王太子と王太子妃1
不定期更新です
季節は春と夏の間。
池の周りに花菖蒲が咲き、淡い色の睡蓮が池に浮かぶ様を近くにあるバーゴラから疲れを癒そうと、テーブルに用意された紅茶をぼーっとしながら飲む2人。
王宮にある王族専用の庭園にあるそこにいるのはこの国の王太子夫妻のティリエルとミレーヌ。第一子の王子が2歳になりミレーヌは二子目を妊娠中。本来ならば幸せオーラが舞っていてもおかしくないはずなのだが、2人の纏う雰囲気はどんよりしている。
「・・・・・・なあミレーヌさんや」
「・・・・・・」
「花畑って学園だけじゃなく王宮にも咲くんだなぁ」
「・・・・・・まさか妹の頭の中がお花畑になるとは思いませんでしたわ」
このどんよりした空気の原因はミレーヌの妹であるサクラン公爵令嬢のせいだ。
始まりはティリエルとミレーヌの結婚式。
歳が離れている事もあり初顔合わせになったのだが、その時にティリエルを見て「王子様だ・・・」と頬を染めるひと幕に周りは微笑ましそうに見ていたのだが、「サクランの王子様でしょ?サクランを迎えに来たのね!」とティリエルに抱きついたあたりから雲行きが怪しくなってくる。
これは不味いと感じた公爵が「ミレーヌを迎えに来たんだよ」と嗜めるも「サクランと王子の仲をお姉様が引き裂こうとするのね!」と大暴れ。最終的には「サクランが成人したらお姉様と別れてサクランと結婚するの!それまでお姉様に王子様に貸してあげる」とどこ目線で物を言っているのかと突っ込みたくなる言動をし、控え室をおかしな雰囲気にしたのだ。
「・・・子供、いるんだけどなぁ」
そう遠い目をするティリエル。
結婚式後王国の婚約婚姻に関する授業で王国が一夫一妻制という事実を知り、ミレーヌが離婚してサクランが結婚すればいいと思っていたのだが、講師に「王族の離婚は認められていない」と教えられ一瞬絶望するも、「王族は側妃を持てます。ただ・・・」という話で復活。じゃあ私が側妃になればいいじゃん!と脳内で家族計画をたて始める。
しかしサクランは「王族は側妃を持てる」までしか聞いておらず、「ただ、婚姻して3年お子様に恵まれなかった時のみですが」という講師の言葉は届いていなかった。
そして今、まさに講師の話を中途半端に聞いていたサクランが姉のミレーヌに会いたいからという建て前を引っさげかなりの頻度で王宮に登城。その足でティリエルの執務室へ突撃をかまし「未来の奥様だから」とお茶を出せやお菓子が気に食わないなど執務室にいる執務員をこき使っている。
ちなみにサクランは一度もミレーヌには会いに来ていない。
「公爵家では講師の方がきちんと教えているはずなのですが・・・・・・」
「ミレーヌ、常識を言っても花畑は枯れない。学園で体感しただろう。ナガエツルノゲイトウだ」
「( ゜д゜)ハッ!そうでしたわね。ナガエツルノゲイトウでしたわ」
「あれは物凄い勢いで茎を張り巡らすからな」
「引っこ抜いても少しでも残っていればすぐ生えてきますものね」
「水路の入口を塞いだりするらしいぞ」
「駆逐するの大変そうですわね」
サクランによるストレスで学園の頃のおかしな思考になっているティリエルとミレーヌ。
既に例えではなくナガエツルノゲイトウの生態の話になっているのに疲れ切った2人は気づいていない。




