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最強の問題児と最弱の神人少女  作者: 鈴夢 リン
第一章 結成編
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第五話『決戦』4

 俺たちが闘技場に入ると、さすが最後の試合だけあってか歓声が立ち切れんばかりに上がる。

「改めてこの歓声を目の当たりにすると、何か緊張するわね」

 俺の隣にいる柊が呟く。

「おいおい、まさか今更緊張してるのか?」

「別に言ってみただけ。いつも通り戦えるわよ」

 俺は一応不安になったので、聞いたがどうやら杞憂だったらしい。

まあ、柊みたいな奴が緊張なんかで負けるわけないよな。

「伊吹は大丈夫か?」

「うん、一度ここで戦ってるから」

「それもそうか。変な心配してすまん」

「うんうん、ありがとう」

 この笑顔は本当にいつでも癒されるな。

さて、俺も頑張らないと。

「それでは、団体戦最終日第三試合を始めます。一戦目の生徒は前へ!!」

 俺が気合いを入れ直していると、審判員から声が掛かる。

「頑張ってね、二人とも」

「ああ」

「うん、頑張るよ」

 柊に応援されながら、俺と伊吹は前に出る。

俺はペンダントを受け取り、前を見る。

 すると、向こう側にいる相手である昴と青葉が出てくる。

相手の武器は昴が剣、青葉が槍だ。

 どうやら、俺達と同じようなペアらしい。となると、勝敗はチームワークになるな。

 どちらがどれだけ相手を信頼し、相手と連携を取れているかが勝敗を握る。

まあ、そこなら俺たちは負けないはずだ。

 伊吹は中学生時代から唯一の友人だ。伊吹と連携が取れないわけがない。

俺と同じように伊吹もそう思っているだろう。

 後は、相手の隙を狙って伊吹の技を決めるだけだ。

ペンダントを受け取ったのは昴だ。つまり、昴を倒すか俺が倒れるかで勝敗が決まる。

 ふっ。面白くなってきたな……。

「伊吹、作戦分かってるな?」

「うん、分かってるよ」

 俺は伊吹に作戦の確認をする。

伊吹はしっかり理解しているようだ。

「両者、武器を構えて下さい!!」

 今回の審判員は随分と熱が入っているらしい。

表情は何かを期待しているようだった。

 俺、伊吹、昴、そして青葉四人が同時に武器を構える。

いよいよ始まるのか……。

 どうなるか、楽しみだ。

「両者始め!!」

 審判員の合図で試合が開始される。

最初はどうやら様子見らしく、昴たちからは仕掛けてこない。

「どこまで戦えるか、楽しませてもらうよ」

 昴は俺たちに言う。

「ああ、こっちもだ!! 行くぞ、伊吹!!」

「うん!!」

 俺と伊吹は走り出す。

「なるほど、一緒に行動する戦い方ですか。そういうの嫌いじゃないですよ。青葉、頼む!!」

 俺と伊吹が昴に攻撃しようとした瞬間、昴はふと声を出す。

「ええ、任せなさい!! そりゃあぁぁぁぁ!!!!」

 昴の後ろに待機していた青葉が合図を聞き、俺たちの攻撃を弾き返す。

伊吹の武器は槍なので、何とか持ちこたえたが剣を武器にしている俺は数十歩弾き飛ばされる。

「ぐっ!! さすがだな……」

「大丈夫、司!?」

「ああ、なんとかな」

 さすが、優勝候補だな。

一瞬でも気を抜いたら、すぐに負けてしまう。

 二人分の攻撃をいとも簡単に防いでしまうくらいだしな。とはいえ、こんな所で諦めるわけにいかない。

「伊吹!! 青葉を頼んだ!!」

「うん!!」

 俺は伊吹に合図をし、昴の後ろに猛スピードで移動する。

「ふっ。速いですね、司君」

「まあ、これが俺の取り柄でもあるしな」

 これで、俺と伊吹で昴と青葉を挟み撃ちだ。

多少は動揺するだろう……と思っていたが、二人とも動揺した素振りを見せるどころかまるで予想していたかのように平然としていた。

 すると、昴は少し楽しそうにこう言う。

「知ってるかい? 僕たちのチームはね、こういう時こそ力を発揮するんですよ!!!!」

 昴は俺に凄まじい速さで突撃してくる。

青葉もそれを分かっていたかのように、伊吹に攻撃を仕掛ける。

 キィィィンン…………。

この試合初めての武器同士の接触に聞こえる鈍い音。

 俺と伊吹のどちらでもその音が鳴り響く。

「なるほどな……。お前たちが優勝候補って言われている理由が分かったぜ」

 昴も青葉も捨て身のような攻撃だったのにも関わらず、体制は崩れておらず逆に俺と伊吹の方が押され崩れそうになっていた。

 バランスが本当に整っているな、このチーム。

まったく、とんでもない相手だ。

「理解してくれて嬉しいです。じゃあ、これはどうですか!! 青葉!!」

「ええ!! はあぁぁぁぁぁ!!!!」

 まずい、技の発動か。

青葉の手にしている槍から青い光が立ち始める。

 確か、あれは……!!

「伊吹、後ろに全力で下がれ!!!!」

「えっえっえっえ!?」

 どうやら伊吹は混乱しているようだ。

俺の言葉虚しく青葉の技が発動される。

「おりゃあぁぁぁぁ!!!!」

 青葉は槍を大きく振りかぶった。

 うん? 青い光がない……!!

じゃあ、本当は……!?

「くそっ!! 間に合うか……!!」

 俺は猛スピードで伊吹の元へ向かう。

「させませんよ……なっ!!」

 途中、昴の攻撃があったが、俺は難なく避ける。

それぐらいじゃあ俺を倒せないぜ。

 頼む、間に合え……間に合ってくれ。

次の瞬間。大きな揺れと砂埃が起こる。

「どう……これで……うそでしょ!?」

 青葉は目の前の状況に困惑する。

技が伊吹に決まったはずなのに……なぜか止められていた、いや俺が止めていた。

 剣で何とか強い衝撃を防いだ。

俺の剣で、青葉の槍を受け止めている。

 後ろにいる伊吹は驚きのあまり尻餅をついている。

「ふっ。大粉砕ギガインパクトとはな……中々面白い事するな、優勝候補は」

 最初は他の技だと思っていたが、すぐにあの青い光がフェイクの為に発動されている事が分かった。

やはり一筋縄ではいかないらしい、この試合。

 俺は槍を剣で弾き返す。

「まさか、私の技を止めるとはね……」

 青葉も驚いた表情を見せている。

さすがの優勝候補もこんな風に技を止められるとは予想してなかったらしい。

「大丈夫、司?」

「ああ、全然大丈夫だ」

 伊吹もようやく落ち着き、俺の事を心配する。

もう、伊吹は戦えるな。

 よし、そろそろだな。

「伊吹、もうそろそろだ!!」

「うん、分かった!!」

 俺は再び昴に攻撃を仕掛ける。

「させない!!」

「青葉さんの相手は僕だよ!!」

「なっ!?」

 ナイス、伊吹。

俺への攻撃を伊吹は槍で守る。

 やはり、伊吹を仲間にして正解だったな。

「驚きました……まさかここまでとはね」

「ふっ。まさか、優勝候補があろう人がこんな所で諦めるわけないよな?」

「もちろんです!!!!」

 再び俺と昴の間で鈍い音が鳴り響く。

よし、互角だ。

「面白いです、一回戦でこんなに楽しめるなんて……!!」

「そうか……ならここで終わりだな……」

「……? いったいどういう事です!?」

「こういう事だよ!!!!」

 俺は力強く両方の剣を空へと押し上げる。

 キィィィンンン!!!!

俺と昴の剣が大きく宙に浮く。

「させるかっ!!」

 昴が剣を取ろうと上に勢いよくジャンプする。

俺もそれに負けずと大きく飛び上がる。

 さて、これでいいか。

人間のジャンプでは、今地面に落ち始めている剣をギリギリでキャッチ出来るぐらいの高さが限界だ。

 だが、今はそんな事関係ない。

剣を手にする時、わずかに相手との距離が生まれる。

 これを待ってた……!!

「知ってるか? こういう時が一番人が無防備な事を」

 昴は何をされるかを察した。

 そう、ここまで距離があれば……いける!!

伊吹の技が生かせるチャンスだ。

「なっ!! まさか……!?」

「そのまさかだ……伊吹!!」

「うん!!」

 今までの相手していた青葉の攻撃を避け、そして昴のペンダントへと凄まじい速さで槍が迫る。

――――疾風突き(ゲイルショット)。

 伊吹の技が昴のペンダントを貫く。

突き刺さったペンダントは僅かではあるが、浮く。

 そしてその瞬間、俺は昴のペンダントを奪い取る。

「やられたよ……凄いな、まったく」

 最後に昴の言葉を聞き、俺は右手に持っているペンダントを大きく掲げる。

「……勝者涼風、伊吹ペア!!!!」

「うおおおおぉぉぉぉ!!!!」

 審判員が試合終了の合図をすると、闘技場が歓声に包まれる。

「やったね、司!!」

「ああ!!」

 俺と伊吹はハイタッチをする。

勝てたな、何とか。

 すると、昴と青葉が近づいて来た。

どちらも満足そうな表情をしていた。

「いやぁ、参りましたよ。あんな方法で僕たちに勝つとは」

「ええ、私も驚いてしまったわ」

「俺たちは最強だからな!!」

 俺は強く言い張った。

伊吹も笑顔で頷く。

「あはは、面白いですね。本当に凄かったです」

「そっちも、相当強かった」

 俺と昴は握手をする。

昴はそれが嬉しそうに笑っていた。

「伊吹ちゃん、可愛いくて強いなんて~。やっぱり伊吹ちゃん、可愛い!!」

「やっやっやっ止めて苦しいよ……」

 伊吹は青葉に抱きつかれていた。

 今にも顔が沸騰しそうだ。それほど、恥ずかしいと言うわけだ。

そういう所も伊吹は可愛いな、本当に。

 さて、と……。

俺は柊の方を見た。

(後は、頼んだぞ柊)

 俺は心の中でそう呟いた。

 




 

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