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85.ガール(4)
ガールは猫じゃらしをもって、タマと遊んでいた。
右にふりふり。
するとタマが鋭い爪で猫じゃらしを捕まえようとするので、スルリと回避して左でふりふりする。
「なんともスリリングな鍛錬です」
ガールは遊びを鍛錬だと捉えていたようだ。
ガールはひとしきりタマと遊ぶと、今度は餌をやりにキッチンに行った。
キッチンでは料理人のミカヤがメイドのモニカとニーナに料理の指導を行っている最中だった。
ガールは試食を頼まれ、その場で魚料理を頂くことになった。
「美味だと思います」
美味しかったので、タマの餌もこれにしよう、と皿ごと持っていくと、タマは丸くなっていじけていた。
一度も猫じゃらしを捕まえられなかったタマは、ガールに顔向けできないとギュッとまるまった。
しかしガールがお皿を置くと、かぐわしい魚料理の匂いがして、ついつい鼻をスンスンとならしてしまうのだった。
平和な一日。
このように何事もなければ、ガールはタマと遊んで一日を終えるのだった。




