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65話 不穏な手紙

「…………なにこれ…」


寮の入り口にある生徒用のポスト。

自分の部屋番号がかかれているそのポストを開けて思わず眉を寄せる。


その中に入っていたのは宛名も差出人もない1通の封筒。

手にとって開けてみると、中には写真が2枚入っていた。1枚目はひまわりの写真。

もう1枚は………。


「…私?」


そこには生徒会室で談笑していた私の写真が入っていた。

悪戯か、はたまた嫌がらせか……。



どちらにせよいい気分になるようなものじゃないよ…盗撮写真が送られてくるとか…

…誰かに、虎太郎くん相談してみよう…



この時間ならまだ学校にいるかもしれない。

そう思い、私は鞄を持ったまま今来た道を引き返す事にした。

歩きながらスマホを片手に虎太郎くんへ電話をかけると、最初のコール音がなりやむ前に出てくれた。


早っ!?


『もしもし』


「……も、しもし…出るの早いね?」


『ハルからの着信だから、手が離せない時以外はワンコールで取る』


忠犬か!


心の中で突っ込みながら先程寮のポストに入っていた写真の事を話すと、電話の向こうでバキリとなにかプラスチックが割れるような音がした。


「コタローくん?」


『あぁ、いや、何でもない。ボールペンが折れただけ。つい力が入ってしまって』


ボールペン折れた!?コタローくんどんな握力してるの!?


『ハル、今何処にいる?』


「寮に1人でいるのが怖くて…学校に戻ろうかなって、コタローくんまだ残ってたら相談しようと思って向かってるところ」


『わかった、私も迎えに行くからなるべく人通りの多いところを通ること。いいな?』


「わかった」


幸い今は下校時刻も重なっているため、寮に帰宅する為にすれ違う生徒たちも多い。

虎太郎くんも迎えに来てくれると言うことで、通話を切ると私は学校に向かってなるべく早く歩く。




「ハル!」


暫く歩くと正面から虎太郎くんがやって来た。その姿を見て、無意識に張っていた気が緩む。


「大丈夫か?」

駆け寄ってきた虎太郎くんに大丈夫だと告げると彼はぎゅっと私を強く抱き締めた。



うええぇい!?ここ公道です!通行人の視線があぁっ!!



下校途中の生徒達や通行人が好奇な視線を向けてくる。

中には虎太郎くんのファンの子達や私のファンクラブの人達も居たのだろう「きゃー!」と悲鳴も聞こえてきた。

居たたまれなくなった私は虎太郎くんの腕をポスポス叩いて離してくれるように頼むと、渋々解放してもらえた。


「とりあえず生徒会室に行こう、まだソラも残っているし安全だ」

そう言われて手を引かれ生徒会室へと戻る。


中に入ればソラが駆け寄ってきた。

「ハル!大丈夫か!?」

「ソラ……うん、大丈夫。何かされた訳じゃないから…」


「そうか…なら良かった」


虎太郎くんに紅茶を入れてもらいソファに腰掛けると私は鞄のから封筒と写真を取り出して2人へ見せた。

「これが問題の盗撮写真か……此方はひまわり?なんでだ?」

ひまわりの写真を見てソラが首を傾げる。

それとは反対に虎太郎くんが眉間にシワを寄せた。


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