圧倒
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「ヒィ、ヒィ……っ、くそっ、我が輩を見下すな…!」
膝をついたままのリッチが、ゼェゼェと荒い息を吐きながら睨みつけてくる。
さっきの《ソウルタッチ》──間違いなく効いてる。
「どうする、リッチさんよぉ……? もう一発、くらってみるかい?」
俺は右手をゆっくりと持ち上げる。
そこには、再び白く淡い霊気のようなオーラが灯っていた。
「グッ……ぬかせえええええッ!!」
リッチが杖を振り上げる! 魔力が膨れあがり、周囲の空気が歪む。
だが、遅い──
――――――――――
【スキル発動:《影移動》】
【MP:63 → 55】
――――――――――
その詠唱中、俺は影から影へと滑り込み、リッチの背後を再び取る。
「おかわりだ」
――――――――――
【スキル発動:《ソウルタッチ》】
【MP:55 → 35】
――――――――――
白い右手がリッチの胸に触れた瞬間──
「グオオオオオアアアアッ!!」
地鳴りのような絶叫と共に、リッチの身体が仰け反る。
魔力が一気に霧散し、周囲の瘴気までもが吸い込まれるように消えた。
――――――――――
【MP回復:+25 → MP:60】
――――――――――
右手の白いオーラがスーッと俺の体内に吸収される。
(……すげぇ、このスキル、当たり判定が次第では消費量より回復量の方が高くなるのか……!)
立ち上がったリーゼロッテが、口笛を吹いた。
「やるじゃない、トオル!」
「……ったく、なんで女の姿で決めなきゃなんねーんだ……」
そんなボヤキを呟きつつ、俺は最後の一撃のタイミングを見計らう。
ふらつきながらも杖を振りかざそうとするリッチ。
その前に──
「そこまでだぁッ!!」
ズドォンッ!!
リーゼロッテの豪腕がリッチの顔面に炸裂した。
骨が砕ける音と共に、リッチの上半身が後方にめり込み、そのまま地面に沈む。
「ま、まさか……この私が……」
呟きを残し、リッチの身体は音もなく崩れ落ち、灰となって霧散した。
そして──
――――――――――
【経験値を獲得しました】
【レベルが上がりました】
【レベル:10 → 11】
【ステータスが上昇しました】
――――――――――
「ふぃ〜〜……何とかなったな」
俺が肩を落とすと、リーゼロッテが鎧を鳴らしながら近付いてくる。
「おつかれ、ヒーローさん? なかなかサマになってたよ、スペクター」
「……茶化すなよ。今はそのツッコミを処理する余裕がない……」
──こうして、第五層《霊廟》を制した俺たちは、
次なる真実へと、静かに歩を進めるのだった。
──つづく──
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