表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
勇者と魔王の暁  作者: 詠風皓月


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

5/16

005 森の西の町(2)

 マルスとヨハンは町の近くの山に来た。

 護衛と称して、兵士が何人か付いてきた。

 それには町の門で、マルス達を足止めした太った兵士もいた。名をコザンという。

 

 山を登っているとすぐに魔獣が出現した。

 巨大な猪の魔獣だ。

 猪は襲いかかってきたが、マルス達はまともに向き合わず、攻撃をかわしながら逃げ回っていた。

 そして、渓谷の崖縁まで来ると猪と向き合った。

 猪はマルス達に向かって突進してきた。

 マルスとヨハンは迎え撃ったが、猪の勢いを止められず、渓谷に猪ごと落ちていった。

 

「勇者様!」

 

 付いてきた兵士達が慌てて近寄ってきた。

 渓谷の下をのぞくと、川が流れていて、猪が流されていったのが見えた。

 マルス達は見当たらなかった。

 

「そんな、勇者様が谷に落ちた」

「下に降りて探すか」

「いいや、とにかく領主様に報告しよう」

 

 兵士達は町に戻っていった。

 

 暫くすると、マルス達が崖から這い上がってきた。

 

「うまく、いきましたね」

 

 マルスが言った。

 

「何がうまくいってるのこれ」

 

 ヨハンが不満そうに言う。

 

 マルス達は崖のくぼみに避難していて、難を逃れていた。

 兵士達の監視から逃れるために、芝居を打っていたのだった。

 

 その時、一羽の鳥がマルスめがけて降りてきた。

 アルバス機関が使用する使い鳥で、フクロウのような見た目だった。

 鳥は手紙を携えていた。

 

(そういえば、町に来る前の村で、鳥を使っていたな)


 ヨハンは思った。

 使い鳥は、町や村で飼育されている。

 

 マルスは手紙を読んで、つぶやく。

 

「良かった、援軍が期待できそうです」

「援軍! あいつらと戦争でもするの?」

 

 マルスはヨハンの問いには答えずに、返信を書くと、鳥に手紙を託し空へ放った。

 

「あの町は、おかしいです。急いで町に戻りましょう」

 

 領主の館もそうだが、何より先にあの教会に行かなければいけない、マルスはそう感じていた。

 

 

 ◆◇◆◇

 

 

 マルス達が町に戻ってくると、すっかり夜になっていた。

 

「どうやって、町に入るんだ」

 

 ヨハンが尋ねる。

 

「町は壁で覆われているし、門には兵士がいるぜ」

「町を見学したとき、入れそうなところを見つけてあります」

 

 マルスが答える。

 

「本当、抜け目ないな!」

 

 マルス達は、壁の一部が崩れている場所に来た。

 一応、木の板が立てかけられて補強されているのだが、町の人も抜け穴として使っているのか、簡単に中に入り込めた。

 そして、何食わぬ顔で町を通り、教会までやってきた。

 教会の扉も、鍵がかけられておらず、中に入れた。

 

 教会の中は暗かったが、月明かりでわずかに見ることが出来た。

 燭台を見つけ、ロウソクに火を灯そうとしたとき、何者かから魔法攻撃を受けた。

 

 二人は咄嗟に避けたが、弱い光の魔法で、当たっても目くらまし程度のものだった。

 

 ヨハンは魔法を放ったと思われる人影に向かって、突き進んでいった。

 何度か魔法を放たれたが、ヨハンは機敏に回避して、人影に迫っていく。マルスも後を追う。

 

 魔法を放っていた者は、ヨハンに接近されると逃げ出したが、ヨハンが追いつきその者の腕をつかんだ。

 

「は、離せ!」

 

 少女の声だった。ヨハンは思わず腕を放してしまった。

 

「お、お前達が……、し、神父様を……!」

 

 少女は叫んで、まだ暴れそうだった。

 

「待って!」

 

 マルスが叫んだが、少女は両方の手のひらを二人に向けた。

 その両手に魔力が溜まっていくのがマルスには見えた。

 

(いけない!)

 

 マルスは、いきなり少女を抱きしめた。

 

「落ち着いてください。私達は敵ではありません。大丈夫です……」

 

 マルスは優しく言った。

 少女は目を丸くして、呆気にとられていた。

 

(あれ……、おとなしくなったぞ)

 

 ヨハンが不思議に思って二人を見つめる。

 

「君の名前は?」

 

 マルスが尋ねる。

 

「……レイラ」

「レイラ、落ち着いた?」

「……ド、ドキドキする……」

「え!」

「うんうん……、大丈夫」

 

 マルスは少女を離した。

 少女の姿を見ると、髪がボサボサで貧相な衣服を身に着けていた。

 

「何があったか話してくれる?」

 

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ