ブドウ
※時期はマユリカとサリエルが学園に通っている時期。
とある学園が休みのおやつ時。サリエルが王族への献上品を持って侯爵邸へやって来ていた。
「ブドウの産地である伯爵家からの献上品なんだけどマリーにお裾分けだよ」
「ブドウ・・・・・・」
メイドがお茶をしているテーブルにさっとセッティングしたのは、大皿に載せたブドウ。大粒と小粒の二種類のブドウは艶々ピチピチ。まるで宝石のように輝いている。
ブドウを凝視しているマユリカをほくそ笑みながら見ているサリエル。食べようとしたのに皮から出た瞬間マユリカの顔面に直撃するのを間近で見る気満々、マユリカが苦手なのを知ってて持って来た確信犯だ。
「ほら、子供の頃より手が大きくなったし上手く食べれるんじゃない?」
ガタッ・・・ガタガタガタ・・・
「ん?テーブルがガタガタ?」
ガタガタガタガタガタガタガタガタガタ
「ってマリーがありえないくらいテーブルと一緒にガタガタしてる!?ちょっ、お゙、ぢ、づ、い゙、でっ、」
サリエル自らブドウを取り分け皿をマユリカの前に置くと、テーブルを持ち上げるくらいガクガクしているマユリカに驚き、落ち着かせようと両肩に手を置くと伝染したようにサリエルまでガクガクするくらい震えている。工事現場の振動とタメを張りそうな勢いである。
20分後
「ご・・・ごめんなさい。ひ、久しぶりにブドウを食べるかと思うと緊張してしまって・・・・・・」
「(え、緊張であの震え?)そっか、とりあえず落ち着いたようで良かったよ。大丈夫、こうやればいいから」
「おお~」
ひょいと大粒のブドウを取りポンと皮から出た実をパクリとするサリエルに拍手を送るマユリカ。「それが普通ですよお嬢様」とは口や表情には出さずメイド達は壁際で待機している。実はメイドが飛んで来たブドウをキャッチする係だとはマユリカは知らない。
「ね、簡単でしょ?」
「うん、私にも出来そう。こうスナップをきかせて・・・」
「・・・・・・あれ?私スナップきかせてたっけ?」
(((もちろんきかせてません)))
(だよねー)
壁際のメイド達と目を合わせコクリと確認するサリエル。スナップどこから持って来た。
「サリーいきます!」
「うん。・・・ちょっ手、手が震え過ぎてて波線上手く描けそーってちがーう!落ち着いて落ち着いて!スナーップ!何故この激しく震えてる時にスナップきかせちゃったの!?」
「あ、ブドウがない。消えちゃった」
「お嬢様大丈夫でございます!アンが、アンがしっかりとキャッチいたしました!」
おや?とブドウを持っていた指先を見つめるマユリカに、背後の壁際で待機していたメイドのアンが素早くキャッチしブドウを掲げ、周りは感嘆している。
「アンありがとう。でも不思議ね。何で飛んでいったのかしら?」
何故そうなったのか状況が分からずこてりと首を傾げるマユリカ。
「スナップかな。それよりもなんで真後ろに飛んでいったんだろうね」
『ボクたちは何もしてないよ!by痴妖精』
まあマユリカ(お嬢様)だしとサリエルやメイドは納得。
「力加減かな~?それともスナップの利きが甘い?」
「マリー、ブドウ食べるのにスナップは必要ないよ」
「そう?じゃあ力加減?」
ブシュッ
「きゃあぁぁ!!目が~目が~!!」
「マリー!?」
「「「お嬢様!!」」」
取ったブドウを無意識に潰し汁が両目に入りケ◯カのようなセリフを言うマユリカに慌てるサリエルとメイド達。
マユリカが普通にブドウを食べる日は遠い・・・・・・。




