表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
隣人の名前を検索するな。  作者: 瀬田川 廡輪(ぶわ)
5/5

第四章〜四日目

書かせて頂きました。宜しく御読みになって頂けましたら幸いです!

さらにその翌日。やはりしつこくも鍋丘さんはやってきたわ。

そして、やはり無防備にも玄関を開けてしまうわたしに対していきなり、何らかの紙包みを押しつけてきて、こう仰ったのよ。

「これは静岡の方の名産ですけの。なんでもうなぎのエキスを塗って焼いたパイのようでんの。美味しかそうですよ。居木すえきさんは鰻はお好きですかの?」

「あらまあ、ええ。大好きですわ。いても有り難う御座(ござ)いますぅ。まどお返しもしてませんのに。どうも・・・」

わたしはひたすら恐縮しながら、お人好しにも真面目まじめにもお答えするしかなかったのよ。

と、鍋丘さんは、両手を振りながら、

「なぁに、お返しなんざ要りませんので御座ございますわぁ」

「いえ。そんなか。悪いですわ」

「いえいえ。そんなことよりところで居木さん、お宅あ御結婚はなさっているので?」

などと、不躾(ぶしつけ)なことまで訊いてくる始末(しまつ)

わたしは、つい耐え切れきれなくなって、ぴしゃりとこう言ってしまったの。

「主人はおりますのよ。毎晩仕事で遅いのですけれど」

と。それは真っ赤な(うそ)だったのどけれど。

そう。わたしは二十五歳の独身だったもの。

すると、

「そうかあ。そいつあ楽しみだ。あ、いやいやお気にならさずに」

などとサイテイなことを言うの。

さらに、

「いやあね。わしゃあ小さい子供の声ってのが苦手でね。いやあ、ご存知かな?このアパート、壁が薄いんですわあ。色々と聴こえてしまいましてね。やだなあ、子供でもできたら。・・・なんてね」

やはりサイテイのひとのようだわ━━━。

わたしは思ったものです。

思わずわたしが、「そろそろ用事が御座いますので。このへんで」

と、申すとその日はそのままいそいそと鍋丘さんは帰っていいったのでございますけれど。

御読みになって頂きまして、誠に有り難う御座いました。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ