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スカジャンのシガン  作者: イ尹口欠
冒険者編

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83.ダンジョン(10)

 第六階層は当たり前のことだが、第五階層よりも難易度が高い。

 そもそもボス部屋を超えると、ダンジョンの内容は一新されると言われていた通り、第六階層は広い草原と森が広がる自然フィールドになっていた。


「ダンジョンの中だよな? 空も太陽もあるぞ……」


「このような疑似的な自然フィールドですが、太陽は偽物ですし四方には壁があるはずですよ。この草原と森のどこかに階段があるはずです」


「なあ、それって」


「はい。シガン様なら棒倒しで一発ですね」


 というわけで棒倒しをするシガンだった。



 とはいえマッピングだ。

 せめて四方の壁の位置は把握したいし、出現する魔物とも一通り戦うべきである。


 草原にはサーベルタイガーと遭遇した。

 野生の獣は人型にない俊敏さをもち、しかも茂みの中に身を潜めて襲いかかってっくるのだ。


 もちろん事前にアティが発見しているし、いかに俊敏といえども今のシガンの敵ではない。


「マスターは闘気法を完全に習得したようですね」


「闘気法?」


「はい。魔力を体内に巡らせ、身体能力を強化する武術です。ご存知ではありませんでしたか」


「やっているのはその通りだ。名前までは知らなかったけどな」


「それは〈フィジカルブースト〉の魔術とは違うの、ガールちゃん?」ベルが問うた。


「はい違います。〈フィジカルブースト〉と〈ブレス〉により、闘気法使いは更に強くなります」


「凄い! じゃあシガン様、〈フィジカルブースト〉を習得しましょうよ!」


「あーいや、どうだろうな。魔術ってのはどうにも勝手が分からないから」


「アティも習得しましたし、この機会に是非」


「そうだよシガンさま。わたしでも習得できたんだから。シガンさまが無理なわけないよ」


 以前、●には地球人だから魔術の習得はできないと言われたシガンだが、今はシャドウストーカーを取り込んでいる。

 習えば魔術も使えることだろう。


「分かった分かった。帰ったら頑張ってみるよ」


 かくしてシガンの魔術、初習得とあいなった。


 いやその前に第六階層のマッピングを終えて無事に帰還するという任務があるのだが。


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