魔道具の店ツァオバライ商会
見つけてくれてありがとうございます。
更新は不定期になります。出来る時に頑張ります
馬車で向かった先には、赤煉瓦を積んだ倉庫のように大きな建物がある。
[ツァオバライ商会]だ。
入り口には、門番が微動だにせず、置物のように立っている。
馬車を降りたお父様は、門番に会員カードのような物を見せて確認を取っている。
「ティト、中に入るよ」
お父様に手を引かれて、倉庫の中に入ると、中はとても広く、倉庫なので天井も高い。
左側はかなり背の高い棚が、図書館の棚のように整列している。
——随分と高くまで商品があるのね
高い場所にある物はどのように取るのだろう?と見ていると、魔法で行っていた。
商品の箱が、ひとりでにふわりと下で待つ人のもとに降りていた。
「なんだか面白い光景ですね?」
私はウキウキして、思わず口にする。
「そういえば、ティト連れてきていなかったかな?この店はヴィントの魔道具の直営店だ。ここの魔道具は、質と見た目がいい」
この倉庫、ヴィント国の直営店なんだ?
「国が直営商売をしているから、品揃えも豊富だよ。但し、身元の正しい者しか会員になれないから覚えておきなさい」
貴族御用達の会員制のお店なのね?
——きっと、お高いんでしょうね
私は壁に並べられた魔導具を見て、全部でいくらかしら?など考えてしまった。
「さあ、行こう。ラヴェルが待っている」
倉庫右側には、装飾の施された壁があり、そこにはいくつか扉があった。
指定された扉に入ると、中ではお母様がお茶を飲みながらくつろいでいた。
——さすが貴族向けね。
「シュピネル様、本日はご来店、誠に有難う御座います」
魔道士のローブを纏い、立派な顎髭を持つ、魔法使いらしいお爺さんが頭を下げた。
「お嬢様もお初にお目にかかります。ツァオバライ商会、会長のデアマギアと申します。以後お見知りおきを」
偉い人のようだけど、子供の私に対しても、とても丁寧に挨拶をしてくれた。
「旦那様、お待ちしておりましたわ」
お母様がにっこりしている。きっと何か欲しいものを見つけたのだろう。
「デアマギア、娘が普段使いできそうな、防御の守りが欲しいのだが」
お父様に背中を押され、私は一歩前へ出る。
「お嬢様のお守りですね。どのようなものが、お望みでしょうか? 同じものを長く使われるなら、ネックレスも好まれておりますが」
デアマギアは次々と資料を広げていく。
「サイズ調整機能付きであれば、指輪やブレスレットなども比較的良く求められております」
担当者にどんなものが欲しいかを伝えると、実際に品物を見せてくれるみたいね。
「後は、髪留めも根強い人気が御座います。淑女の皆様には、耳飾りも流行っております」
デアマギア……どんどん素敵な物を提案されると、さすがに目移りしてしまうわ。
「一点物であれば、どのようなものでもお作りしますが、お好みはございますか?」
私はソファーに座っているだけなのに、デアマギアは資料だけでなく、色々な見本も見せてくれた。
お母様が、お父様の考えを読んで、デアマギアには既に話を通していたんだと気付いた。
「とりあえず、すぐ使えるものを選んで、他の物が良ければ、改めて注文をしなさい」
お父様は、早急に使えるお守りを選ぶようにと私に促してきた。
——私の好きに選んでいいのかしら?
なら、普段使いができて、邪魔にならない物がいいわ。
「とりあえず、ブレスレットにします。あと、お守りをペンダントトップにして、ネックレスや簪の先に付け替えたいのですが出来ますか?」
せっかくなら、気分で付け替えたいわ。
「かしこまりました。早急にデザイン画をお持ちいたします。ご希望があればその時にお伝えください」
デアマギアは、部屋の隅に待機していた従僕に指示を出している。
「ブレスレットは、こちらのデザインであれば、すぐにお渡しできます」
卓上に広げられた陳列ケースには、沢山のデザインのブレスレットが入っている。
「後日注文するのはペンダントトップだから、デザインは被らない方が良いかしら?」
お父様が言っていた通り、見た目が良い物が沢山あって迷ってしまう。
私は、見本からお花が連なった可愛らしい物と、シンプルでどんな装いでも使えそうな物とを手にした。
「お母様、どちらがいいかしら?こちらのお花のは可愛くて、こちらのシンプルなのは、使いやすそうで迷ってしまって」
困った時はお母様だ!と思い見て貰う。
「その2つですね。まぁ素敵。どちらも大変良い物が選べましたね。良いと思います」
……淑女としてのセンスを問われているわ
「旦那様、こちらと、あと先程待っている時に、こちらも注文しておきましたので、よろしくお願いしますね」
お母様はちゃっかり自分が欲しかった物まで注文していたようだ。
「お母様、お守りは2つも要りますか?注文の品もありますし」
無駄にならないかしら?
「あら?注文品は、気分によって付け替えるのでしょう?ブレスレットも、気分で付け替えれば良いではないですか」
お母様は、何を言ってるの?と首を傾げた。
——そうだった、私貴族令嬢でした
「可愛らしい物をつけたい時も、シンプルにしたい時も、気にせず付けられますよ。それで良いですよね?旦那様」
支払の指示を、従者に伝えていたお父様はこちらを見てあっさり頷いた。
「お守りを幾つ付けても、可愛い娘の守りには心配なくらいだ」
かなり過保護だと思うけど、能力を考えると間違いではないだろう。
「可愛らしい娘様を持つと、心配は尽きませんね。注文品の守りは、通常より更に強力な物に致しましょうか?」
デアマギアがにこやかに提案すると、
「「お願いします」」
……お父様お母様
お二人はいつでもどこでも2人で一緒にハモるのですね。




