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天才魔法オタクが追放されて辺境領主になったら、こうなりました  作者: 優木凛々
第6章 村人輸送と転移陣のその先

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03.完成! 飛ぶ〇〇

 

 翌日から、アリスたちは村人輸送作戦の実現に向けて動き始めた。


 まず、リットが地図とにらめっこしながら、結界内に全長1kmほどの円形のテストコースを定めた。

 テオドールを中心に、騎士たちが飛行の邪魔になる枝や木を切るなどの整備を行う。


 その間、アリスとガンツ、フィンロイは機体の製作に取り掛かった。

 物置に設置された開発ラボ内で、夜遅くまで、ああでもないこうでもないと作業する。


 真夜中に魔法陣を調整しながら、アリスは思った。

 なんか、こういうのって結構楽しいな、と。



(魔法陣の研究も面白いけど、みんなで物作りするのも面白いね)



 今後色々作ってみるのもいいかもしれない、と思う。


 あまりにもアリスが帰って来ないので、テオドールが度々ラボに現れた。

 彼は寝食を忘れて開発に没頭する3人を見て、盛大に苦笑した。



「……アリスさん、人として最低限の生命活動をしてください」

「……あと少し」

「駄目です、昨日もそう言って寝なかったじゃないですか」



 アリスが「いいじゃん」とむすっとすると、テオドールが吹き出した。



「アリスさん、口、とんがってますよ」



 そんな2人のやり取りを、ガンツとフィンロイが苦笑しながら見る。




 ――そして、試行錯誤を繰り返すこと、約1週間後。



「やった! できた!」



 アリスは、出来上がった野菜箱・改の試作品を満足げにながめていた。


 それは、座席が縦に3つ並んでいる細長い乗り物だった。

 風の抵抗を減らすため、先端が三角に尖っている。

 なんか棺桶っぽい形ではあったものの、



「スピードを出す上で、これ以上の形はないですよね」

「まあ、座席も付いてるし、形が多少アレでもそうは見えねえだろ」



 ということで、この形に決まった。


 フィンロイが惚れ惚れとした。



「こうやって見ると、なかなか様になっていますね」

「ああ、これが飛ぶとかロマンしかねえな!」



 ガンツが嬉しそうに同意する。


 アリスも満面の笑みを浮かべた。

 本当に素晴らしい出来だ。



 その後、さっそく飛ばそうということになった。

 布をかけた機体をアリスが浮かせ、意気揚々とテストコースに向かう。


 テストコースはすでに出来上がっていた。

 実際に飛ばしたいと言うと、テオドールやリット、コースを整備した騎士たちが集まってくる。


 スタート位置に機体を降ろすと、フレッドがワクワクした表情で見た。



「これだろ、空飛ぶ乗り物って」



 他の騎士たちも、

「あれか」

「結構大きいんだな」

 とワイワイ言い合う。

 どうやらみんな結構楽しみにしていたらしい。


 アリスたちは、むふふふ、と顔を見合わせた。

 アリスが布に手を掛けると、バッと取る。



「これが、野菜箱・改です!」

「……」



 棺桶のような形のそれを見て、その場の全員が固まった。



「……おい、あの形……」

「なんか棺桶っぽくないか……?」



 という声が聞こえてくる。


 アリスは、なるほど、とうなずいた。



(確かに、理由を知らずにパッと見ればそう思うよね)



 ここは解説してあげようと、

 彼女は、得意げに先端の尖った部分を指さした。



「先端がとがっていると空気抵抗が減って、結果スピードが出るんです」

「スピードや効率を最大限にしてある」



 ガンツとフィンロイも、うんうん、とうなずき、

 他の全員が何とも言えない顔をする。



 その後、とりあえず飛ばせてみようということなり、アリス、フィンロイ、テオドールの3人が乗り込んだ。


「じゃあ、いきますよ」



 アリスは、床のミスリルに手を置いて魔力を流した。

 箱の底のカバンがぼうっと光り、野菜箱がふわりと浮かび上がる。



「……っ!」



 騎士たちからどよめきが上がった。



「おお!」

「飛んでいるな!」

「すげえ! 飛んでる!」



 誰かが「……飛ぶ棺桶」と言いかけるが、他の誰かに「しい!」と肘で突かれて口を閉じる。


 アリスは得意満面でゆっくりと風魔法を発動させた。

 野菜箱・改が、周辺をゆっくり一周する。



「テオドール、どう?」

「前の野菜箱よりも操作性が良いですね。体重移動もスムーズです」



 フィンロイが「そうだろうそうだろう」と満足げにうなずく。

 滑るように飛ぶ野菜箱・改を見て、騎士たちが驚いたような顔をした。



「見た目はアレだが、結構すごいな」

「ああ、画期的だな」



 といった感嘆の声が聞こえてくる。


 アリスはドヤ顔をしながら、同じくドヤ顔のガンツとフィンロイに親指を立てて見せた。

 今のところ大成功だ。



 ――問題なく飛べることを確認した後、いよいよ性能テストをすることになった。


 リットが気を取り直すように地図を広げた。



「今回のテストコースは、結界内をくるりと回る形にしてあります。全長1kmほどです」



 ほぼ正確な円を描いているため、体感としてはまっすぐな道が続いているように感じるらしい。



「ほぼ直線を走っている感覚になるということか」

「はい、そうなります」



 まずは騎士の中でも足に自信のあるフレッドが、

 身体強化魔法を使ってコースを走ることになった。



「よし、いっちょがんばるか!」



 張り切って屈伸するフレッドに、リットが尋ねた。



「フレッドさんってどのくらい早いんですか?」

「そうだな……森の中だったら、オオカミを振り切るのは難しいが、犬型やイノシシ型、クマ型だったら振り切れるって感じか」


 なるほど、とアリスはガンツとフィンロイと肯き合った。

 つまり、最初の目標は、「打倒フレッド」だ。


 そんな物騒なことを思われているとは露知らず、フレッドがスタートラインに立った。

 リットが時計を見ながら声を張り上げた。



「では、位置について……スタート!」



 合図とともに、フレッドが走り出した。

 ものすごいスピードで疾走し、あっという間に見えなくなる。


 アリスは目を見張った。



「早っ! こんなに早いの!?」

「あいつ斥候だしな」

「逃げ足めっちゃ早いぞ」



 他の騎士たちとそんな会話をしていると、誰かが声を上げた。



「戻ってきたぞ!」

「え、もう?」



 アリスが驚いて振り返ると、

 反対側からフレッドがぐんぐん近づいてくるのが見えた。

 アリスたちの横を風のように走り抜けると、しばらく行ってから止まる。


 リットが時計を見て驚きの声を上げた。



「1分半です! 時速40km! 馬と同じくらいです!」



 全員がどよめきを上げた。

 足場の悪い森の中ではかなりの速さだ。


 皆に褒められ、フレッドは肩で息をしながら笑顔で言った。



「まあ、1kmくらいならこんなもんだな」



 アリスたち3人は顔を見合わせた。

 これは負けられない、と無言でうなずきあう。



 そして、いよいよ野菜箱・改の番になった。






この話とはあまり関係ないですが、古城周辺の地図を追加しました。

興味のある方はご覧ください↓

https://ncode.syosetu.com/n1001lf/62/


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