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恋人捜しは騎士団で  作者: 如月美樹
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 寮の食堂で朝食を摂っていると、さも今気付いたと言わんばかりにゴードンが顔を上げた。

「よく考えたら、カスミさんと俺って同じ歳だよな? ・・・カスミって呼び捨てでもいい?」

「え、うん。いいよ」

「「「「・・・・・・・・・・・・・・・・・・」」」」

 他の四人は、何か言いたげに黙り込んでしまった。

 自分たちは確かに年下だが、それではあんまりではないか? と思ってしまったのだ。

 これではゴードンだけ、花純と親しいように感じてしまう。

 これから花純は高等課にも通うのだ。他の男に、今の立場を奪われるのも面白くない。

「ゴードンだけって、ズルイ」

「そうだよ。皆一緒に知り合ったのに、同じ歳と言うだけで呼び捨てってないよ」

「・・・・・・・・・確かに」

 カイトなど自分は忠誠を誓った立場なのに、ゴードンより離れた立場は嫌だった。

「あの、よければ・・・皆、呼び捨てでもいいよ?」

「本当っ?」

 オレグが前のめりになって聞いてくるから、若干顔を引いて花純は応えた。

「うん・・・」

「じゃあ、お言葉に甘えて・・・」

 皆が花純の顔を見ながら一斉に言葉を発した。

「「「「「カスミ(花純)」」」」」

 面と向かって言われると、ちょっと照れる。

「・・・はい」

 この返事の仕方も変だ。そう思っていると、オレグがからかってきた。

「すんごいカスミの顔、真っ赤・・・・・・可愛い」

「・・・・・・っ!」

 年下の男の子に、そんなことを言われると何だかもの凄く恥ずかしい。

「カスミは照れ屋だな~」

「言われ慣れてないの? ニホンの男って、そんなこと言わないの?」

「言わないらしいよ。父さんの言うには」

「カスミは充分可愛い。ニホンの男は損しているな」

 何が損しているのか花純には理解出来ないが、もういい加減止めて欲しい。

 そろそろ学園へ行こうかと席を立った頃、キラキラした王子様のような人がこちらを見てにこやかに笑った。

(誰・・・・・・?)

 その男性はどうやら花純を見ているようだが、見覚えはない。

「やあ、カスミ。もう寮には慣れた?」

「・・・・・・はい」

 もの凄く綺麗な人だ。背は凄く高い。細身だから、余計にそう見えるのかもしれない。

「今日から高等課に通うんだってね。頑張って」

「はい、ありがとうございます」

 誰だか解からないけど、一応お礼を言っておいた。

「じゃあね」

 花純の肩に手を置いて、彼は颯爽と去って行く。

 花純は皆を振り返り、ぽつりと呟いた。

「・・・・・・今の人、誰?」

「あ? ここにきた時、挨拶に行かなかったのか?」

 声を出したゴードンは、花純にではなく直哉に質問した。

「いや、行ったけど・・・・・・」

 直哉の応えを聞いて、花純が既に会っているということを知ったが記憶にない。ここにきたばかりの時は、一度にいろんなことを聞かされたり人を紹介されたりと忙しかったので、はっきり言って覚えてないことの方が多い。

 直哉もそれが解かっているから、何度も質問する花純に嫌がらずその都度丁寧に教えてくれていたのだが・・・。

「・・・・・・誰?」

 花純のその質問には、クリースが応えてくれた。

「アリンソ・ノウルズ寮長だよ、カスミ」

「え・・・・・・っ?」

 ノウルズ寮長には、挨拶に行った覚えはある。でもあんな風貌だっただろうか?

 確かぼさぼさの頭で顔色ももっと悪くて、頬もこけてて・・・。あんなにキラキラした人ではなかったはずだ。

「・・・え? えぇ?」

「ああ、そうか。確か研究中のノウルズ寮長に会ったんだよ」

「ああ、だからか」

 皆が納得したように頷いた。

「カスミ、彼は研究中はそれに没頭し過ぎて他が見えなくなるんだ。あれが本来の寮長の姿だよ」

 カイトの言葉にも、いまいち納得出来ない花純だった。

 あんなにも人は風貌を変えることが出来るのか?

「研究・・・・・・。じゃあノウルズ寮長は特級課の生徒なの?」

「寮長は文官課の生徒だよ。彼の家系は代々宰相をしているから、ノウルズ寮長は未来の宰相様だよ」

 クリースの言葉に、花純は瞳を見開いた。

 ではノウルズ寮長は貴族出身ということか。

「ノウルズ寮長は貴族なの?」

「そうだよ。ノウルズ公爵家の嫡男だよ。ちなみに、カイトもゴードンも貴族だよ」

 カイトが貴族なのは先日知ったが、まさかゴードンまでとは思わなかった。

 瞳を見開いたまま、花純はゴードンを見詰めた。

「・・・・・・呼び捨てでも、いいの?」

 花純のもっともな質問に、ゴードンは何でもないことのように応える。

「こいつらでも、ゴードンって呼び捨てしてるんだ。別に構わない」

 もの凄く爽やかな顔で笑いながら告げられた。

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