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私の能力は『以心伝心』全部丸聞こえですわ。【第1章100話完結済】  作者: 黒砂 無糖
第1章 始まりのお話

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魔道具の店ツァオバライ商会

見つけてくれてありがとうございます。

更新は不定期になります。出来る時に頑張ります

 馬車で向かった先には、赤煉瓦を積んだ倉庫のように大きな建物がある。


[ツァオバライ商会]だ。


 入り口には、門番が微動だにせず、置物のように立っている。


 馬車を降りたお父様は、門番に会員カードのような物を見せて確認を取っている。


「ティト、中に入るよ」


 お父様に手を引かれて、倉庫の中に入ると、中はとても広く、倉庫なので天井も高い。


 左側はかなり背の高い棚が、図書館の棚のように整列している。


 ——随分と高くまで商品があるのね


 高い場所にある物はどのように取るのだろう?と見ていると、魔法で行っていた。


 商品の箱が、ひとりでにふわりと下で待つ人のもとに降りていた。


「なんだか面白い光景ですね?」


 私はウキウキして、思わず口にする。


「そういえば、ティト連れてきていなかったかな?この店はヴィントの魔道具の直営店だ。ここの魔道具は、質と見た目がいい」


 この倉庫、ヴィント国の直営店なんだ?


「国が直営商売をしているから、品揃えも豊富だよ。但し、身元の正しい者しか会員になれないから覚えておきなさい」


 貴族御用達の会員制のお店なのね?


 ——きっと、お高いんでしょうね


 私は壁に並べられた魔導具を見て、全部でいくらかしら?など考えてしまった。



 「さあ、行こう。ラヴェルが待っている」


 倉庫右側には、装飾の施された壁があり、そこにはいくつか扉があった。


 指定された扉に入ると、中ではお母様がお茶を飲みながらくつろいでいた。


 ——さすが貴族向けね。


「シュピネル様、本日はご来店、誠に有難う御座います」


 魔道士のローブを纏い、立派な顎髭を持つ、魔法使いらしいお爺さんが頭を下げた。


「お嬢様もお初にお目にかかります。ツァオバライ商会、会長のデアマギアと申します。以後お見知りおきを」


 偉い人のようだけど、子供の私に対しても、とても丁寧に挨拶をしてくれた。


「旦那様、お待ちしておりましたわ」


 お母様がにっこりしている。きっと何か欲しいものを見つけたのだろう。



「デアマギア、娘が普段使いできそうな、防御の守りが欲しいのだが」


 お父様に背中を押され、私は一歩前へ出る。



「お嬢様のお守りですね。どのようなものが、お望みでしょうか? 同じものを長く使われるなら、ネックレスも好まれておりますが」


 デアマギアは次々と資料を広げていく。


「サイズ調整機能付きであれば、指輪やブレスレットなども比較的良く求められております」


 担当者にどんなものが欲しいかを伝えると、実際に品物を見せてくれるみたいね。


「後は、髪留めも根強い人気が御座います。淑女の皆様には、耳飾りも流行っております」


 デアマギア……どんどん素敵な物を提案されると、さすがに目移りしてしまうわ。


「一点物であれば、どのようなものでもお作りしますが、お好みはございますか?」


 私はソファーに座っているだけなのに、デアマギアは資料だけでなく、色々な見本も見せてくれた。


 お母様が、お父様の考えを読んで、デアマギアには既に話を通していたんだと気付いた。



「とりあえず、すぐ使えるものを選んで、他の物が良ければ、改めて注文をしなさい」


 お父様は、早急に使えるお守りを選ぶようにと私に促してきた。



 ——私の好きに選んでいいのかしら?


 なら、普段使いができて、邪魔にならない物がいいわ。



「とりあえず、ブレスレットにします。あと、お守りをペンダントトップにして、ネックレスや簪の先に付け替えたいのですが出来ますか?」

 

 せっかくなら、気分で付け替えたいわ。


「かしこまりました。早急にデザイン画をお持ちいたします。ご希望があればその時にお伝えください」


 デアマギアは、部屋の隅に待機していた従僕に指示を出している。


「ブレスレットは、こちらのデザインであれば、すぐにお渡しできます」


 卓上に広げられた陳列ケースには、沢山のデザインのブレスレットが入っている。


「後日注文するのはペンダントトップだから、デザインは被らない方が良いかしら?」

 

 お父様が言っていた通り、見た目が良い物が沢山あって迷ってしまう。


 私は、見本からお花が連なった可愛らしい物と、シンプルでどんな装いでも使えそうな物とを手にした。


「お母様、どちらがいいかしら?こちらのお花のは可愛くて、こちらのシンプルなのは、使いやすそうで迷ってしまって」


 困った時はお母様だ!と思い見て貰う。


「その2つですね。まぁ素敵。どちらも大変良い物が選べましたね。良いと思います」


 ……淑女としてのセンスを問われているわ


「旦那様、こちらと、あと先程待っている時に、こちらも注文しておきましたので、よろしくお願いしますね」


 お母様はちゃっかり自分が欲しかった物まで注文していたようだ。



「お母様、お守りは2つも要りますか?注文の品もありますし」


 無駄にならないかしら?


「あら?注文品は、気分によって付け替えるのでしょう?ブレスレットも、気分で付け替えれば良いではないですか」


 お母様は、何を言ってるの?と首を傾げた。


 ——そうだった、私貴族令嬢でした


「可愛らしい物をつけたい時も、シンプルにしたい時も、気にせず付けられますよ。それで良いですよね?旦那様」


 支払の指示を、従者に伝えていたお父様はこちらを見てあっさり頷いた。


「お守りを幾つ付けても、可愛い娘の守りには心配なくらいだ」


 かなり過保護だと思うけど、能力を考えると間違いではないだろう。


「可愛らしい娘様を持つと、心配は尽きませんね。注文品の守りは、通常より更に強力な物に致しましょうか?」


 デアマギアがにこやかに提案すると、


「「お願いします」」


 ……お父様お母様


 お二人はいつでもどこでも2人で一緒にハモるのですね。




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