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天才魔法オタクが追放されて辺境領主になったら、こうなりました  作者: 優木凛々
第4章 結界探索と謎の地図

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挿話:アリス、 開拓の要になる(1/2)

 

 外に探索に行ったその翌日。

 アリスは地面から掘り起こした丸い金属球を持って、ガンツのところへ出かけた。


 あれこれいじってみたものの、どうにも正体が分からない。

 金属の専門家であるガンツに意見を聞こうと思ったのだ。



「ガンツさん、金属に詳しいしね」



 期待に胸を膨らませながら鍛冶小屋へ向かうと、そこには先客がいた。

 木工職人であり建築士でもある、穏やかな雰囲気の眼鏡の中年男性――フィンロイだ。


 2人は何やら深刻そうな顔をして話し合っている。


 アリスに気づき、ガンツが手を挙げた。



「おう、どうした?」

「ちょっと見てもらいたいものがありまして」

「もうすぐ終わるから、そこに座って待っていてくれ」



 アリスはおとなしく椅子に座った。

 2人はしばらく深刻そうに話し合い、

 フィンロイが、アリスに穏やかに軽く手を振って、去っていく。


 その後ろ姿を見送りながら、アリスは尋ねた。



「何かあったんですか?」

「ああ」



 ガンツは少し困ったように頭をぽりぽりとかいた。



「開拓が始まるってことで、いろいろ話し合ってはいるんだがな。炭と薪が圧倒的に足りないって話になってな」

「炭と薪?」



 ガンツによると、開拓は何かと物入りらしい。



「斧やらスコップやら、色々と道具が必要だから、躍起になって作らなきゃいけねえんだが、そうなると炭が足りないんだ」



 鉄を精製するのにも炭がいるし、鉄を加工するにも炭がいる。



「薪も同じだな。家が増えりゃ、使う量も増える」



 アリスは首をかしげた。



「炭も薪も木ですよね? 外は森だし、木はたくさんあるんじゃないですか」



 ガンツが笑った。



「まあ、そうなんだがな。木ってのは、すぐには使えねえんだ」



 ガンツによると、木は乾燥させないと煙が出過ぎて使えないらしい。



「焚き火をするときも、乾いた木を使うだろう?」

「確かに」



 アリスは、ここへ来る途中でテオドールと何度か焚き火をしたことを思い出した。

 乾いていない木を使ったときは、確かに煙が多かった。


 ガンツによれば、木を薪や炭にするためには、半年から1年ほど乾かす必要があるという。



「そんなに時間がかかるんですか」

「ああ。木ってのは乾きにくいんだ」



 その話を聞きながら、アリスは思った。

 昔、濡れた服をすぐに乾かせるよう、乾燥の魔法を開発したことがある。

 あれが使えないだろうか、と。



「ガンツさん、魔法で乾燥させることはできませんか」

「乾燥?」

「はい。魔法で乾燥させられないかなと思いまして」

「魔法で乾燥……」



 ガンツはぽかんとした顔をした。

 どうやら、魔法で乾燥させるという発想自体がなかったらしい。



「そうなんですか」

「ああ。第一、魔法ってのは貴重なもんだからな。そもそも使えるやつ自体が少ねえ。俺は仕事柄、よく会ってはいたが、普通の知り合いにはいねえぞ」



 魔法が使える人間、つまり魔力を持つ者は100人に1人程度。

 そのうち魔法を発動できる者は1000人に1人、攻撃魔法を使える者は5000人に1人とも言われている。



 アリスは目をぱちくりさせた。



「そんなに少ないんですか」

「……知らなかったのか」



 ガンツは苦笑いする。


 その後、2人は鍛冶小屋の裏にある大きな倉庫へ向かった。

 倉庫の奥には、たくさんの木が並べられている。



「この木、何だろうと思っていましたけど、乾かしていたんですね」

「そうだ。裏にも物置があるだろう。あそこの奥も木でいっぱいだ」



 なるほど、とアリスは考え込む。

 こうやって木を乾燥させていたのか。



「家具を作るときも乾かすんですか」

「ああ。家具なんかもっと大変だ。しっかり乾かさないと、反って使い物にならなくなる」



 木の中の水分というのは、なかなか厄介らしい。


 アリスは木々の中から、やや小さめの丸太を選んだ。

 ずっしりと重いそれを床に置くと、リュックサックから魔法紙と魔法インク、羽ペンを取り出し、魔法陣を書き始める。


 アリスは魔法陣を書き終えると、紙を床に置いた。

 その隣に丸太を置くと、魔法陣に触れながら魔力を込める。



起動(カンターレ)熱風:魔法陣(カルファ)



 魔法陣が光を放った。

 光りの渦が丸太を包み、しばらくして消える。


 アリスは丸太を持ち上げた。

 ちょっと軽くなった気がする。


 アリスは、ポカンとしているガンツに丸太を差し出した。



「これでどうですか?」



 ガンツは我に返ると、丸太を受け取った。

 乾いてひび割れた皮の部分を見て、「こいつは驚いた」とつぶやく。



「魔法ってのはすごいもんだな、こんなこともできるとはな」



 しかし、試しに斧で割ってみると、中はまだ生木のままだった。



「中、まだ濡れてますね」

「ああ、木ってのは、この中が乾くのが遅いんだ」



 ガンツによると、表面が乾いても、中までしっかり乾くのに時間がかかるらしい。



「なるほど……」



 アリスは木の中の濡れている部分を見ながら考え込んだ。

 これを乾かすとなると、また別の理論構築が必要そうだ。


 考え込むアリスに、ガンツが尋ねた。



「そういえば、どうしてここに来たんだ?」

「あ、そうでした」



 アリスはポケットから金属球を取り出した。

 ガンツに渡すと、彼は軽く目を見開いた。



「おいおい、こりゃミスリルじゃねえか!」

「ええ、そうなんです。地面を掘ったら埋まっていて」



 ガンツが苦笑した。



「……お前さん、すごいもんをシレっと見つけてくるな」



 くるくると球を回しながら考え込む。



「……悪いが、ちょっと預かってもいいか? じっくり見てみたい」

「はい、お願いします。あと、この丸太借りてもいいですか?」

「おう、かまわないぞ」



 そんな会話を交わしながら、2人は物置を出ていく。




 ――そして、その日の夜。






リクエストをいただきまして、地図を追加しました。

興味のある方はどうぞご覧ください。

https://ncode.syosetu.com/n1001lf/57


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