深夜の臨戦態勢
(深夜 翡翠黒鬼 中庭)
龍崎は、池のほとりでタバコに火をつけようとする。
しかし、手が震えなかなか火をつけれずにいた。
(俺は、また止めれなかった・・・)
彼の心の中には、その言葉がとぐろを巻くように心の中を渦巻いていた。
「護憲。どした?」
龍崎が声の聞こえる先に目を向けると、そこには豪紫と摩那がいた。
「煙草だ。お前こそ・・・」
龍崎は振るえが止まらない右手をすっと身体の後ろに隠した。
豪紫はそれを見て摩那に「ごめん。」というと、摩那は少しうなずきその場を離れた。
「龍崎・・・お前・・・」
「俺のこと、本当は知ってんだろ?豪紫。」
龍崎は、声を震わせながら豪紫に問いかけた。
「本当のことって何だよ。」
「・・・俺がガキだった頃のことだよ。」
龍崎の問いかけに豪紫はこう答えた。
「あぁ・・・神崎先生から聞いた。」
「・・・だよな。そうでないとお前が団体行動なんてとるはずねぇからさ・・・。」
「バレたか・・・」
「でも、どうして一馬も一緒なんだよ?それに、獅織と司まで。」
「一馬は、例の事件の研究をしててさ。あいつ、猪突猛進って言うのかな・・・かなり視野が狭いから、のめりこんでてさ・・・知識量がすごいから、神崎先生にお願いして加えてもらった。獅織と司は、一馬の気の休まる場所的な役目をしてもらうのもあるけど・・・」
「けど、何だよ?」
「あいつらの実力に賭けてみようと思ってね。」
「は?どういうことだよ?」
龍崎は、豪紫の答えを聞き、驚きと疑問が生まれた。
「あいつらは、本来敷かれているレールを思いっきり脱線してここにきたじゃん。それでここに来ていろんな任務をこなして、お前の下で必死に訓練うけて、久しぶりに会ったら見た目からして変わっててさ・・・。あいつらもそれなりにがんばってるんだなって・・・。だからあいつらの実力に賭けようと思ったんだよ。」
その時
「豪紫様」
摩那が真剣な表情で豪紫たちを見つめる。
「あぁ・・・行くか?護憲。」
「行くに決まってんだろ。豪紫。」
「了解。摩那?」
「ここより東、第二部隊隊舎付近からです。」
「よっしゃ。俺のフィールドだ。」
「戻るか。」
彼らは、急ぐように隊舎へと走り出した。
(第二部隊 隊舎)
「ここがあいつの居場所か。」
「ふ~ん。せっかく待ってあげてるのにさ~留守っぽいよな。」
「俺は誰でもいい。死神という存在をこれで切り刻めれば何でも。」
そういって男は手にした武器を強く握り返した。
「僕は今日何しようかな~?とりあえず死ぬまで付き合ってもらお。僕の作った遊びの空間で。」
そういいながら仮面の下で不敵な笑顔を浮かべ、隊舎に向かって正方形の木を落とした。
(豪紫・龍崎・摩那)
「何だよ・・・これは・・・」
龍崎達の前に広がっていた景色は、暗く、不気味な雰囲気が広がる森だった。
「豪紫様、龍崎様・・・結界が・・・。」
「張られてるね~。しかも広範囲に。」
「隊舎ごと(結界を)張ったってのか?」
「あぁ・・・隊舎ごとふっ飛ばすつもりみたいだな。」
(第二部隊 隊舎隊長室)
「司、獅織さん・・・」
「わかってるよ。一馬。」
「臨戦態勢だな。」
「うん。ここにある資料を燃やされるかもしれない。だから隠さなきゃ。」
「いい場所あるぜ!」
司は、龍崎の机を方向を指差した。
「そういうことか・・・。」
「司の頭がこういうときに役立つなんてな。」
獅織達は、書類を手にし運び出した。
(総隊長室)
「出陣だな。弁慶・・・」
戦闘用の衣服に着替えた神崎は、机に飾った写真を見ながらつぶやいた。
そこには、神崎を含め数体の死神が写っている。
「もう、犠牲者は増やさせない。それに、お前が助けたあの子を同じ目には合わさせない。だから、私に力を貸してくれ、弁慶。」
写真の前に数本のタバコを置いて、机の引き出しの中にあった小さな箱を開けた。
中には、少し大きめで龍のデザインが施されたアームリングが入っていた。
それは、豪紫に見せた写真に写っていた若い死神が身につけていたものであった。
神崎はそれを左手の中指にはめ、上から黒皮の手袋をして部屋を出た。




