隠し事はできない。
(深夜 正門)
「準備はいい?」
「OKで~す。」
「俺も大丈夫。あれ、小僧院は?」
「彼は、兵頭先輩のところにいるわ。先輩にバレそうだったから、行動をチェックしてもらってからこっちに合流することにしてもらったの。」
「兄さんは、弟の僕でも行動が読めない変わった方だからな・・・」
「それは俺でもわかるよ一馬。いきなり学院に来たと思ったら、担任をナンパしてたり・・・」
「香西家に転がり込んできて、聖廻の世話しながら飯食ってたなんてこともあったよ・・・。」
「と・・・とにかく、出陣しますか!」
そういって、彼らは外に出た。
武具を身に着けて・・・
(第5部隊 司法解剖室)
「兵頭先輩!15番の左腕と21番の胴体、それと12番の右足、一緒です。」
「OK。」
「摩那!32番の右腕と10番の左足、33番の左足と15番の頭部の縫合完了。資料の確認!」
「了解しました。」
弼と豪紫、摩那は子どもたちの遺体の確認・照合を行っていた。
それぞれのパーツの傷口を弼が確認、照合しながら、兵頭が遺体の縫合、摩那が行方不明者リストと遺体の身元確認をしていた。
「これで最後だな・・・」
そういいながら、豪紫はゆっくり、丁寧に縫合していく。
「小僧院、俺が気づいてないと思ってんだろ。」
弼は、あまりにも唐突な言葉に手を止めてしまった。
「俺らが気づいてないわけないだろ、単独行動。」
「・・・すいません。でも、僕たちは・・・」
「止めないよ、俺は。でも、行くなら声かけてくれよ。俺じゃなくても、悠馬とか尊とかさ・・・。ま、護憲に声をかけなかったのは褒めるけど。」
豪紫は糸を切ると、真剣な目で弼のほうに目を向ける。
「俺ら仲間だろ。生きるのも死ぬのも一緒だ。俺の言いたい事はわかるな?」
そういいながら弼の頭をぐりぐりとかき回す。
「豪紫様。身元確認終わりました。」
「よし、小僧院!俺たちも行くか。敵の根城に。」
「はい!」
「その前に、あの馬鹿のとこ行くか。」
「え?」
「あ、いい忘れてた。護憲の奴さ、病室から逃走した。」
「え・・・探さなくっていいんですか、先輩?」
「大丈夫。あいつの居場所は大体検討つくし。それに、少し落ち着く時間も必要かなって思ったから、ってことで迎えに行こう。」
そういって、彼らはこの部屋を後にした。
(獅織たち)
「単独行動してんじゃねぇよ。お前ら・・・(怒)」
「仲間なのに・・・ひどいな、お前ら。置いて行くなんてさ。」
獅織たちの道を塞ぐように不動と朝比奈が武具をもって立っていた。
「霧乃宮。俺らの眼が黒いうちは何でもわかってると思え。」
そういいながら、不動は霧乃宮を睨みつけた。
「一馬!お前の兄貴から伝言だ。きちんと書類は片付けろ!あと、俺に隠し事しようなんてまだ早いんじゃボケ!全部ばれとるわ!とのことだ、以上。」
朝比奈は、メモの内容を読み上げると、そのメモを一馬に渡した。
「・・・兄さんは、やっぱり行動が読めない方だ。」
一馬は笑いながらそのメモを胸元のポケットに入れた。
「あとで、兵頭も合流する。もしかしたら・・・龍崎も来るかもな。」
不動は少し笑いながら獅織と司の肩を持ち耳元でさらにこういった・・・
「あいつに後でしばかれろ。手加減は無いと思うから(笑)」
獅織と司は一気に体温が下がっていくのを感じていた。




