4月3日
川の対岸へ着くと、私は案内役に起こされた。
ここからが地獄の本領発揮ということらしい。案内役は私に興奮気味に語り続けた。
私が住んでいた中部では4月と言えば花見の季節ということだが、ここ地獄では季節などという概念はないらしい。
地獄に送り込まれた人たちは、まず、その罪の重さを量られるらしい。そのやり方は、まず、体重を計られる。そして、身長をとられると、一定の公式に従って基本重量が決められる。この基本重量こそが、通常生きている時に犯す罪の重さということらしい。
そして、特殊な天秤ばかりに人とその基本重量分の重りが釣り合えば軽いところへ、基本重量の方が重ければ天国へ、基本重量より重ければ中程度の地獄へ送られるそうだ。
中程度の地獄以降はさらに分けられるらしいが、それはまた次の時に見せてもらうことになった。
獄卒衆 (地獄で人々の案内をする人らのことだそうだ。ちなみに私の案内をしているのは獄卒とは違う)は、小鬼のようだったが、あまり見ることができなかった。明日になれば、自分の今の状態を図ってくれるということなので、楽しみにしておこう。獄卒衆はその時に確認できるはずだ。