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73話 犯人と動機


結論からいうと犯人は同じ学校の女子生徒だった。


犯人が見つかったという知らせを受けてソラと虎太郎くんがやって来た、どうやら御父様からソラに知らせてソラが虎太郎くんに知らせたらしい。

いつの間に連絡網が出来ていたのか…。



犯人を見つける!とか意気込んでいたのにほぼ御父様の力で何とかなってしまった……御父様、凄い…。



御父様から話を聞くと女子生徒は単独犯、その子の両親も盗撮をしていたことなんて知らなくて御父様から連絡がいって初めて知ったそうだ。

そこでその女子生徒を寮から呼び戻し、「なんて事をしたんだ」と叱りつけたらしい。

その子もまさか警察が出てくるとは思わなかったようで怖くなり、自分のしたことを全面的に認めたとのことだ。


その子がこれから謝罪にくるとの事で私は自分の部屋に隔離された。ちなみにモカちゃんは心配しながらも遅くなると困るので寮に帰っていった。

謝罪と言えど私が受けた恐怖はそれなりで、両親がその辺を考慮してくれた結果会わせない方がいいとの事だった。

けれど犯人を知らない方が不安と感じた私は、こっそりとドアの隙間から応接室を覗いていた。


「何やってんだよ馬鹿ハル。部屋にいるようにって言われてたろ」

「そうだ、ハル。もし何かあったら…」


部屋を抜け出した私についてくる虎太郎くんとソラ。それでも力付くで止めようとしない辺り、彼らも犯人が誰なのか気になるのだろう。


「大丈夫大丈夫、両親も居るしソラもコタローくんもいるから」

そういって再び中を覗くと………そこには1人の女子生徒とその両親と思われる男女が私の両親と向かい合って座っていた。ちょうど顔が見える位置だ。


女子生徒には見覚えがあった。

虎太郎くんの事で絡んできたうちのひとり。

リーダーの子、ではなくその横にいた女の子。

私としては名前も知らない相手だ。その子は顔を涙でぐちゃぐちゃにしながら座っている。


そのまま聞き耳を立てているとその女の子は何故こんなことをしたのか動機を語りだした。





彼女は虎太郎くんの同級生だった。

入学してすぐ虎太郎くんに一目惚れをして、仲良くなった人達と一緒にずっと虎太郎くんに憧れ続けた。

けれど、私が入学してから虎太郎くんが変わったそうだ。


どんなに女の子達が言い寄っても皆に馴れ馴れしくするわけでもなく、かといって冷たくするわけでもなく皆に平等だった虎太郎くん。

皆に平等だったからこそ今まで揉め事が起きたりすることはなかった。けれど私が入学してからその対応は変わったらしい。

私に対して優しい表情を向けるようになった虎太郎くん。それを見た彼女は嫉妬した。



伊集院ハルを少し怖がらせてやろう、それで西園寺様に近寄らなくなればいい



そう思った彼女は私の姿を盗撮し、ストーカーがいると思わせるようにひまわりの写真と一緒に送り付け、挙げ句に血糊を写真にべったりと塗り付け生徒会の前に置いた。


怖がればいい、嫌な想いをすればいい。

そう思って行動してきたが実家に呼び出され警察が来て初めて自分のしたことの重大さに気が付いたとの事だった。



うん、めっちゃ怖かったよ!

血糊は血に見えたし、何かされるんじゃないかって怯えたしね!



一通り話終えた女子生徒は「本当にすみませんでした」と謝罪の言葉を口にする。


謝ったからといってすぐに「気にしなくていいよ」と言えるほど私は大人じゃない。

だって本当に怖かったんだ…誰だかわからない人に自分をずっと見られている事が。

もし私だけじゃなく、回りの大事な人たちまで被害にあったらどうしようって。



きっとこの子はもう同じことを繰り返したりしないだろう、今回の事をすごく後悔してるみたいだから責めるつもりもない。


私はそっとドアを閉めると自分の部屋に戻るため足音に気を付けて歩き出した。


「あ、おい…ハル!」

小声でソラが呼び止めるが振り向かないで自分の部屋まで行き飛び込むとガチャリと鍵を閉めた。


次回いちゃこら回です

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