佐倉綾編③:村上晃司の憂鬱と佐倉綾の驚愕
初めてのバトル回。なんだか少し場違いな感じはするけど神薙少女とかもあるしいいよね?
昨日の一件からボクは綾ちゃんへの抵抗は消えた。
そんな同人誌・エロゲ事件からの翌日…眠い…学校行かなくてよくない?やはり、休日明けは本当に憂鬱な気分となる…なんか名前あったよね?どうでもいいけど。
いつものように睡眠中毒者なボクは早めな時間に起きて二度寝をする。それは、普通の睡眠に比べ幾何かの充実感が得られる。たぶん一度で二度おいしい的なのだろう。ちなみにたかしは合わなかった。
そこで睡眠をしていると二回から降りてくる影が…薊だ。
最近、師匠とか、美咲とか、最近は綾ちゃんに邪魔されてさ、欲求不満気味。という訳でシスコンな兄が取るべき行動など分かり切っている。
「薊おはよう。」
「兄さん、おはようございます。まだ眠そうですね。」
「そうだね。今日もぎりぎりまで粘ろうか…。それより…薊…こっちにおいで。」
取り敢えずこちら側へカモーン。寝ぼけ気味のボクはなんだってできる。恥とか考えられないからね。頭が働いてないの。
「はい、いいですよ。」
そうやって近づいてきた薊の頭に手を乗せ…頭を撫でる。この子の好きなことである。毎度のことながらこの時の表情がたまらない。そのままボクの寝ているソファ(毛布付き)の中に引き込む。
「いつもありがとうね。兄さんはいつも感謝してる。一昨日のときも昨日のときも助けてくれて…。こういう薊の優しさにボクは助けられてる。これからもよろしく。」
これはボクの偽りのない言葉だけど…ホント…寝ぼけた状態怖い。こんな恥ずかしいセリフをスラスラ言えるのとか何のホラー?欲求不満はいけない絶対。定期的な発散を。ガス抜きを…。
「それはこちらのセリフですよ。私も兄さんがいてくれるから。ここまで来れたんですよ。兄さんがいなければずっとあの頃のまま…人と関わることなんてなかったんです。今も人見知りですけど…ここまでしてくれた兄さんには感謝してますよ。」
何だろう兄妹そろって恥ずかしいセリフを言ってる…。片方ボクなんだけど…。こんなこと言ってもらえるなんて光栄です。愛しの妹君の本音も聞けたので若干胸をなでおろすのと同時に深い睡魔に襲われる。
そして、兄妹そろって盛大に二度寝(片方3度目)を始めた。
目を覚ますとそこには薊ちゃんがいない。
低血圧と聞いていたけど、リズムさえそろえれば大丈夫なのかな?向かいの沙織さんたちの部屋から人の気配がしないので、私が最後なのかな?そんなことを考えながら二階から降りると衝撃の光景がそこにあった。
「なんですかこのバカップル…。」
思わず声に出していたようだ。いや、ソファの上で抱き合って眠る兄妹ってなんなんさ。兄妹というよりバカップルじゃないの。片方初恋の人なんですけどね。しかも現在進行形で…しかし私はこの程度で幻滅したりしません。許容範囲どころか普通です。という訳で…
「沙織さんおはようございます。輝樹さんはもうお仕事ですか?」
「おはよう。そうねぇ、あれ(晃司)を見てどう思う?」
「そうですね…兄妹というよりバカップルですかね。」
「そうね、あの光景がなんだかうちの人にはショックであんまり直視したくないから出勤時間早くなったのよねぇ。」
はは…、何度かしてるんだあれ。というか輝樹さんマジでどんまい。義理の妹ⅹ兄なんて同人作家からすればかなりポイントの高いシチュですが。一般人には刺激が強い…オタクでよかった。というより沙織さんが鋼すぎるだけでそれが普通なんだけども…まあ置いておいて。
「そうですか。」
「それよりもこれを受け入れることのできる子じゃないとあの子とやっていけないの。そういう面でもその他の面でも希ちゃんは本当に優良物件。あれを逃すともう次はないレベル。綾ちゃんも頑張ってね。」
これは母親としての【アレ】なのだろうか…それとも本気?というよりも希さんって誰?そんなに優良物件なんですか?マジで!ならばここで出す手は【前に出る】しかない。ならば…
「じゃあ、頑張ります。その希さんには負けません。」
言ってしまったァァァァ。というかすぐそばに本人いるんだけどォォ。起きてないよね…そうだよねぇ。お願いだからそうであってぇぇぇぇ!私の恐らく前途多難であろう恋に明確な開始のベルが鳴った。
薊と寝るというこの上ない幸せ(美咲に自慢してやらぁ)は終わりを告げる。
気付かないうちにこんな幸せなシチュになっていて余韻を味わいたかったけど…現実は残酷である。
普通に時間がやべぇ
というか綾ちゃんは優雅にコーヒーいただいてました。というか薊巻き込んじゃった。これはやべぇ。自分だけならまだしも巻き込んじゃったよ。さっさと食って準備しなければ…というか綾ちゃんに見られてた?マア、いっか。
「薊起きて!時間が!学校がぁ!」
そこは低血圧…容易には起きない。なぜに起こさないマイマザー。
「それは大分微笑ましい光景だったからよ。」
「心の声を読むな。時間は考えてくれよ!他人のこと言えないけど。」
薊の事は考えてよ…頑張ろう。それからぎりぎり学校まで間に合った。昼休みに綾ちゃんの友達について
確認に行かないとな。たぶん大丈夫だけど…気になるなぁ。
昼休みに3年の教室を訪ねると綾ちゃんはクラスメイトとうまくいっている様子であった。一安心。たぶん、以前に同人か趣味について何かあったのだろう。今回は大丈夫だろう。ボクは一安心して教室を去ろうとしたとき大先生からひと言…
「晃司さん!私の同人誌のシナリオ書いてください。」
どうしてこうなった?大先生はいったい何を考えておられる。ボクも読むよ同人誌…R18だけど…ネットでだけど。素人ですけど!
「晃司さんの創作脳ならきっといい作品が書けると思うんですけど。」
曰く、友達と話していて今回のコ〇ケに参加しないのかと言われて
『夏コミに間に合うシナリオがない』『だれか考えてくれる人がいれば…』
『村上先輩とかは?』『そういえばあの人創作中毒だったよねえ』
『あそこにいるのは』『噂をすれば』『行けえ』だそうです。
創作中毒だってこと知られてたんですね…それで創作脳…。かなり不名誉な称号。114514やってやんよ。シナリオ書いてやんよ。夏コミ成功させてやんよ。という訳で帰りに道具一式買うこととなった。
帰宅している途中、学校から最寄りの駅とは若干別方向にマニアックな文具屋がある。
品ぞろえが完全にプロ向けと言われていて県内の漫画家なんかがこぞってこの店に来るのだという
(漫画ガチ勢より一部抜粋)。
そんなところがあるのなら紹介しない手はないだろう。知る人ぞ知るってな。という訳でバスを途中下車し、そこへ向かう。
「へっ、何ですかここ?見た目こそ町の文具屋なのにこの品ぞろえは…。」
「うちの学校にいる奴にはこういうのに詳しくてベラベラとしゃべる奴が多い。それだからこういう店だって知ることができる。全く持って訳わからん。」
知ってるやつもそうだけど、そもそもこんな店なかなか来る人選ぶのにやってけるな。経営とかの面で大丈夫でしょうか…常連さんのおかげで安泰か。そんなことを考えながら薊と二人できらきらした目で選んでらっしゃる大先生を待っていた。
結局、原稿用紙からペンまで今使っているのよりも上のものらしく大量購入されていた。そのまま家の目の前の公園へたどり着きもうすぐ家に帰りつく。
しかし、運命のいたずらというか…【縁】というものはなかなか酷なことをする。
「あ、お前佐倉じゃないか。こんなところに逃げてきたのかよ。」
誰だこいつ…。それに逃げったって…。そういうことか。本質なんか見なくてもわかる…正真正銘のクズだ…生きてちゃいけないやつなんだ。そこにいたのは二人組の男。見た目から推測するに…中3といったところか。綾ちゃんと同学年…知り合い。逃げる。そんなことすぐにわかる。こいつらが綾ちゃんの悩みの原因だ。
「なんだそこのあんちゃん…彼氏かい?見る目もないなぁ。ははは。」
堂々と知らない人をディスるスタイル。言われ慣れてるのでどうとも思いませぬが。
「一応聞くが…お前たちこの子に何をしてた?」
「そんなの決まってんだろ。何となく目障りだったから遊ん(いじめ)でたんだよ。」
ああ、久しぶりにカチンときた。何となく…さしたる理由もなしに…自分と違うからでも…恐怖を感じたからでもない。
何となく……だと!
ボクはいじめを正当化するつもりはないがしょうがないことだと思ってる。誰だって自分が心の底で恐怖を一瞬でも感じたら排除したくなるものだ。それは歴史が証明している。
でも、そんな理由すらないものは【自己防衛】でもない。ただの愉悦だ。サディストなんかとは違い、正確に言えば愉悦でもない…暇つぶしだ。恐らく、現代日本におけるいじめの大半がこれなのだろう。
…こんな奴らがいるせいで……総悟は…凛久は…。こいつら…殺したい…。殺しちまえ、消しちまえ…生まれたことを…後悔させてやれ…。
そのまま【ボク】の意識は途絶えた。
「お前ら…もう少しひねりってものはねえのか。オレは若干がっかりしている。久しぶりにオレ好みなクズ野郎ってのに…テンプレまんまじゃねえか。」
ホンッとにつまんねえ。まあ、このゴミどもを排除するのは変わらねえけど。
「なんつった。このくそがぁ。」
今までしゃべらなかった方のノッポが吠える。オレの身長は大体178㎝だけどそれよりもでかいってこたぁ…180オーバーか。まあ、関係ねぇけど…。こいつ弱そう…。普通のときでも多分勝てる。
「俺たちを馬鹿にすんじゃねえぞ。俺たちは地元では負けなしのコンビだ。高校生の軍団にだって二人でなら勝てた。」
さっきからしゃべってる方が叫ぶ。マジかよ…地元の平均レベルが心配…。そのままノッポはオレに殴りかかってきたので、そのまま胸ぐらをつかんで空中へ投げ飛ばす。…お空の星になりそうな高さだなぁ。そして、降ってきたところをすかさずジャブ…そのまま近くの川へダイブすることとなった。
浮き上がってこない…死んだか?ざまぁねぇ。
「なんだよお前…来るな…化け物メェ!」
ここにきての小物化…本当にありきたりだった。オレは踏み込んで一瞬で間合いを詰める…どうだ来てやったぜ。そのまま両脛に同時にけりを入れる。【狂気】の一撃を耐えられるわけもなく。脛の部分から直角に曲がり…まるで土下座でもしているようだった。これには思わず吹いてしまった。相手の瞳には恐怖しか映っていない…。惨めだな…。ここまでくればプライドなんてないだろう…だから…。
「とどめ、刺してやろうか?」
オレが提案という名の決定を述べた時だった…。
「兄さんやめてください…。【狂気】になんて飲まれないでください。」
「なんだ支柱ちゃんか…。オレはアイツ(ボク)でもあるからなぁ。お前の存在が消えると俺も困っちまうんだ…。お前は最後の柱なのだから。」
それにそのバットは後頭部に当てなければ意味はないし…正面から来られても回避するのが簡単になるだけだ…それに…。
「それに俺はコイツ(ボク)ができないことを代わりにやってやってるだけなんだよ。オレは【狂気】によって抑圧された村上晃司の負の面なのだから。」
「それでも…私は…あなたを兄さんと認めるわけにはいきません。…あなたを眠らせます…。」
そんな言葉オレには届かねぇ。オレ自身は支柱ちゃんなんてどうでもいい。だから、このゴミの始末の続きをしよう!
「さあ、処理の時間だぜ。…なんで体が動かない。」
どうした…なんでだ。オレが出てきてまだ二回目だ…もう抵抗できるのか。
「畜生…お前ができねえからオレがやってんだ…邪魔をすんな!
クソッ!何しやがんだ!抵抗するんじゃねえ。」
そのときだった。【ボク】が【オレ】に対して抵抗している間に薊は背後にいた。
そして一撃…今度は【オレ】の意識が消えた。
その後は母さんが迎えに来て場を収束させたらしく、ついでに綾ちゃんに【狂気】に関する説明をしたそうだ。しかしボクは彼女との間に壁を感じてしまっていた…。
その晩はお互いに気まずい空気のまま一言も話さず夜は更けた。その際に、薊が頑張ってボク達を仲直りさせようとしていたが意味はなかった。でも、その気持ちはうれしかったよ…。学校への通学時間をずらし、学校でも会話はなかった、会わなかった。でも、次に会うのがあんな時だとは予想できるほどボクは優秀ではなかった。
綾ちゃんは家に帰ってこない。ボク達が家に帰りついてもう2時間はたつ。気まずいだけではなく何か別の要因もあるのではと心配しだしたそのとき…ボクはもう関わりたくもないところからメールが来た。
『久しぶりだな。お前が暴れまわってた時が懐かしいぜ。俺たちはお前に勝てなかった。だけど今度こそ勝てるって提案をしてきた車いすに乗った中坊が【人質】を連れてきた。だから、今度こそ俺たちはお前に勝利してやる。』
最悪なパターンになってしまった。かつてボクが締めてきた不良たちと、この間のゴミクズが手を組んで綾ちゃんを誘拐しやがった。
あいにく、ボクはかつてほどは強くない。なぜならあの頃は【狂気】の一部が出ていたから異常に戦闘力が高かっただけだ。だから小道具を使おう。
「薊、今回はお留守番だ。それとスタングレネードと閃光弾を持っていく。」
「え!一人で行くつもりですか。せめて美咲ちゃんを呼んでからでも…」
「それじゃ遅いし、何よりもこれはボクの不始末のせいでもある。それに…今回の件のボクを薊には見てほしくない。今から昔の感じに少しの間戻る。だから、今日は待っていてほしい。」
「分かりました…。くれぐれも怪我がないように…殺さないでください…。」
最後の言葉は胸に突き刺さる。【狂気】を発動しないようにしなければならないが、本当にできるだろうか…それがボクの心をざわつかせる。
以前、小川先生と護身用の小道具を理科室のもので作ることができるというはなしをしていた。その時のものが思いのほか利用できそうだったため、ボクは彼に【狂気】を抑えるバットの破片を与えて制作してもらった。その際『理科室からパクっても文句言われない程度しか作らないからな。』と言われスタングレネード10発、閃光弾5発を製作してもらった。
曰く、スタングレネードの材質は他のものでも代用できるものがあるらしく威力は結果全てまちまちでそれなりの数できた。
ボクはとある倉庫にたどり着く。そこはとある不良グループのアジトである。
縄張り意識の高い奴らが一緒にこの中にいるということは…マジであると…。という訳で外の階段から登り、二階の窓から閃光弾を投げ入れる。
閃光弾の影響で大半の者が一時的に視力を奪われる。ただしその瞬間に瞬きしたヤツを除く。そのためそこから正面突破して視力のある奴にスタングレネードを投げつける。気絶する。そのまま鉄パイプで無双する。
しかし、そこにいたのは全員下っ端であった。そこからボス集団が現れる。四方を囲まれる…一人目が正面から殴りかかる。それを回避して背後に一撃、ひるむが致命傷ではない。もう一度殴りかかる。
そのとき、背後の奴も攻勢に出たため鉄パイプで背後の奴の首をひっかけ、てこの原理で前にだす…前方の渾身の一撃を受ける盾となった。そのまま盾に腹蹴りして完全に沈黙する。最初の一撃を繰り出した奴にそのまま沈黙した盾野郎を渡し、そのまま首に一撃…ただし本気でやると後遺症が出るために手加減をする。ポイントは力を籠めずに遠心力だけで振ること。
もう二人には回避しながら正攻法で攻める。手首、太もも、肩への攻撃の後、腹部へのライダーキック。
そんな感じで不要軍団を制圧することに成功したボクは車いすのゴミクズと話をつけることとした。
「なんだ…なんなんだよお前はぁぁ。この化け物がァァ。」
「さあ、綾ちゃんを返してもらおうか…そして謝れ。」
「断る…なんでこんなのに謝らなくちゃならん…こんな顔だけが取り柄のオタク…俺たちの玩具になるのが普通なんだよ。」
「お前たちにそれを決める権限なんてない。誰にもない。」
「はぁ!何言ってんだよ!この世にはな上と下っていう構図が存在するんだよ!上は下に何でもできるんだよぉ。社会はそうできてる。」
「そうだな。だから世界は醜く汚れている。生きていくには腐りすぎている。特に人間なんて生物がそれを顕著なものとしている。特にお前たちみたいのがなぁ!」
ボクにとってはもう限界だった…。薊…約束守れそうにない…。そこで【ボク】は【オレ】へと変っていた。
「もういい…お前死ねよ。オレが直々に始末してやる。」
手に持っていた鉄パイプの端を踏む、勢いよく踏んだことにより削れ、槍のような形となる。そしてそれを投げる。それは耳をかすり、そのまま引きちぎる。耳がもげた。絶叫した。そんなこたぁどうでもいい。そのまま胸ぐらをつかみ、左腕に手をかける。次の瞬間、左腕は彼の身体から離れていた。
「うああ…。いだいぃぃぃぃぃぃぃぃ。」
「うるせ。黙れ。このままお前の胸板に風穴を開ける。まあ、簡単に言えば終わりだ…ばあ~いばあ~い。」
そうやって右手に力を込めた瞬間…
「晃司やめなさい。」
母さんがいた。【狂気】を発動していていつでも臨戦態勢に入れる。ここは経験の差が多い。だけど、体のポテンシャルの差で押し切れるか?しかし、母さんの目論見はまるで違った。もう一人いたのだ。
「兄さんやめてください!約束したじゃないですか…殺さないって。元の兄さんに戻ってください!」
「今更来て何をする気だ。お前の出る幕はねえ…くそ、また抵抗されてやがる。支柱ちゃんがカギだとでもいうのか…。このクソガァァァ。」
また抵抗を受けた…こんなにも早く抵抗が起きるとでもいうのか…それとも単純に【ボク】の支柱ちゃんに対する依存が大きいのか?どうでもいい、このまま今回は終了だろう…。
そのままバットを打ち付けられ、意識はなくなった…。
その晩の村上家…
「晃司さん大丈夫ですか?」
目を覚ますと綾ちゃんがいた。いつもは薊だけど気を使ってくれたのだろう。気遣いのできるいい子!
「ああ、大丈夫…。それよりもボクのこと怖くないの?」
「正直に言うとまだ混乱しています。昨日は本当に何もできなかったですけど、今日の一件で晃司さんがやっぱり昔と変わっていないことが分かりました。」
「そうかい。ボクはそうは思ったことはないけど…。」
「いいえ、変わってません。【人のために頑張れる】その内面は昔と変ってはいませんでした。」
「そうか。」
また随分と大きくみられたもんだ。薊もそうだけど…過大評価する人が多いと思う。ボクはそう御大層な人間じゃない。でも、他人に認められることがこんなにいいとは思わなかった。
「綾ちゃんも怖い目に遭わせてごめんね。」
そう言ってボクは薊と同じように頭を撫でる。彼女ははにかんでそのまま他愛ない話をつづけた…きっとボク達はずっとこうしていくんだろうな。
「それと、シナリオちゃんと考えておいたよ。」
「本当ですか!さあ、教えて下さい。」
ボク達は同人誌も書いていこう…そんなには協力する気はないけど。そこそこで協力するよ…そこそこは…。
最近、影が薄い希さん。まさに希薄。でも、本編外でよく晃司君と遊んでる設定です。