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私の能力は『以心伝心』全部丸聞こえですわ。【第1章100話完結済】  作者: 黒砂 無糖
第1章 始まりのお話

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ティーフロートの過去

見つけてくれてありがとうございます。

更新は不定期になります。出来る時に頑張ります

「前世の人生は、かなり虚弱でした」

 

 ——私の前世だけど、他人事に感じたわ。


 彼女の人生は今の私からすると、かなり頂けないと感じたもの。


 酷く不幸では無いけど、正直良くは無い。


 ——人に話すには、ちょっと重いかも。


 お父様とお母様には、簡単に話そうかな。



「彼女は産まれた時から身体が弱く、学園にも1年目は半分も通えてませんでした」


 ——階段すら、ひとりで登れてなかった


「前世の両親は……何と言うか、親の責任を放棄していたように見受けられました」


 ネグレクトって今なら言われただろうね


「虚弱だった彼女は、自宅に滞在する時間が多く、親に存在価値を認められたくて、家事を率先してやっていました」


 それでしか、役に立てなかったから……


 「成長するにあたり、家庭内では使用人のように便利に扱われ、やらなければ文句すら言われていました」


 いつの間にか、やるのが当たり前になっていたわね


「働けるようになると、給金は全て生活費や父親のギャンブルに使われて……」



 お父様の表情に苛立ちが見えてるわ。


 ——怒ってくれるのね。



「親を振り切り家を出た後は、職場で都合良く、擦り切れる程酷使されていました」


 それを、彼女は当たり前だと思っていた。


「その頃に優しくされて、信用した人が実は悪い男で、彼女はあっさり騙されてしまい、心身共にボロボロになりました」



 客観的に見て、馬鹿よ。



「悪縁を全て切り捨て、自分の幸せの為に店を始めたけど…彼女は数年で病に倒れて、この世を去りました」


 真面目に生きていたのに、散々よね。


「かいつまんでも、かなり残念な人生に思えるのですが……記憶を見る分には、不思議と楽しくやっていたみたいです」


 中々ハードボイルドな人生でしたわね。




 お父様とお母様の顔色が悪くなっていますけど、それは当然ですわ。


 だって、私のお父様とお母様は、とても愛情深い自慢のお父様とお母様ですもの。



「私、お父様とお母様の子に産まれて来る事が出来て幸せですわ」


 お父様とお母様が、泣きながら私を抱きしめてきましたわ。


 ——本日2度目ですわね。


「お父様、お話の通り前世で中々な体験をしたので、簡単なことでは心に傷はつきませんわ」


 だから、大丈夫です。


「それに、私の能力は立ち回りによっては、悪意に対して使い勝手が良いように思いますの」


 諜報活動なども簡単にできますわ。


 両親の抱きしめている腕に力が入った。


 心配しているんだろうな……


「私は諍いや揉め事は嫌いですし、平穏を望みます。私利私欲の為に、私を利用する方々とは、お付き合いしたく有りませんの」


 利用されるのは、真っ平ごめんです。


「私の能力は、私と私の大切な人や物を守る為に利用したいのです」


 お父様とお母様は、黙って話を聞いている。


「私、今世は利用されるのではなく、能力を使うかどうかは私が選びます」


 人を見る目は……今は育っているはず


「他人に警戒心を持てるのも、過去の自分を利用した人達のお陰ですわね?」


 前世の自分に感謝しますわ。


 「お父様、お母様、私は決してこの能力を、間違ったことに利用は致しませんわ」


 話終わると、お父様とお母様が、抱きしめたままだった体を離してくれた。



「分かったよティト。お前の感じるままにやってみよう。ただし、決して1人で悩んだり抱えたりしてはいけないよ?」


 お父様は、優しく頭を撫でてくれた。


「不安に思うなら、いつだってお父様の心をのぞいて良いからね?」


(私にできる事は、この子の前世を含む全てを受け入れて肯定する事だ。ティトを、娘を必ず守って幸せにするんだ)



 お父様……良い人過ぎませんか?


 ——ありがとうございます。



「ティト?」

(辛くは無い?)


「はいお母様、大丈夫です」


 お母様は心を読まれたのに、クスクスと笑い出した。



「ティト『以心伝心』は、随分便利ね? 言葉が少なくても伝わるわ」


(娘に聞かれて困るようなことなんて、考える事もないから全く問題ないわね)



 ——お母様、真っ直ぐすぎます。


 ありがたいけど、少しは隠してください。



「お父様とお母様ありがとうございます。でも、この能力を日々垂れ流しにしたくはないので、色々と検証に付き合っていただけますか?」

 

 実際やってみないと、何が出来るかわからないのよね。



「勿論ティトに協力しよう。ただ、ひとつ尋ねても良いかな?」


 お父様が、私の目を見つめながら尋ねる


「はい、大丈夫です」


 お父様は言葉にし難いのか、少し迷った後、



「……その前世の記憶なんだが、辛くないかな?嫌な事思い出す時、痛みも一緒に思い出すように、悲しくなったりしないかい?」


(先の話が、心の傷としてあるのなら、何とかしてあげなければ)



「……お父様、ありがとうございます。ご心配には及びません。記憶は整理されているので、痛みも浄化されているみたいです」


 心配してくれて、ありがとうございます。


「彼女は、かなりの能天気か鋼の心の持ち主だったみたいですわ。ですから、経験値だけ美味しく頂きました!」



 お父様は、プシューッと音が聞こえるのではないか?と思うほど気が抜けていく。

 


「……そうか。なら良い。それで、能力はどの程度感じ取れるのだ?」


 お父様は気持ちを切り替え、能力のことを尋ねてきた。



「距離が近いと、強い気持ちははっきり聞こえます。控えた感情は、布団の中で喋っているみたいに聞こえます」


 ソフィアは、感情がダダ漏れだったわ


「距離があっても意識を向けると、はっきり聞こえます。範囲も指定出来そうですが、皆が強い気持ちだとちょっとした騒音ですわ」


 お父様もお母様も想像したのだろう。嫌そうに顔を顰めた。



「ティト沢山話して疲れたでしょう?そろそろ終わりましょうか。能力の細かな検証は、又後日ゆっくりね」


 お母様は私の体調を心配しているのか、話を早く切り上げることになった。


「今日は、疲れているだろうから、この後食事をしたらゆっくり休みましょうね」


(食事の時に、子供達が騒がないようにしなきゃならないわね……)


 笑顔のお母様からは、やっぱり威圧に近いオーラを感じました。




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