予選 ショウガイブツキョウソウ
「ハイハーイ♡
それでは、これより
第一回、
私を異世界に連れてって〜逝きなり!転生生活〜
略して、ワ・タ・ツ・レ♡
の開会式って言うと長い!メンドイ!!
ので♡開会宣言!
でーは、始めちゃいまーす♡」
バスに乗って早々に、
「お楽しみ度アップでーす♡」
と言われ目隠しをされ、
バス到着後、手を引かれ案内された、
大きなホールのようなところで、
目隠しを外した途端に、あっさりとした開会式。
全く持って信用ならない進行に、
たぁぽむはもちろん、他の参加者も不安げだ。
「ハイハーイ♡
ザワザワ禁止でーす♡
それでは、ズバッと!♡
みなさんにはまず、予選を受けてもらいまーす!♡
はいそこ、
ちゃーんと募集要項には書いてあるので愚痴らなーい♡
うふん♡
で・は!♡
定員は50人!他の方はどーんまい♡
予選!
【傷害物凶躁】
はっじめー♡」
その言葉と同時に、立っていた床が、
抜けた。
「うゎあああああ!!」
参加者達の悲鳴が響く。
数秒後、たぁぽむは思い切りそこに叩きつけられた。
「いったぁ……骨したらどうなん…うっわ!
スカート切れてんじゃん!
マジありえな……え…、」
目の前に、頭から血を流した人間の頭があった。
思わず、一歩下がろうとした。
「いたっ!?え…な、なにこれ……大きな棘?
あ、え、やだ、オレの手、血が…」
大きな棘に触れた左手が少し切れ、
血が出てきた。
よく見ると、自分がいる、人一人分のスペースを除き、周囲を大きく鋭利な棘囲まれていた。
それに気づき、ハッと先程の人の頭を見る。
ー脳天から、棘が突き出ている。
「あ、あ、あ、」
叫び出しそうになった瞬間、
〔あーマイクテスト♡マイクテスト♡
はーいみなさん、予選、
【落ちてビックリ!剣山じゃん!】
な落とし穴お疲れ様でーす♡
剣山に刺さっちゃった人、
残念ながらここで落選でーす♡
クリア者のみなさんは、これから、
本選会場でーす♡〕
状況と合わないアナウンスに、
恐怖心が増す。
どうしていいか分からず縮こまっていると、
上から引き上げロープが降りてきた。
この場から一刻でも早く逃げ出したくて、
たぁぽむはロープを握った。