79.ハルピュイア(4)
十分に休憩をとった後、シガンたちは冒険者ギルドへ戻った。
「えっ!? ハルピュイアの集落を殲滅しちゃったんですか!?」
「ああ。うっかり巣に足をふみいれちまってな。そのまま乱戦になったから全滅させた。ああいや、いくらかは山の奥に逃げていったか」
「いえ。みなさんが無事で良かったです」
「魔石は百以上あるし、指揮個体の翼もとってきたよ。巣はただの木々だったから放置してきたが、問題ないか?」
「そうですね、ハルピュイアなら集落を築くというより木の密集したところならどこでも良かったのかも? だとしたら定期的に巣の位置を変えていた可能性もあります。そう考えればシガンさんたちが全滅させてくださったのは僥倖としかいいようがないのですが」
「なあ、こっちは疲れているから早めに精算を頼むよ」
「あ、すみません。お待たせするので、精算結果は明日に受け取りに来てください。今日はもう帰ってお休みになられても構いませんよ」
「おお、それはいいな。じゃあ魔石とかは置いていくから、後はよろしくな」
「ああっ! カウンターには出さないで、裏に、裏手にある解体場所にお願いします!」
シガンとベルは魔石と指揮個体の翼を置いて、屋敷へ戻った。
翌日、シガンが冒険者ギルドへ査定の結果を聞きに行くと、金貨30枚の入った袋を渡された。
魔石はひとつ銀貨20枚、ハルピュイアの指揮個体の翼は金貨10枚になったそうだ。
ハルピュイアの指揮個体の翼は七色に輝き、貴族の調度品などに使われるため希少な割に需要が高く、高値で売れるとのことだった。
結婚式で散財したつもりだったシガンだったが、また懐が暖かくなったのである。
しかも今回は冒険者たちの集団によるハルピュイアの殲滅作戦まで潰したため、経済が滞ってしまったのではないかと責任を感じていた。
ここはまた新しい商売でも初めて、経済を回そうとシガンは決意した。
……そういえば結婚式のときに肉料理が野菜料理より目立っていなくて釣り合いが取れていないのが気になったな。
シガンは肉料理、すなわち元の肉を良くしようと決めた。




