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異世界転「生」できませんでした。-俺YOEEEけどたくましく生きて行きます。-  作者: 六六-B
旅人の辻編

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デュラハン

再開したけどみんなまた読んでくれるかな…


執筆最後まで続けるモチベください


評価とかコメントとか待ってまーす



「なぁ、なぁおいリズ!」

 返事がない。

 隣を歩くリーゼロッテは、前を向いたまま黙っている。いや、正確には黙っているというより、どこか遠くを見ているような、そういう気配だった。鎧の足音だけが、砂利道にカシャカシャと響いている。

「おーい」

 もう一度呼んでみる。

 やっぱり返事がない。

「……リズ」

 三度目でようやく、リーゼロッテの肩がぴくりと動いた。

「……ん? あ、ごめんごめん。ちょっとぼーっとしてた」

「ぼーっとしてた、じゃないだろ。何か考え事か?」

 トオルは少し速足になって、リーゼロッテの前に回り込んだ。

「俺が人型に変身できるようになってから、ずっと上の空だぜ?」

 リーゼロッテの歩みが、わずかに止まった。

 首のない鎧が、トオルを見下ろす。見下ろす、といっても顔がないのだが、なぜかいつもそういう気配が伝わってくる。

「……そう? そんなに上の空だった?」

「そんなにも何も、さっき三回呼んだぞ」

「……三回」

「三回」

 少しの間があった。

「それは……悪かったね」

 リーゼロッテは素直に言って、また歩き出した。

 謝るだけで、理由は言わなかった。

 トオルは隣に並びながら、少し考えて、口を開いた。

「……もしかして、俺だけ人型になれるようになったのが、嫌だったか?」

 リーゼロッテの足が、ぴたりと止まった。

 今度こそ、完全に止まった。

「……はあ?」

「いや、リズはその、首がないだろ。俺だけ急に人間みたいな見た目になれて、なんか……気まずいというか、悪いなって思ってて」

 言葉にしてみると、我ながら間抜けな心配な気がしてきた。しかしもう言ってしまった。

 しばらく沈黙があった。

 それから。

「……ふ」

 リーゼロッテが、笑った。

 くっ、と堪えるような笑い声が、鎧の隙間から漏れた。堪えきれなくなって、肩が揺れた。ガシャガシャと鎧が鳴った。

「ふははっ……なんだそれ」

「笑うなよ」

「だって……アンタ、そんなこと気にしてたの?」

「気にするだろ、普通」

「普通じゃないよ!」

 リーゼロッテは笑いながら、トオルの頭をぽんと叩いた。手がすり抜けたが、気にした様子はなかった。

「私が気にするとでも思ったの? アンタが人型になれたのは、アンタが頑張ったからでしょ。それの何が嫌なのさ」

「でも……」

「でも、じゃない」

 笑い声が収まって、リーゼロッテの声が少し落ち着いた。

「これが今の私の姿だ。アンタに気を遣われる筋合いはないよ」

 あっさりと、しかしはっきりと言った。

「……そっか」

「そっかじゃない。まったく、変なところで気が回るんだから」

 呆れたような声だったが、怒っている様子はなかった。

「それにね」

 リーゼロッテは歩きながら、続けた。

「私は別に、自分の頭を取り戻したいと思ったことはないよ。私はデュラハン、そういうもんだよ」

「そういうもんか……」

「そういうもん」

 あっさりと言い切った。迷いも、未練も、一切ない声だった。

 それからリーゼロッテは少しだけ歩調を緩めて、ぼそりと呟いた。

「……それに、合わせる顔もないしね」

「え? なんか言った?」

「なんでもない」

 リーゼロッテはそのまま歩き続けた。

 トオルは首を傾けたが、それ以上は追わなかった。


「じゃあ、何を考えてたんだよ。上の空になるくらい」

 問うと、リーゼロッテは少し間を置いた。

「……なんでもない。ちょっとした、昔のことだよ」

 それだけだった。

 それ以上は言わなかった。

 トオルも、それ以上は聞かなかった。

 二人はしばらく黙って歩いた。砂利道が続いている。空は高く、雲が少ない。


「……次、旅人の辻だったな」

 先に口を開いたのはトオルだった。

「そう。エルメシアの霊廟だね」

「どんな英雄だったんだ?」

「うーん……」

 リーゼロッテは少し考えるように首を傾けた、ような気配がした。

「一言で言うと、つかみどころのない人だったね。どこにでも現れて、どこかへ消えていく。善良なのか、悪い人なのかもよくわからない。でも──」

「でも?」

「誰よりも、道に迷った人を放っておけない人だった。旅人の辻っていう名前も、そういうところから来てるんだと思うよ」

 トオルは少しそのイメージを頭の中で転がした。

「……なんか、厄介そうだな」

「厄介だよ」

 リーゼロッテはあっさりと言った。

「でも、嫌いじゃなかった」

 その言葉は、どこか懐かしむような響きがあった。

 トオルは横目でリーゼロッテを見た。

 鎧の横顔は、変わらず前を向いていた。

「……行くか」

「ああ」

 足音が、また砂利道に重なっていく。


 ──つづく──

再開したけどみんなまた読んでくれるかな…


執筆最後まで続けるモチベください


評価とかコメントとか待ってまーす

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