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私の能力は『以心伝心』全部丸聞こえですわ。【第1章100話完結済】  作者: 黒砂 無糖
初めての学園生活

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勇者(聖女、魔法使い)賢者

 私は、チャコ姉に先日に起こった、アルゼとの出会いを話すことにした。


「彼女に初めて会ったのは、襲われたのを偶然助けた後だったし、アルゼは貴族と距離をとる立場が染み付いているの」


 家柄だけなら、アルゼも高位貴族なのに


「多少は緩んだけどね。私は気にしないのに」


 チャコ姉も、アルゼの家族の話を聞いているからか、アルゼの考えが理解できるのだろう。

 

 ちょっと困ったような顔をしていた。


「そうか、だから知らなかったことにしたんだね。その方が賢いわ」

 

 急に、チャコ姉が大人っぽく見えた。過去になにか思うことがあったのだろうか。


「因みに私は、聖女にはまだ会っていないわ?

 見ての通り子供だから、一人では行動できないもの」


 空気を変えるために、私はチャコ姉に聖女の話を振った。


「ティト、貴方今幾つなの?」


 今更、チャコ姉が私の年齢を聞いてきた。


「え、今?11歳ですわ」


 気持ちが。切り替わったならいいけど…


「まだ子供だもの、遠方へ一人で行動するのは確かに無理ね?聖女はフェルゼンにいるらしいよ。私は、アルゼに紹介状書いてもらったよ」


 聖女、すでにフェルゼンにいるんだ……


「そうなの?近いうちに行く機会があるから、私もアルゼに紹介状書いてもらおうかな」


 もしかしたら、いつか会えるかもしれないわよね?


 チャコ姉もせっかく会えたんだし、討伐後に、帰ってしまわないといいのだけれど……


「ティトは、前世の記憶しっかりあるの?」


 ちょっと、しんみりした気持ちで、前世の話を尋ねられ、ついうっかり、記憶が色々よぎってしまった。


「しっかりあるわよ? 能力開花した時に全て思い出したの」


 普段は、あまり思い出さないようにしているから、不意打ちはちょっと困る。


「……何かあった?」


 チャコ姉は、私の顔色が変わったのを、感じ取ったのだろう。


 しまったな……


「うん、まあ納得はしているかな。今思えば結構大変だったなって思うのよね」


 前世だもの、今更隠すことでもないし、終わったことだわ。



「変なこと聞くけど、魂の転生者って……」


 チャコ姉は、おそるおそる聞いてきた。


「ん?死んで転生するんだよ?知らなかった?」


 前世に対しては、あまり実感はないのよね。


「アルゼは、人間関係の記憶がないとしか言わなかったわね」


 チャコ姉は、アルゼのことも考えたみたいだ。記憶がないのは、少しだけうらやましい気もする。


「そっか、ある意味幸せかもね?私は死に際までしっかりあるわよ」


 死んだ自分の姿を見てから転生したの


「なんなら向こうで忘れていた記憶まで、能力のおかげで見れるのよ。疲れるから見ないようにしているわ」


 覗いたところで、あまりいいものでもない。


「それは、大変そうね?」


 ——チャコ姉に気を遣わせてしまったわ。


「見なければ平気よ?ただ、しっかりある記憶に関しては、こちらとの違いを比較しちゃう時もあるのよね」


 おかげで気を付けていないと、考えが殺伐としてしまうの。


「前世、大変だったの?」


 チャコ姉が同郷だからだろうか?


 こちらの人じゃないから、前世の私の話を、少し話してもいいと思ってしまった。


「よくある話よ?親がクソだったことと、悪い男に良いように利用されただけ」


 ——どこにでもある話だわ


「ようやく解放されたのに、若いのに病気で早死が予定外なくらい?」


 自分で言ってて悲しくなるわ?


「かなり、ハードモードじゃない! 幾つだったの?」


 チャコ姉が、衝撃を受けているわ。


 同情じゃなくて、ただ驚く感じになんだかちょっとほっとするわ。


「26歳だったかな?自分で店を持って2年?若いからあっという間だった」


 もう少しくらい、時間くれたって良かったと思うのよね。


「ごめん、軽く聞いて良い内容じゃなかった」


 チャコ姉も、もしかしていろいろあった人なのかもしれない。彼女は、私を可哀そうだとは見ていないようだ。


 ——ありがたい存在ね。


 同情されると、こちらが申し訳ない気持ちになるから……


「いいの、終わったことだし、今は幸せだから」


 あの頃の私は、もう少し肩の力を抜いても良かったかもしれないな。


「それは救いだわ」


 チャコ姉は、ほっとして笑ってくれた。


 ちょっとしか話をしてないけど、チャコ姉はいい人なんだろうな。


 そう思ったら、今度は私が彼女のことが知りたくなってしまった。

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