受付嬢たちの企みと、立ちはだかる試練
一方その頃。
ギルドにいる受付嬢、そこの2人は何やら闘志を漲らせていた。
「今日こそは、あの子を抱っこする!」
受付嬢の一人、サリーはこの前の件に挫けず、今回の作戦を考えていた。
前回は何故失敗したか? それは横からいきなり話を持ち掛けてしまったからではないか?
ならマリーは何故成功したか? それはまず、最初に好感度を上げていたからではないか?
それならばやる事は一つ、今回はまず幼女ちゃんに良い所を見せて自分の好感度を上げる!
好感度を上げてしまえばマリーのように抱っこをさせてくれるはずだ!
そう、まずは良い所を見せてアピールしよう。今回の作戦はそれで決まりだ!
受付嬢サリーの決意は固い。
「マリーばっかりズルい! 添い寝とかあり得ない!」
もう一人の受付嬢、エリーは嫉妬に狂っていた。
なぜマリーだけあの幼女ちゃんを一人占めしているのか。
しかもあろうことか、自宅まで押し掛けて添い寝までしたと言うではないか。
こんな事が許されてたまるものか! マリー、まじ許すまじ!
私だって抱っこしたい! お手て繋ぎたい! 添い寝したい! チュッチュしたい!
今日こそはあの幼女ちゃんに良い所を見せて、私の方が頼りになるお姉さんだってことをアピールするんだ!
受付嬢エリーの決意は固い。
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「ただいま~! ダンジョンから帰ってきたよっ!」
幼女ちゃんの声が聞こえた途端、2人の受付嬢は目の色を変えて飛び出した。
今日こそは幼女ちゃんに、自分の良い所をアピールするんだ!
好感度を稼いで、そして抱っこをさせてもらうんだ!
「素材の買い取りをお願いしたいんだけど、いいかな~?」
「「はい、喜んでっ!!」」
もはや2人掛かりで見せ場の取り合いである。野郎共の受付なんて顎髭のあるジジイに任せとけばいい。
我先にと、デキる受付嬢の雰囲気っぽさを幼女ちゃんに見せ付ける!
素材の買い取り? よし来たっ! それくらい、すぐにパパッとやってみせようではないか!
「じゃあ表に出すけど、良いかな?」
「「もちろん、大丈夫ですっ!」」
表に出す理由はよく分からないが、幼女ちゃんがそうしたいというのなら別にそれで構わないだろう。
わざわざカウンターや倉庫で出すように言い聞かせる必要なんか、全く無いのだ!
すべては幼女ちゃんの思うがままに、私たちはそれに従うのみ!
「それじゃあ、順番に行くよ~?」
いきなり、何も無い空間から素材がドバドバ~と出てきた。
なんだこれは、収納魔法なのか? しかも容量が多いっ!?
しかし、これくらいでビビってたら器の小さい受付嬢だと思われてしまう!
「まだまだ行くよ~? ドバドバ~っと!」
ヤバい、なんか有り得ない量が出てきた。
口から思わず、待って、ちょっとストップ!と言い掛けた。
泣き言は言ってはいけない、幼女ちゃんに情けない受付嬢だと思われたくない!
「もうちょっと行くよ~? ドバドバ~っと!」
あっ、コレ無理だ…… 買い取りの査定とかめっちゃ時間掛かる。
すぐにパパッとなんて絶対に無理。ってかむしろ終わりが見えないパターン。
どうしよう、こんな買い取りすぐには出来ません、勘弁してください!って言った方がいいのか?
「最後にデカイの行くよ~? それ、ドド~ンっと!」
な、なんだかめっちゃデカいモンスター出てきた。斧まで付けて。
なんだこれ、一体どんなモンスターを倒して来たの? それに、この山積みの量は何なの?
受付嬢2人は既に相当の涙目だった。
「出来るだけ早くお金欲しいんだけど…… どれくらいで準備できそうかな?」
な……ッ!? 幼女ちゃんが、早めの準備を希望している……だとッ?!
ならば、ここはやるしかない。今ここで、受付嬢としての意地を見せるしかないッ!!
「「明日までに終わらせますので、それまでお待ちくださいッ!!」」
ああ~っ、つい言ってしまった…… 終わりの見えない査定の山積みを目の前にして。
もうこうなったら、今夜は徹夜だ。家に帰る時間も寝る時間も惜しんでトコトンやるしかない。
そう、これは幼女ちゃんに対する私たちの試練なのだっ!!
後ろから様子を見ていたマリーは思っていた。
ある程度の金額を先に渡しといて、後日で残りの正確な金額を渡せばそれでいいのではないか? と。
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「やべぇ、なんだよあの山積みは……」
「すげぇ、全部モンスターの素材かよっ!!」
「おいっ、あれミノタウロスの巨体じゃないのか?」
「倒してるのも凄いけど、それを全部持って帰ってるというのがヤバすぎる!!」
「ほっほっ。ちなみに儂の精神的なライフはもうとっくに0じゃぞ……? 誰か、早く助けて……」
ギルマスに助けは来なかった。




