俺は、土方を選びます
妹が兄を好きになってもいいと掲示板に書いてから、妹の様子がちょっとおかしいんだが
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の魅墨を選んだ場合となります。
魅墨ファンの方、妹掲示板ファンの方、ぜひぜひお楽しみくださいませ。
「俺は、土方を選びます」
「え?」
俺が土方を選ぶと言った瞬間、黄島先生は驚いたかのように目を見開いて俺を見つめた。
まあ、その気持ちはわからなくもない。
おそらくは翠か真白、次点で春野を選ぶと思っていたはずだ。
翠は仕事に慣れていないから。真白は生徒会長として支援部の代表である俺とやり取りができるから。春野は俺と連携が取れるから。
三者三様にやる理由を挙げられるのだが、魅墨に至っては表向きは一緒に組む理由はないように感じる。
そう、表向きは。
魅墨と話すようになって、魅墨は冗談抜きで俺と離れたら暴走してしまうと思う。
ラインを返さないだけで何通も送って来るような奴だ、一緒に仕事が出来ない日々が続けば一緒に作業する事を手段も選ばずに強行するだろう。
それだけはなんとしてでも避けなければならない。
「いや、土方だけはあまり話したことないので、これを機に親睦を深めようと」
俺は決意と、言えない裏向きの理由を心に秘めて心にもない理由を黄島先生に説明する。
「成る程な。確かに皆野は土方とはあまり話した事ないし良い機会かもな」
先生は顎に手を当てて、納得したように深く頷いた。
本当は、土方以外じゃなくてもいいのか? と聞いてもらえる事を期待していたが、そんなに甘くなかったか。
「ええ。なので、土方と服装指導が出来るようにお願いします」
「本当か、蒼司!」
「え、魅墨!?」
服装指導を魅墨と一緒になるよう黄島先生にお願いした瞬間の事だ。不意に現れた魅墨に、俺は声にならない悲鳴をあげて思わず二度見をした。
なんで魅墨がここにいるんだ。
「いやー、蒼司が私と一緒に服装指導をしたいと黄島先生に打診してるとはな。避けられてると思っていたが、杞憂だったか。むしろ、黄島先生に打診するってお前の方が私から離れられないようだな。はっはっは」
杞憂じゃねえよ。その通りだよ。
魅墨はマシンガントークで誤解をむくむくと膨らませて、俺に訂正する隙を与えない。
「なんで魅墨がここに?」
「ああ、生徒会の打ち合わせも終わって、ちょっと職員室に用事があったんでな」
なんてタイミングが悪い。魅墨が職員室に来たのはたまたまで、たまたま俺が魅墨に聞かれたくない事を話してる時に聞かれたのか。
悪い方向に偶然が重なりやがって。恨むぜ、神様。
「土方を呼ぶ手間が省けたな。皆野、お前は今の話土方に説明しといてくれ。私は支援部行って説明してくるから」
「え、ちょっと、黄島先生!?」
黄島先生はナイスアイデアと言わんばかりに、俺に説明を押し付けて席を立つと、職員室を颯爽と出て行った。
いつもはあんな素早く動かない癖に。いや、もしかしたら動いてるのかもしれないけど。
俺はニコニコ顔で俺を見つめる魅墨に、満面の苦笑いを浮かべて、先程まで黄島先生が座っていた席を指差した。
「……座ったら?」
「お、ありがとう。立ちっぱなしを気遣ってくれるとは、蒼司は紳士だな」
「いや、普通だと思うけど」
「そうなのか? 今まで男子にそんな扱いを受けた事がないからそういうのが当たり前と思っていたのだが」
いかん、魅墨の闇の扉を開けてしまってる気がする。というか、魅墨が拗らせてる理由ってこういうところなんじゃないのか?
「他の人は知らんが、俺は普通にするぞ」
「そ、そうか。なんか、私にとって特別な事すぎて照れてしまうな。ハハハ」
俺は席を譲るくらい当たり前だと伝えると、土方は照れたように頬をかいた。
何故だがマシンガントークはなりを潜めており、俺にとってはありがたい。
「さてと、まあ、今その話は置いといてだ。先程黄島先生としていた話の説明をさせてもらってもいいか?」
「うん、大丈夫だ。もう職員室での用事も済ませてあるし、時間気にせず話してくれ」
「了解。じゃあ、まずはじめに、俺達と生徒会で合同でやっている服装指導なんだけど、なんか評判が良いらしい」
「そうなのか? 頑張ってきた者としてはすごく嬉しいな」
黄島先生から聞いた内容をそのまま伝えると、魅墨は満足ほうに微笑む。
魅墨は副生徒会長だし、ずっと頑張ってたんだろう。普通に生徒会の人間としてみればまともな人間だなと微笑ましく見てしまう。
「それでだ。評判が良くなったので、服装指導を今後も長く続けて欲しいみたいでな。今後は二人ペアでローテーションをするみたいだ。そこで、さっき話してた最初のペアは俺と魅墨でという話に繋がるんだが」
「成る程、確かに効果が得られたのであれば学校側としては長くして欲しいだろうな。で、私の聞いた内容に繋がると。成る程成る程。理解したぞ」
ざっくりと説明にはなってしまったが、魅墨は納得して俺の説明にうんうんと頷いた。
腐っても副生徒会長だ。日頃やってる作業をイメージしてくれたのだろう。理解が早くて助かる。
「あ、嫌なら断ってくれてもいいんだぞ。結構急な話だからな」
「誰が断るものか。むしろ、蒼司の相棒は私しかおるまい!」
念の為断るかどうか尋ねると、魅墨はあり得ないとばかりに掌を広げて俺の前に突き出した。
……ついに相棒にまでなってしまったか。
魅墨と話し始めてまだ二十四時間も経っていないと思うが、気付けば魅墨との仲はぐんぐんと勝手に深まっていく。
「ハハハ、心強いなー」
乾いた笑みを浮かべ、棒読みで魅墨を褒めると、魅墨は嬉しそうに頬を赤らめ、照れたように頭をかいた。
「ただいまー。とりあえず伝えるだけ伝えたから支援部は帰っていいと伝えといたぞー。こっちはどうだ?」
魅墨に説明を終えたタイミングで、黄島先生も説明を終えて帰ってきた。
支援部も終了したって事は戻っても仕方ないだろう。
魅墨は立ち上がって黄島先生に席を譲ると、黄島先生はそのまま腰を下ろした。
「こっちも今伝え終わりました。明日から二人でいいんですよね」
「ああ、そうだ。頼んだぞ。じゃ、お疲れ様」
黄島先生に魅墨に伝達が終わった旨を伝えると、さっくり了承して自分の仕事をはじめだす。
まあ、特に連絡する事はないと捉えていいんだろう。
「俺は帰るけど魅墨はどうする?」
「か、帰る! 一緒にだ!」
一応魅墨に帰る事を伝え、魅墨はどうするか尋ねると、食い気味に一緒に帰ると申し出た。
いや、一緒にとは言ってなかったんだが。
魅墨のキラキラ輝くその瞳を見て、今更一緒にとは言えず、内心ため息をついて俺は立ち上がってリュックを持った。
面白ければ
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また、元作品になります。
よかったら読んでみてください
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