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私の能力は『以心伝心』全部丸聞こえですわ。【第1章100話完結済】  作者: 黒砂 無糖
第1章 始まりのお話

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能力『シスコン』

見つけてくれてありがとうございます。

更新は不定期になります。出来る時に頑張ります

「おはようございます」


 食堂に着くと、そこにはお父様とお母様が、既に席に着いていた。


「ティト、下の子達が来る前に私の考えを、能力で聞いてくれ。会話はしなくても良い。お母様が私に話しかけている間に伝えるよ」


 お父様は周りを気にしながら、小さな声でこちらに伝えてくる。


 丁度、シュヴェルトお兄様が食堂に入ってきたのが見えた。



「……畏まりました」


 頷くと、お母様はお父様に、天気やお茶会の話を話しだす。


(昨夜、話に時間がかかったから、他の子供達が心配していたよ。眠りの理由が能力によるものだろうと、医官からも言われていたんだ)


 そうだったのね……


(だから皆ティトの能力を気にしているんだろうな。何かは伝えた方が疑われないかと思うんだが、具合が良い能力はあるかな?)


 お母様がお父様に話す内容が、私の淑女教育へと移行して、タイミングよく途切れた。


「お母様お父様、基本的に良いと思いますが、私自身の事なので、一旦、私にお任せ下さい。自分なりに考えております」


 二人の話の流れ的に、私の返事はおかしくなかったはず。

 

 お父様、お母様は深く頷かれた。


 ——とりあえず、良かったのかな?



 妹のフリーディアと弟のシャルラックも、集まり丁度席に着いた。


「ディア、シャルおはようございます」


 妹のディアと目が合いニコリと笑うと、彼女はパァッと可愛らしい笑顔を向けた後に、ちらっとお母様を見た。

 

 ——昨夜、注意を受けたんだろうな


 弟のシャルは私のことよりも、目の前のご飯に釘付けだ。



「揃ったな。食事を頂こう」


 お父様の言葉で、共に食前の祈りを捧げ食事を食べはじめる。


 食事中は、こちらから会話はしないが、それぞれが考えている事が次々と頭に入ってくる。



 お父様は私の能力の事、お母様は1年の遅れに対しての事。


 ——1年か……結構長いわよね。



 お兄様は、相変わらず私を褒め称えている。


 ——お兄様……お願いだから黙って


 無理なことだけど願ってしまう。



 ディアは『能力判断』の事、シャルは、ウインナーが美味しくて、アスパラガスは食べたくないらしい。


 ——二人とも可愛いわね。



(ティト、食事が終わったら話をしよう。能力は隠して欲しい。顔色を読みやすい位なら、王宮の使用人等にはいるので良いかも知れないな)


 食事を食べ終えたお父様が、心の声を使って伝えて来る。


 お父様は、私より能力を上手く便利に使っているように思うけど……


 ——気のせいかしら?


 私は、最後のオムレツを口にしながら小さく頷いた。



 食事を終えると、目の前にお茶が配られた。


 ——みんな食べ終わったわね。


 私は緊張で少し浅くなっていた呼吸を整え、家族の顔を見た。


 皆、私が話し始めるのを待ってくれている。



「一年もの長い時間、心配をおかけしたことを先ずは謝らせて下さい。本当に申し訳ありませんでした」


 一度立ち上がり、頭を下げると、



「お姉様のせいではないわ!」


(お姉様は今一番大変なのよ!助けなきゃ!)


 とディアが叫んだ。



「姉様は悪くない!」 


(やな事言う奴がいたら、僕が許さない!)


 と、シャルも続くけど……心配で泣きながら「バーカ!」と言っていた事を姉様は忘れていませんよ?



「謝らなくて良いよティト。家族なのだから、何かあれば心配するのは当然だろう?」


(ああ、ティトはどこまでもみんなに優しいな。まるで天使のようだよ!)


 と安定で賛辞するシュト兄様も続く。



 皆、優しいな……ありがとう。



「謝らなくて良いから座りなさい。皆が言う様に貴女が悪いわけではないわ。折角、みんなが揃ったのだから、肩の力を抜きなさいね」


(昨日の感じだと、まだ混乱があるかも知れないわね。能力も強いだろうから、心労が心配だわ)

 


 ——お母様、心配かけてごめんなさい。


「はい、ありがとうございます」


 私は、もう一度頭を下げてから席に着いた。



「ティト、そう何度も頭を下げないでくれ。皆、目覚めが嬉しいだけだよ」


 お父様の言葉にみんなが頷いている。


「昨日話した通り、ティトは1年もの時間が止まっていたんだ。目覚めて直ぐに1年も過ぎてしまって辛かったね?」


 お父様は、労うように言葉をかけてくれた。


「ティトは普段から真面目に教育も受けていたから、焦らなくてもゆっくりでも大丈夫だ。自分のペースで頑張りなさい」


(今、ここにいてくれるだけで良いのだよ。決して無理はしないで欲しい。私達は味方だよ)


 ——涙が出そうだわ。


 お父様もお母様も、私の能力を聞いた後も、聞いたからこそなのか、私の心を常に心配してくれている。


 ——私、幸せ者だわ。


 前世を思い出したら、当たり前のこの環境が、とても恵まれていて幸せなんだと改めて実感する。


 涙が溢れそうになるが、目に力を込めてそれを阻止する。


「はい。ありがとうございました。お父様、私の今後の進路について自分なりに考えてみたのですが、後でお時間頂けますか?」


 お父様は、私のやりたいことが分かっているくせに、わざわざ時計を確認してから頷いた。


 ——お父様、名俳優だわ。


「お母様も、今後の淑女教育にも関わる内容になるかもしれませんので、一緒に聞いて欲しいのですが、お時間頂けますか?」


 ——とりあえず検証に付き合って下さいませ




「……お姉様、あの、本来は能力の事をあれこれ聞いてはいけないと言われたのですが……」


 大人しく話を聞いていたディアが、話に割って入ってきた。


「倒れてしまうような能力を持ってしまって、お姉様は大丈夫なのでしょうか?」


(お身体に負担は?本当に大丈夫でしょうか?)


 ディアは、お父様お母様の顔を見ながら恐る恐る尋ねてきた。



 (ディアは我慢ができないようね?)


 お母様は、ディアの今後の教育計画を頭の中で高速に立て直している。


 ——ディア、ごめんね。



「心配してくれてありがとうディア。能力のことは家族だけの秘密だから、決して他人には話さないと約束できるかしら?」



「必ずお約束しますわ!」


(少しだけでもお姉様の力にならなきゃ!)



「言わないよ!絶対!」


(約束は絶対守る。僕がお姉様を守るんだ!)



 二人とも良い子ね……ありがとう。



「話しても大丈夫なら聞かせてくれるかい?勿論誰にも言わないよ。」


(ティトの能力を知れるなんて、何て素晴らしいんだ!)


 ——お兄様の声だけ、消せないかしら?


「私の能力もティトに知ってもらいたいが……

『シスコン』て、言葉自体も、何だかよくわからないんだよな)



 お兄様……ふざけてますか?


 いつもの賛辞の言葉は、能力なのですね……それ、必要ですか?


 私がお兄様の能力だと思っていた空気読みは、元からの素質だったのですね……


 ——そちらの方かわ能力として凄いですよ?



 お兄様の能力に気持ちが振り回されかけたけど、私は振り切って話を始めた。



「……ありがとうございます。私の能力は『人に対して勘が鋭い』です。顔を見て何となく相手がどんな気持ちか分かるの」


 この辺りが妥当よね?

 

「だからいずれ、王宮の女官になると良いかなと考えているわ。それに基づき学習をしていこうと思うの。この後相談する予定よ」


 ——メイドは見た!とか実際出来そうよ。


 ディアもシャルも納得しているみたいね。


「時間が掛かったのは、人の気持ちに敏感になり過ぎていたの。無意識で色々なことを記憶していたみたいで……」


 適当でも、私は子供だから許されるわよね?


「勘が鋭くなったら、今までの気づきが、いっぱい溢れちゃったみたいなの。私ったら、随分と繊細だったみたい」


 嘘をつく時は真実も混ぜる事で、現実と齟齬が起こり難い。


 ——このくらいで良いわよね?


「確かにお姉様は、何も言わなくても良く気付いて下さいましたね。正に才能ですわ。王宮女官だなんて素敵です!応援しますわ!」


(いつも優しいだけで無く、良く気付いてくださいました。さすがお姉様、私の自慢ですわ)


 ディアは興奮し、手を叩き応援してくれた。



「良く理解できたよ。でも、顔色を伺い過ぎて自分を蔑ろにしないようにな?」


(ティトの内面の素晴らしさは、元々の才能だったのか。それが更にだなんて、優しさと気遣いの化身、まるで女神じゃないか!)


 お兄様、表の声だけ聞いておきたいです。



「姉様は王宮でお仕事するの?じゃあ僕も王宮で働ける様になるね」


(側で守るなら、僕も行かなきゃ)


 シャルお姉様は嬉しいわ



「皆、ありがとう頑張りますね」


 何となく話が収束した時……



「ティト、今から話をしたい。お母様と一緒に執務室迄来なさい」


(丁度頃合いだな)



「他の皆は、それぞれの日課に戻りなさいね」


(解散の頃合いね)



 お父様お母様はやっぱり一心同体だった。


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