表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
【BL】くしゃみ1.5部〜イケメンの故郷凱旋ハネムーン編  作者: 城山リツ
ジェイの章 私の誇り尊き天使

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

11/20

第4話 濡れパン校長将軍

 ネモフィラ将軍の執務室は王宮の奥にある。

 クローバーがミチルとジェイを先導し、最後尾に遅れてラベンダーがよいよい歩いていく。

 まあまあ長く廊下を歩いたが、途中で誰ともすれ違わなかった。ペルスピコーズ教会ならあり得ない事だ。


 ひょっとして、人払いが行われている……?

 

 ミチルはクローバーの様子を窺うが、細い目のデフォルト笑顔を浮かべているだけ。

 ジェイはど緊張で顔が土気色。

 そしてラベンダーは、足腰を引きずりながらもやはり緊張を孕んだ面持ちだった。ジェイの緊張とは少し違う気もする。


 そんな事を総合して考えるが、結局ミチルにはあまり良くわからなかった。

 そしてついに、将軍の執務室への扉に到達。クローバーのノック音が鳴り響く。


「将軍、プルケリマ様がお越しになりましたよ」


「……」


 扉の向こうはシーンとしていた。

 クローバーは更に微笑んで付け足す。


「カリシムス・ジェイ・アルバトロスも参上していますよー」


「……入れ」


 ——しっぶ!

 声、激渋!


 低いのによく通る渋い声。まるで大御所声優の佇まい(まだ姿は見ていない)。

 ミチルはファンタジーアニメに出てくる、ダンディな将軍の姿を妄想していた。



 

「はいはい、失礼しますねー」


 クローバーはかなり軽いノリで扉を開けた。

 カエルレウム魔法顧問がどれくらい偉いかは知らないが、そんなんでいいの?

 ジェイは顔がどどめ色になるくらいに緊張してるのに。


 ミチルのそんな疑問は、あっという間に砕け散る。

 執務室に一歩踏み入れ、中にいる人物の、荘厳な姿を見たからだ。


 地球には、かつて皇帝にまで上り詰めた軍人がいた。

 そんな風格を漂わせ、肩にかけた長いマントがとてもカッコいい。

 年の頃は五十代後半か。だが背筋をしゃんと伸ばして長身の体躯を誇る。頭の上から足の先まで。ルネッサンス期の彫像のように麗しい将軍が。

 ミチルの目の前に、どどんと登場。


 特筆すべきはその……


「パンチパーマ!!」


 どんなに麗しい将軍だろうとも、ミチルにとってはただの人。

 きっと元ハンサムに違いないけれど、イケメンには遠く及ばない(※ミチルの尺度です)。

 なので、ミチルはまず目に飛び込んできた将軍の短髪天然パーマを遠慮なくそう形容してしまった。


「コラア! 誰がパンチパーマだ、将軍のヘアスタイルに何という事を!」


 疲れた体をおして、ラベンダーがミチルを叱責する。

 すると先にクローバーが興味深そうに呟いた。


「おや、ラベンダー君は今の言葉の意味がわかったのかな?」


「いいえ、わかりません! ですが絶対に褒めてない事はわかりますっ!」


 なんかイチャイチャ(?)しているラベンダーとクローバー。

 無言で荘厳に立ち続けるネモフィラ将軍。

 立ったまま気絶してるかもしれないジェイ。


 混沌とした現場で、ミチルは一生懸命考えた。


「あああ、ごめんなさい。よく見たら違う! えーっと、えーっと、もっとオシャレな言い方があったはず……そうだ、濡れパン!」


 説明しよう!

 濡れパン、とはポマードやクリームなどでちょっと固めて濡れたように見えるパンチパーマである。

 ゴリゴリ不良やチンピラの印象はまるで無く、オシャレなイマドキ男子がセットするヘアスタイルだ!


「パンを濡らすなあ! マズくて食えんだろうがアァ!!」


 だが、ラベンダーに通じるはずもない。オシャレに無縁なおじさん……以前の問題である。


「違う違う!」


 慌てて首を振るミチルに、今度はクローバーからの追撃。


「ま、まさか……えっちな意味のヤツ?」


「ちっがーう! バッカじゃないのお!?」

 

 ぎゃおぎゃお言い合う三人は、将軍が全く動かないので次第にトーンダウンし、誰からともなく大人しくなる。


 


「「「…………」」」


「……ふむ。場が静まるまでに三分、か」


 ようやく口を開いたら、厳しい校長先生みたいな事言いやがった!

 濡れパン校長将軍だ! 長いっ!


 ミチルは心の中でそんな葛藤をしていた。

 すると、ネモフィラ将軍は手を差し出して礼を尽くす。


「初めてお目にかかる、プルケリマ・ミチル様。私が将軍ネモフィラです」


「あ、ど、ども……」


 差し出された手を握る。ゴツゴツして大きい手だ。そしてとても温かい。

 目元は厳しい校長先生だが、心は生徒への愛に溢れた素敵な校長先生なんだろう。

 あ、違う。将軍だった。


「そして、カリシムス・ジェイ・アルバトロス」


 校長将軍ネモフィラは、ジェイの方を向く。目元は打って変わって慈愛に満ちていた。


「ついに会えたな。私の予想を遥かに超える功績である。ご苦労だった」


「む、むふう……ッ!」


 憐れ、ジェイ。憧れの大将軍を前に、為す術なし。

 ギギギ、っと筋肉を軋ませながら将軍の手を握るだけで精一杯。


「む、むふふう……ッッ!」


「……?」


 何も喋れないジェイの様子に首を傾げるネモフィラ将軍。

 堪らずミチルが通訳を試みた。


「あのう……ジェイは緊張マックスでして、『お会いできて大変光栄です、ネモフィラ将軍閣下』って言ってます」


「ふむ。そうか」


 ネモフィラ将軍は、ミチルを眺めて同じように慈愛の眼差しを向ける。


「ミチル様は、ジェイ・アルバトロスと心通わす、並々ならぬ関係であるのだな」


「ええー♡ それほどでもおー」


 褒められてミチルは上機嫌。

 だがジェイの緊張は全く解けていない。


「むふ、むむ、むふう……ッ、むう!」



 

 えーかげんにせいよ!

 とりあえず落ち着け!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
くしゃみ転移シリーズの総合ポータルサイトです。
全ての情報の掲載を目指します。イケメンのビジュアルもこちらにございます
是非遊びに来てね♡
https://plus.fm-p.jp/u/kurishiroyama/

html>
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ