classmate
同級会は、近くの宴会場で、6時から行われた。出席者は、地元にいる人だけなので、30人くらいだった。
私は、恭ちゃんの夕飯の仕度もあるので、少し遅れて行った。
「じゃあ、リョウタ、恭ちゃんお願いね」
「顔出したら、すぐ帰ってこいよ」
同級会なんて、行っても行かなくてもいんだけど、花江も行くというし、地元にいる限り顔出したほうがいいのかなと思い出席にした。
「京子、こっち、こっち」
座敷に入っていくと、花江が、私を呼んだ。
「京子、見て、この料理。会費5千円で、この料理よ」
花江が、料理に不満そうに言った。
確かに、刺身に、鍋がある程度だった。飲み代は別である。
「私、こんなんじゃ食べた気がしないわ」
花江の食欲じゃ、これじゃ足りないだろう。
「見て、林くん、もうベロンベロンに酔っぱらってるわよ。イヤね」
林くんと言えば、この地元じゃ、全国にある一流会社の職員である。最近、課長になったと言ってたはずだ。
「林くん、普段は真面目そうにしてるけど、お酒飲むと、変わるらしいよ」
男子は、地元に帰ってきたときに、成人式以来に会った人とかいて、全く若いときの面影がない人が多い。
花江と喋ってると、ベロンベロンに酔っぱらった林くんが私の隣に来た。
「京子ー。若いイケメンの旦那と結婚しちゃってよお。その色気で、年下を騙したんだろー。京子もやるねー」
林くんが、私に絡んできた。
なんなんコイツ。酒ぐせ悪いな。失礼な奴。あっち行って。
「あんな若僧の旦那じゃ不満だろ。同級生のオレにサービスしろよー」
そう言って林くんは、私に、触ってきた。
「触んないでよ」
私は、振り払うが、しつこい。
「ちょっと、林くん、やめなさいよっ」
花江が、怒鳴った。
「オバサンは、黙ってろー」
林くんは、花江をオバサン扱いして、嫌がる私に、触ってきた。
「京子ー。サービスしろよおー」
林くんは、エスカレートして、私の胸を触った。
「このエロおやじっ、気持ち悪いんだよ」
そう言って、私は、林くんを押した。
「エロおやじと飲んでられない。帰ります」
そう言って、私は、帰ってきた。
「やばいんじゃね。京子の旦那、嫉妬深くて有名だぞ。京子の息子も京子と話すと泣くし」
男子がボソボソと喋っていた。
顔を赤くした同級生の林くんに、触られて、気持ち悪い。奥さんも子供もいるのに、何考えてんのかね。
「ただいまっ」
私は、不機嫌に家に帰った。
「京子、ずいぶん早かったねー」
「オレが顔出したら、すぐ帰ってこいと言ったからか?」
リョウタも、あまりにも早く帰ってきたので、驚いてた。
「酒ぐせの悪い同級生の男子に、しつこく触られたから、帰ってきたの」
「触られた?」
リョウタの顔色が変わった。
「あの宴会場だな」
そう言って、リョウタは、出ていった。
「リョウタくーん。暴力はダメよー」
走っていくリョウタに、母親は叫んだ。
ビッシャッ。
宴会場の同級会を行ってる座敷のふすまの戸が勢いよく、開いた。
「京子にセクハラした奴、どいつ?」
リョウタは、私の同級会に乗り込んだのである。
「誰?あのイケメン」
「京子の旦那」
女子が、ボソボソ話してた。
「リョウタくん。こいつよ。こいつ。」
花江は、林くんを指差した。
「アンタすか?オレの女房を触ったつーのは?」
林くんは、ベロンベロンなので、何がなんだか分かってないようだった。
「リョウタくん、こいつ、あの○○会社の職員で、課長なのよ」
花江が、さっきの恨みのように、リョウタに教えた。
「あん?そんな一流会社の課長さんが、ワイセツ行為をしていんですかっ?」
リョウタの凄みに、同級生は、固まっていた。
「リョウタくん、そいつ。京子の胸も触ったのよー」
花江は、さらにリョウタの怒りを上げることを言った。
「胸?」
ドスーンっ。リョウタは、座敷の畳を拳で、叩きつけた。
「京子の胸は、オレと恭のモノなんだよっ。なんで、てめーみたいなオッサンが触るんだよっ」
そう言って、またリョウタは、拳を畳に叩きつけた。
花江は、目がハートになっていた。
いや、花江だけじゃなく、女子が、ハートになってた。
「このまま警察行きますか?それとも会社行きますか?それとも奥さんとこ行きますか?えっ、課長さんよお」
リョウタは、また畳に拳を叩きつけた。
「アンタのやってることは、ワイセツ行為ですよね?犯罪ですよ。わかってんのかよおっ」
リョウタが叫びながら、また拳で畳をどついた。
林くんは、酔いもすっかり冷めて、青くなっていた。
「ここにいる皆さん見てたんですよね?京子が触られるとこ。証人いるわけですよ」
「リョウタくん、私見てた。私が証人になるわよっ」
花江が、強い味方だ。
「私も見てた。嫌がる京子に、しつこく触ってた」
「私も証人になる」
「私も」
女子ほぼ全員が、リョウタの味方だった。
「だよな。一流会社の課長だからって、胸触って良い思いされたんではね」
男子の一人がボソっと言った。
「なんすか?良い思いって?」
リョウタは、そう言った男子を睨んだ。
「さあ警察行きますか?」
リョウタは、青くなってる林くんに言った。
「申し訳ございません。もう二度としませんから、許して下さい」
そう言って、林くんは、頭を畳に、擦り付けるくらい頭を下げた。
「謝ったって、てめーの脂ぎった手で、京子を触ったことは消えないんだよー」
「許して下さい。お願いします。警察と会社と女房に言うのは、ご勘弁をー」
林くんは、頭を下げ続けた。
「もう京子に、近づくな」
「近づきませんっ」
「100メートル以内にも近づくな」
「はいっ。近づきません」
「酒もやめろ。もう一滴も飲むな。もしやぶったら、いつでも警察行くぞ」
「はいっ。もう飲みません。誓います」
そうして、林くんは、延々と頭を下げ続けた。
中学の時から、真面目だった林くんに、何があったんだろう。酒に頼らなければならないストレスがあったのだろうか。
優等生で、いつも学級委員をやっていて、先生からの人望も熱かったというのに。
水曜日の店休日に、また花江とランチをした。
「リョウタくん、カッコよかったわよ。」
「殴り込みに、行ったみたいで、やり過ぎよ」
花江は、リョウタが宴会場に来たことを興奮して、話てた。
「京子の胸は、オレと恭のモノだって。私もイケメンに言われてみたいー。京子、愛されてるのね。あー京子が、羨ましいー」
花江は、もう妄想に入っていた。
「えー。リョウタそんなこと言ったの。恥ずかしい」
「私も巨乳なのに。私のイケメンは、どこにいるのー」
花江は、かなり、夢に入っている。
「花江おばちゃん。きょーにゅーって何?」
恭ちゃんが、花江に聞いた。
「もう花江、恭ちゃんに、変なこと、教えないでよー」
「恭ちゃん、巨乳とは、花江おばちゃんみたいなオッパイのことを言うのよ」
「ふーん」
恭ちゃんは、納得いかないようだった。
「そういえば林くん。課長になって、下からも上からも追い込まれてるみたいよ。家に帰れば、奥さんが鬼嫁で、頭が上がらないみたい。娘さんにも、バイ菌扱いされてるみたい。それで、酒に走ったんじゃない。人も変われば変わるもんよね」
花江が、言った。
どうであれ、人に迷惑かけるのは、よくない。はっきり言って、林くんとは、もう会いたくない。
「あら。奈美恵じゃないの?」
花江が、同級生の奈美恵を見つけて言った。
「京子と花江で、ランチ?」
相変わらず、ツンツンした言い方の奈美恵だ。
「京子、あんな若くてイケメンの旦那さんじゃ、大変ね」
奈美恵が、同級会で、リョウタを見たらしく言った。
「あれじゃ、モテるもの。確実に浮気されるわね」
「リョウタくんは、京子一筋だもの浮気なんてしないわよ」
花江が、かばうように言った。
「だって。私達40歳よ。40歳のオバサンより、若い女性のほうが、よくなるでしょう。京子が、いくら若く見えるからって、40歳には、変わりないのよ。現実はオバサンなんだから、浮気されたって、しょうがないわよ」
奈美恵は、たらたら私に、皮肉を言ってきた。
「大変ね。イケメンの旦那さんも」
そう言って、奈美恵は、帰って言った。
「なんなの奈美恵のやつ。奈美恵の旦那がブサイクだから、ひがんでるのよ。」
花江は、私を慰めるように言った。
「いいよ。浮気されても。私には恭ちゃんがいるから」
私は、少し強がって言った。
「大丈夫だって。リョウタくんは、京子一筋だって。」
私には、恭ちゃんがいるもん。