ティーフロートの過去
見つけてくれてありがとうございます。
更新は不定期になります。出来る時に頑張ります
「前世の人生は、かなり虚弱でした」
——私の前世だけど、他人事に感じたわ。
彼女の人生は今の私からすると、かなり頂けないと感じたもの。
酷く不幸では無いけど、正直良くは無い。
——人に話すには、ちょっと重いかも。
お父様とお母様には、簡単に話そうかな。
「彼女は産まれた時から身体が弱く、学園にも1年目は半分も通えてませんでした」
——階段すら、ひとりで登れてなかった
「前世の両親は……何と言うか、親の責任を放棄していたように見受けられました」
ネグレクトって今なら言われただろうね
「虚弱だった彼女は、自宅に滞在する時間が多く、親に存在価値を認められたくて、家事を率先してやっていました」
それでしか、役に立てなかったから……
「成長するにあたり、家庭内では使用人のように便利に扱われ、やらなければ文句すら言われていました」
いつの間にか、やるのが当たり前になっていたわね
「働けるようになると、給金は全て生活費や父親のギャンブルに使われて……」
お父様の表情に苛立ちが見えてるわ。
——怒ってくれるのね。
「親を振り切り家を出た後は、職場で都合良く、擦り切れる程酷使されていました」
それを、彼女は当たり前だと思っていた。
「その頃に優しくされて、信用した人が実は悪い男で、彼女はあっさり騙されてしまい、心身共にボロボロになりました」
客観的に見て、馬鹿よ。
「悪縁を全て切り捨て、自分の幸せの為に店を始めたけど…彼女は数年で病に倒れて、この世を去りました」
真面目に生きていたのに、散々よね。
「かいつまんでも、かなり残念な人生に思えるのですが……記憶を見る分には、不思議と楽しくやっていたみたいです」
中々ハードボイルドな人生でしたわね。
お父様とお母様の顔色が悪くなっていますけど、それは当然ですわ。
だって、私のお父様とお母様は、とても愛情深い自慢のお父様とお母様ですもの。
「私、お父様とお母様の子に産まれて来る事が出来て幸せですわ」
お父様とお母様が、泣きながら私を抱きしめてきましたわ。
——本日2度目ですわね。
「お父様、お話の通り前世で中々な体験をしたので、簡単なことでは心に傷はつきませんわ」
だから、大丈夫です。
「それに、私の能力は立ち回りによっては、悪意に対して使い勝手が良いように思いますの」
諜報活動なども簡単にできますわ。
両親の抱きしめている腕に力が入った。
心配しているんだろうな……
「私は諍いや揉め事は嫌いですし、平穏を望みます。私利私欲の為に、私を利用する方々とは、お付き合いしたく有りませんの」
利用されるのは、真っ平ごめんです。
「私の能力は、私と私の大切な人や物を守る為に利用したいのです」
お父様とお母様は、黙って話を聞いている。
「私、今世は利用されるのではなく、能力を使うかどうかは私が選びます」
人を見る目は……今は育っているはず
「他人に警戒心を持てるのも、過去の自分を利用した人達のお陰ですわね?」
前世の自分に感謝しますわ。
「お父様、お母様、私は決してこの能力を、間違ったことに利用は致しませんわ」
話終わると、お父様とお母様が、抱きしめたままだった体を離してくれた。
「分かったよティト。お前の感じるままにやってみよう。ただし、決して1人で悩んだり抱えたりしてはいけないよ?」
お父様は、優しく頭を撫でてくれた。
「不安に思うなら、いつだってお父様の心をのぞいて良いからね?」
(私にできる事は、この子の前世を含む全てを受け入れて肯定する事だ。ティトを、娘を必ず守って幸せにするんだ)
お父様……良い人過ぎませんか?
——ありがとうございます。
「ティト?」
(辛くは無い?)
「はいお母様、大丈夫です」
お母様は心を読まれたのに、クスクスと笑い出した。
「ティト『以心伝心』は、随分便利ね? 言葉が少なくても伝わるわ」
(娘に聞かれて困るようなことなんて、考える事もないから全く問題ないわね)
——お母様、真っ直ぐすぎます。
ありがたいけど、少しは隠してください。
「お父様とお母様ありがとうございます。でも、この能力を日々垂れ流しにしたくはないので、色々と検証に付き合っていただけますか?」
実際やってみないと、何が出来るかわからないのよね。
「勿論ティトに協力しよう。ただ、ひとつ尋ねても良いかな?」
お父様が、私の目を見つめながら尋ねる
「はい、大丈夫です」
お父様は言葉にし難いのか、少し迷った後、
「……その前世の記憶なんだが、辛くないかな?嫌な事思い出す時、痛みも一緒に思い出すように、悲しくなったりしないかい?」
(先の話が、心の傷としてあるのなら、何とかしてあげなければ)
「……お父様、ありがとうございます。ご心配には及びません。記憶は整理されているので、痛みも浄化されているみたいです」
心配してくれて、ありがとうございます。
「彼女は、かなりの能天気か鋼の心の持ち主だったみたいですわ。ですから、経験値だけ美味しく頂きました!」
お父様は、プシューッと音が聞こえるのではないか?と思うほど気が抜けていく。
「……そうか。なら良い。それで、能力はどの程度感じ取れるのだ?」
お父様は気持ちを切り替え、能力のことを尋ねてきた。
「距離が近いと、強い気持ちははっきり聞こえます。控えた感情は、布団の中で喋っているみたいに聞こえます」
ソフィアは、感情がダダ漏れだったわ
「距離があっても意識を向けると、はっきり聞こえます。範囲も指定出来そうですが、皆が強い気持ちだとちょっとした騒音ですわ」
お父様もお母様も想像したのだろう。嫌そうに顔を顰めた。
「ティト沢山話して疲れたでしょう?そろそろ終わりましょうか。能力の細かな検証は、又後日ゆっくりね」
お母様は私の体調を心配しているのか、話を早く切り上げることになった。
「今日は、疲れているだろうから、この後食事をしたらゆっくり休みましょうね」
(食事の時に、子供達が騒がないようにしなきゃならないわね……)
笑顔のお母様からは、やっぱり威圧に近いオーラを感じました。




