38話:静香さん父の死1
やがて11月になり涼しくなり水も気にして飲まなくなり、やがて12月になり12月22日の寒い早朝、山田さんが激しい頭痛と胸の痛みを訴えて同居している長男の賢一さんの運転する車で救急病院に運んだ。すると脳梗塞と心筋梗塞とわかり、この病院では手に負えないと言われ近くの国立相模原病院に転院した。その間、約30分だったが運び込まれたときには手遅れで手術しても回復の見込みがないと冷たく言われて病院到着20分後、死亡した。
その後、全く納得できない賢一さんが最初の救急病院に行き、なんで処置してくれなかったのか理由を聞くと通常、救急病院は持ち回りになっており2次救急病院は一応総合病院であるが、今回みたいに脳梗塞と心筋梗塞の多発症例には脳神経外科の専門医と心臓内科の専門医が必要だが、その時間帯にはいなかったという説明だった。その後、山田賢一さんの友人の大学病院の心臓の専門科の山崎秀一さんに直接会って今回の話をすると、まず気の毒だったと言った。
続けて山崎先生が、もし自分の父が同じ時刻に同じ症状の時に父を助けられたかというと可能性は20%%前後と言った。その理由は、もし脳梗塞、心筋梗塞の疑いがあるとして昼間ならいざ知らず早朝で病院が開いてない時間に脳血管外科の専門医と心臓内科の専門医を一度に集めて同時に手術するのは極めて難しい。もしできたら本当に幸運という事になるだろうと言った。患者さんの一番いけなかったのは水分補給が少なかった事で日頃から気をつけるべきだったろうと言た。
そのためにはかかりつけ医に自分の弱点を見つけてもらう事しかないねと言った。結局、山田賢一さんは父、山田一郎さんの死について納得はできなかったが、仕方がないと、あきらめるしかないと納得せざるを得なかった。葬儀場があいてなくて愛川町の斎場で12月27日に葬儀を行うことになった。この知らせを聞いた長女の山田静香さんは呆然として泣き伏した。 状況について兄の賢一さんに知らされたが、心情的に納得できなかった。
奥さんの山田絹子さんは茫然自失の状態で、その後、何も手に着かない状態だったと知らされた。12月23日に、山田家に残された、奥さんの絹子さん、長男の賢一さん、長女の静香さんが実家に集まり今後どうするかを話し合い長男の賢一さんが近々、付き合いの長い恋人の武蔵真弓さんと結婚し家を出ると言った。 そうなると残された奥さんの百合さんをどうするかという話になり、賢一さんが静香さんに田名の江成家で住まわせてもらえないか勇三さんに聞いて見て欲しいと言われ了解した。
12月24日、その話を静香さんが勇三に話すと俺は構わないが両親にも聞いて見ると答えた。その足で両親に会いに行き15分後帰って来て父の江成正一と母の江成峰子さんが家も広いし部屋数も空いてるから来れば良いと言った。そして、
「何かあったら、お互い様、助け合っていくものよ」、と母が言った。 これを聞いて勇三が、すまないと頭を下げた。その話を静香さんにすると本当に暖かい、お言葉をいただいて、うれしいと泣いた。その後、その話を静香さんが実の母に連絡すると母もうれしいと泣いた。




