俺SUKESUKEEE!
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森の奥に、二つの人影。
人間──軽装の傭兵たち。武器も装備も軽め。けれど、斥候らしく動きは静かで油断がない。
本隊の先行部隊。間違いない。
(……来たか、ついに人間が)
木陰に潜むフォレストウルフたちも気づいているが、動かない。
ここは俺の出番──ただの火の玉、幽霊モドキの俺に、やれることは一つ。
(まずは情報。観察。)
――――――――――
【名前:タグル】
【レベル:9】
【スキル:ワイドスラッシュ】
――――――――――
(範囲攻撃……! でも、物理なら大丈夫。《物理無効》がある。今の俺は、斬撃すらすり抜ける)
けれど、安心はできない。もう一人の男にも目を向ける。
――――――――――
【名前:ゾイ】
【レベル:8】
【スキル:ウィンドスラッシュ】
――――――――――
(こっちは……風属性? 遠距離っぽいし、魔法なら当たる。要注意)
慎重に、距離を詰めていく。直接行けば気づかれる。なら、使うのは──
(《影移動》)
対象と向き合った状態で、視界が合った一瞬──トン、とワープ。
次の瞬間には、ゾイの背後にぴたりと張りついていた。
(いける。ここから──《祟り》)
――――――――――
【スキル発動:《祟り》】
【MP:56 → 54】
――――――――――
もやのような呪いが、ゾイの背に取り憑いた。だが、すぐには何も起こらない。
ただ、微かに肌が粟立ち、首筋をさすられるような感覚。
「……なんだ……? 背中が……冷たい……」
ゾイが身震いし、周囲を見渡す。俺の姿は見えない。
(……やっぱり、すぐには倒せないんだな)
ジリジリと、じわじわと蝕む呪い。祟りはそういうスキルだ。
だが──近くにいる限り、効果は続く。
しかし──気づかれれば反撃は免れない。そこで、俺は次の一手に出る。
(《透明化》──!)
――――――――――
【スキル発動:《透明化》】
【MP:54 → 39】
――――――――――
ふっと、存在が空気に溶けた。攻撃対象を失ったゾイは困惑する。
それでも俺は、彼の肩の上にぴたりと張り付いたまま。姿が見えなくても、呪いは続いている。
「う……頭が……重い……なんだ……これ……?」
精神にも侵食する《祟り》。意識がぼやけたその瞬間──
「ワン!」
茂みから飛び出したフォレストウルフの一撃が、ゾイの喉元を裂いた。
(……仕留めた、か)
透明化が解ける。MP残量も、目に見えて減っている。
残るはもう一人。タグル。
彼も異変には気づいている。剣を構え、慎重にあたりを見渡している。
目が合った──今だ。
(《影移動》)
――――――――――
【MP:39 → 31】
――――――――――
一瞬で背後にワープ。《祟り》を重ねて発動。
――――――――――
【スキル発動:《祟り》】
【MP:31 → 29】
――――――――――
タグルは即座に気づいた。鋭い動きで反転する。
「そこかッ! ワイドスラッシュ!」
剣を大きく振りぬく。風圧が走る。けれど──
(すり抜けた。物理攻撃……通らない)
斬撃は、ただの風と同じ。俺には意味を成さない。
タグルが次の攻撃に備えて構えた瞬間、再び《透明化》を発動。
――――――――――
【スキル発動:《透明化》】
【MP:29 → 14】
――――――――――
透明化して背後に張り付きながら、《祟り》の効果を継続。
その場から動かず、ただ静かに呪いを染み込ませていく。
「頭が……回らねぇ……な、なんで……だ……」
膝をついたその瞬間、フォレストウルフの突撃が追い打ちをかける。
タグルの体が地に沈むのを見届け、俺は静かに浮かび上がった。
ふたりの傭兵、撃破。静寂。
そして──
ピコン。
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【レベル:5 → 6】
【HP:21】
【MP:56】
――――――――――
(上がった……!)
嬉しさと驚きが入り混じる感覚。
今まで、どれだけ魔物を倒しても上がらなかったのに──
(人間って……経験値効率、良すぎる)
ゾッとした。けれど、否定できなかった。
生きるためには、何かを糧にするしかないのだ。
森の奥から、微かに音がする。金属のこすれる音。多数の気配。
だが──今日はもう、追撃は来なかった。
彼らは一旦引き、明日、仕切り直すつもりだ。
(……よかった。こっちも、休める)
MPを回復し、次に備える時間がある。それだけでも、大きい。
(明日が本番だ……)
焚き火の残り香のように漂う森の気配の中、俺は静かに目を閉じた。
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