾

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