目が覚めると、
目が覚めると、知らない天井があった。
いや、それだけじゃない。視界がぼやけている。
「まあ、あなたなんて可愛い子なの!」
「あぁ、これから大事な家族がまたふえるな、」
誰かの声がする。まだピントの合わない視界の奥で、大人たちが慌ただしく動いている。
「レイス様今魔力を測定したところこの魔力量……今まで見たことがありません」
「よくやった、マリー」
男の声が、そう言った。
――そこから、俺の異世界物語が始まった。
◇ ◇ ◇
今の俺は4歳になった。
まず、俺は辺境伯の公爵家……ラウルス家というものに産まれたらしい。よくわからないけど、貴族の家系で、それなりに格式があるとかないとか。
「ミラー様、お食事の用意ができています。向かってください」
声をかけてきたのは、今着替えを手伝ってくれている女性。メイドのラナだ。俺の専属メイドらしい。
「わかった、ありがとう」
ラナはにこりと微笑み、小さな俺の手を取って歩き出す。
廊下を進み、広い食堂へ。長いテーブルの上には、朝食が並べられている。
すでに家族は全員、席についていた。
◇ ◇ ◇
母・ラウルス マリー
まず目に入るのは、優しい笑顔の母親。俺の母はマリーと言う。とっても優しく、いつも笑っている。貴族とは思えないほどのお人好しの人だ。正直、こういう世界でよくやっていけるなと思うが、その性格のおかげで使用人たちからの信頼も厚い。
「ミラー、おはよう。よく眠れた?」
「うん、母様」
彼女はそれだけで嬉しそうに頬を緩める。
父・ラウルス レイス
その隣に座るのが、父のレイス。この人も優しい。貴族の領主として周りからの評判もいいそうだ。仕事の話はあまり聞かないが、家で見る限りは穏やかな雰囲気の男だ。
「ラウルス、今日はいいことがある」
父が微笑みながら言った。
姉・ラウルス エリ
そして、俺には姉と兄がいる。
姉の名前はエリ。5歳だ。まだ幼いのに、しっかり者でよく俺の面倒を見てくれる。髪は母譲りの明るい茶色で、くるくるしたツインテールが可愛い。
「ラウルス、今日は一緒に遊ぼうね!」
エリは席を立ち、わざわざ俺の隣に来てほっぺたをつついた。くすぐったい。
兄・ラウルス カイ
兄の名前はカイ。7歳。もう少し大きくなると学園に入るらしい。今から剣の稽古をしていると聞く。性格は活発で、よく遊んでくれる。ただし、たまに悪戯心を出して、俺にちょっかいをかけてくる。
「カイ、ラウルスにあまりちょっかいを出すな」
「はーい」
父に注意されても、カイは悪びれずに笑う。
妹 ラウルス ルナ
そういえば、もう一人いる。妹だ。まだ1歳にもなっていない赤ちゃんで、今日はメイドが別室で見ている。超絶可愛い。会うたびに頬が緩む。
とにかく、この家族に囲まれて、俺は毎日を過ごしている。
そしてこの俺はラウルス家に産まれて次男のラウルス ミラーで生きている毎日魔法やこの世界のことをを知ろうとしているが魔法のことに関してはまだ分からないことだらけである
◇ ◇ ◇
「ラウルス」
食事も終わりに差し掛かった頃、父が改まった口調で言った。
「今日は、お前に初めての外の世界を見せてやる」
「……外?」
「ああ。今までは庭しか出ることができなかったが、今日は特別に外の世界を見してやる」
姉のエリが嬉しそうになる。
「やった! ラウルス、一緒に行こう!」
兄のカイも立ち上がった。
「俺も行く。ラウルスを守ってやるからな」
母のマリーは優しく微笑みながら、そっと俺の手を握った。
「ラウルス、怖がらなくていいのよ。みんな一緒だから」
――怖がる?
いや、むしろ。
(待ってました)
俺の心臓が、高鳴った。
異世界に転生して4年。ずっと家の中で過ごしてきた。見えるのは庭と建物の中だけ。もちろん、それはそれで貴重な体験だが……。
(やっと、この世界の本当の姿を見られる)
前世で毎晩願い続けた異世界。その空気を、肌で感じられる。
「……行く」
小さな声で、でもはっきりと、そう言った。
父がうなずく。
「では、準備をしよう」
――こうして、ラウルス・ミラーは初めて、家の外の世界に足を踏み出すことになる。
それが、この物語の本当の始まりだった。




