あの音からは逃げられない
あなたも知っているはず。『ここ』を
※こんなショートストーリーです。という紹介の気持ちで書いたのでやや短めです。次からはもう少し肉付けをしますので雰囲気だけでも掴んで頂ければ幸いです。
わたしは今『ここ』に立っている。
わたしは知っている。
『ここ』でも、あの音が鳴ることを。
あの音からはだれも逃げれないことも。
私から少し離れた『ここ』ではない場所であの音が鳴り響いていた。わたしは音のした方を恐る恐る見る。そこでは私が恐れていた音を聞いて倒れ込む、見知らぬ女性がいた。私の未来の姿なのだろう。背後でまたあの音が鳴り響いた。さっきよりも近くで音が鳴っている。未来の姿を見てしまった私は今の自分を見た。私は気付かない内に背中にまでびっしょりと汗をかいていた。
『ここ』には私とカナの二人で来た。他には誰も居ない『ここ』へ来たのは、私とカナの意思。カナを見てみると、彼女も額や頬に髪を貼り付けていた。友人のカナも分かっているみたいだ。あの音が近くにまで来ているのが。恐怖に染まっていて顔色が悪い。手足の動きもどんどんと悪くなる。体の調子が悪いわけじゃないのに。二人して浅い呼吸を繰り返していた。
「はぁ、はぁ、カナまだ走れる?」
「うん、まだ大丈夫。そっちこそ走れるの?」
私は正直限界が近い。長い時間走り続けて足が笑っている。大丈夫と言っていたカナも足がふらふらだ。私の衣服は少し乱れていた。そんなことを気にする余裕もなく、今まで私は走っていたのだ。衣服を直しながら呼吸を整えた。
「カナ、大丈夫だよ。私たちならなんとかできるよ」
カナも同じようなことを考えてたのだろう。頷き返してくれた。青白かった顔色が少し良くなってる。最後まで諦めるつもりはないみたいだ。わたしも、カナも、お互いが強がってるだけなのは分かってた。それでも私たちは諦めない。あの音から逃れるために。
二人で必死に抵抗した。無情にもあの音が訪れる瞬間がやって来た。音が鳴る原因がカナの側に向かって行くのが見える。
あっ、来る。聞こえてくる。音が鳴る前にわたしは予感した。二人で恐怖していた音が『ここ』で鳴ることを。それなのに私の足は動かない。もうとっくに限界を迎えてたのだ。けど諦めれない。今まで二人でなんとかしていたのだ。私より体力のあるカナは大丈夫かもしれない。
「カナ!お願い!!!」
カナは前屈みになりバランスを崩し始めていた。
カナは相手コートに打ち返すことが出来ず倒れ込んでいた。あの音を鳴らす原因が私たちのコートに落ちる。
「ピッ、ピッ、ピーーーーー!!ゲームセット!」
わたしとカナの高校最後の夏が終わった。
ラストにオチを持ってくる場合の情報の出し方に苦戦しました。情報が少ないとなんの話か伝わらない、多いとオチが読まれ過ぎる。塩梅が難しいですが次のエピソードに活かしてい来ますのでお付き合いお願いします




