人里を訪ねて
「っと…ここが人里か」
本で確認した通りの見た目だなぁ。
何人かがいきなり出てきた僕を見てギョッとしていたけど、服を見て納得した表情を浮かべていた。
「黄、これを渡しておくわ」
紫様が手だけを出して、リボンを渡してきた。
「これ、紫様が髪に付けてるやつですよね?」
「ええ。帰宅用に一方通行のスキマが開けるようになるから、持っておきなさい」
「使い方は?」
「それを持って、上から下にスッとなぞるようにするだけ。簡単でしょ?」
「了解です。じゃ、ちょっとブラブラしてきます」
「ふふ、がんばってね」
さて、まずはどこに向かうべきか。
…そういえば、幻想郷縁起を書いた人も人里にいるんだっけ。
「すいません、ちょっといいですか?」
「…おぉ、君は…賢者様の新しい従者さんか」
甘味屋さんで腰掛け、団子を食べていたおじさんに声をかける。その手には新聞が握られていて…僕の写真が載っていた。
「あ、もう記事作ったんだ…」
「今朝届いてな。で、何か用か?」
「稗田阿求さんがどこに住んでいるか、教えてほしいんです」
「ああ、それなら…」
…ふむ、近くに住んでるみたいだ。
「ありがとうございます」
「いいってことよ。じゃあな」
さて、では挨拶に行こうか。




