待ち時間は有効に
「えーと…ここか。わかりやすいというか…」
大きな屋敷の門の前に立つ。
表札には「稗田」と書かれているので間違いないだろう。
門の前には警備の人だろうか。槍を持って立っている。…この人に取り次いでもらえばいいのかな。
「…君、何か用か?」
「あー、えーと…阿求さんに挨拶をしたいなと思いまして」
「…ふむ。…ん、その服は…」
「ああ、紫様に貰ったんです。仮ですけど、八雲の姓を貰って…八雲黄と名乗っています」
「なんと、妖怪の賢者様の…!少々お待ちを!」
…やっぱり紫様すごいなぁ。
「お待たせしました、こちらへどうぞ」
門をくぐり、玄関まで門番さんに案内された。
玄関には女の人が立っていて、微笑みながらこちらを見ている。
「後の案内は頼みます」
「はい、わかりました…こちらです。履物はここで脱いでください」
「はい」
お手伝いさん…ってことかな、この人は。
入って、彼女についていく。
「阿求様は現在作業中ですので…少し待つことになりますけれど、よろしいですか?」
「ええ、急ぎではないので」
「かしこまりました、では失礼します」
…客間かな、ここは。
うーん、さっきの口調だと結構時間がかかりそうだし…訓練でもしておこうか。
「…よっと」
小さくしておいた武器を取り出し、グニャグニャと曲げたり、固定を繰り返す。
「二つに分けたり…できた」
見事に白と黒に分かれている。腕に纏わせて、固定。…籠手として体術の訓練の時に使えそうだな。
と、襖が開いて…小さな女の子が姿を見せた。
「すいません、待たせてしまって…八雲黄さんですね?」
「はい。…あなたが阿求さん?」
「はい、そうですよ。…もっと大人の方を想像してましたか?」
「あー…はい。…すみません」
「ふふ、いいんですよ。…あなたの話、聞かせてもらえますか?」




